スマートフォン版へ

さらなる馬券販路の拡大

  • 2013年03月08日(金) 18時00分
 JRAインターネット投票における地方競馬の馬券発売(地方競馬IPAT)の、今年4〜12月の日程が発表された。ざっと見たところ、昨年スタートした当初に比べ、発売日が増えてきていることにちょっと安心した。

 昨年10月に地方競馬IPATがスタートしてから今年3月までの発売日程では、JRAが開催される週末と、おもに南関東で重賞が行われる水曜日以外には、火曜日と木曜日のごく一部と、例外的に地方でダートグレードが行われる月曜日などがあるだけで、意外に制限されているなあという印象があった。ところが4月以降の発売日程を見ると、JRA-IPATで銀行がロックされる月曜日と金曜日は現状しかたないにしても、火曜日と木曜日の発売日がかなり増えた。たとえば同じ10〜12月の3カ月間で比較してみても、昨年が45日間のべ142場だったのが、今年は61日間のべ200場と、約4割増となっている。

 実際に地方競馬の発売額全体でみても、昨年4〜9月の売上げでは、前年同期比の総売得額で97.4%、1日平均で98.3%だったものが、集計が出ている今年1月までの数字を加えた昨年4月〜今年1月の数字では、同じく前年同期比の総売得額で99.5%、1日平均で101.5%と、地方競馬IPATが始まった10月以降に相当売上げが上がっていることがわかる。この増加分がすべて地方競馬IPATの効果によるものかどうかはさらなる精査が必要だが、かなり影響があったといっていい数字だろう。

 今後は地方競馬IPATでの便宜がさらに図られ、しばらくは売上アップが期待できるかもしれない。しかしそれは日本国内だけのことであり、いずれ頭打ちになることは間違いない。そうしたときに、あとはどこへ販路を広げるかといえば、残されたところは国外しかない。

 日本から比較的近い外国で、競馬が盛んに行われている、香港、マカオ、シンガポールなどでは、国外の競馬の馬券発売がどんどん拡大されている。日本国内で国外のレースの馬券を売ることについては、法律的なところまでは不勉強ゆえ詳細なところまで指摘することができなくて申し訳ないが、一般には刑法で規定された賭博罪の壁があると言われている。

 しかしそうしたところで先月、興味深いニュースがあった。サッカーくじの「toto」が、早ければ今年12月から、対象レースにイングランド・プレミアリーグも含める計画があるという。ならば、競馬でも同じことが可能ではないか。それでも、あっちは「クジ」、こっちは法律で一応は禁止されている「賭け」と線引されてしまうのかどうか。そんなのは解釈の違いだろうと思うのだが。

 中央・地方の馬券の相互発売がようやく実現した今、とりあえず次の一手として、地方競馬を賭けの対象として国外に売り出すことを考えてはどうか。日本において国外のレースに対して馬券を発売するには法律の問題があるのかもしれないが、日本で行われているレースに対して国外の競馬主催者やカジノなどで馬券を発売してもらい、その売上げに対して一定の手数料収入を得るのなら、問題になることはないはずだ。

1964年生まれ。グリーンチャンネル『地・中・海ケイバモード』解説。NAR公式サイト『ウェブハロン』、『優駿』、『週刊競馬ブック』等で記事を執筆。ドバイ、ブリーダーズC、シンガポール、香港などの国際レースにも毎年足を運ぶ。

バックナンバー

新着コラム

アクセスランキング

注目数ランキング