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太が語る安藤勝己騎手との思い出と引退後の仰天計画とは…

  • 2013年03月12日(火) 18時00分
1月31日をもって、現役を引退した安藤勝己騎手。「安藤さんがいたから、今の僕がある」と語るように、偉大なる先輩の引退には、小牧騎手も感慨深いものがあるようです。今回は、そんなアンカツさんとの思い出を語りつつ、自身の引退後の進路についても触れた小牧騎手。はたしてそこには、まさかの仰天計画が!?

■旅番組のリポーターになるのが夢やねん(笑)

──2月はやはり、先日引退した安藤勝己元騎手ついての質問がたくさんきています。まずは、「率直なお気持ちを聞かせてください」というリクエストから。

小牧 JRAに入れたのは安藤さんのおかげやから、すごくありがたく思っています。寂しいといえば寂しいけど、やっぱり年齢には勝てんからね。ここにきて、安藤さんだけではなく、石橋(守)さんも飯田くんも辞めたでしょう。なんだか最近、僕はいつまで乗っていられるのかなぁって考えることが多くなったわ。引退したら何しよ…とか、すごく考えますわ。

──関西の平地ジョッキーでは、ついに小牧さんが最年長ですものね。とはいえ、小牧さんにはまだまだ頑張っていただかないと! ちなみに、安藤さんの引退を知ったのはいつですか?

小牧 はっきり“引退する”と聞いていたわけではないけど、けっこう前からそれらしきことは聞いていたよ。

──そういえば、ホットヨガには安藤さんも通われていたそうですね。

小牧 そうやねん。安藤さんはご家族と一緒に来てはりましたよ。でも、飽き性なんかなぁ、すぐに辞めてしまったわ(笑)。

──それでも最初は、少しでも長く現役を続けるために、通われていたんでしょうね。

小牧 そうかもしれないね。最後のほうは、減量もしんどそうやったから。「もうちょっと軽かったら、なんぼでも乗れるのに」って、話していたことがあるわ。でも、52歳まで乗れたら、本来は十分でしょう。僕だって、52歳まではまだ7年もある。

──続いて、「安藤さんとの思い出を聞かせてください」というリクエストもたくさんきています。

安藤さんとの思い出は…

安藤さんとの思い出は…

小牧 安藤さんも飲むのが好きやから、お互い中央にきてからも、何度か一緒にご飯を食べたりしましたわ。普段は口数が少ないほうやのに、飲むとよう喋るんですわ(笑)。あと、移動のときに、いろいろな話をしたな。

──どんなお話を?

小牧 安藤さんはいつも、「どうせここまで乗ってきたんだから、乗れんかったら乗れんかったで、気楽な感じでいくわ」って言ってたわ。「人間が楽な気持ちで乗れば、馬に余計なものが伝わらない。そのぶん馬も走る」とかね。

──精神論的な深いお話ですね。

小牧 そうやね。ほかにも「俺たちは馬を動かすことはできるんやから、あとは気持ちの持ち様。それだけや」って、ずっと言ってたなぁ。

──“安藤勝己”と“小牧太”がそんな深い話をしているなんて、なんだか豪華な光景ですね。

小牧 そう(笑)? 僕たちはすごく気楽に喋ってるんだけどね。中央に入った当初は「お前、ちょっと力入れすぎちゃうか?」って、よう言われましたわ。安藤さん自身は、「俺はこっち(中央)に入れただけで、もう十分なんや」って。そんな安藤さんと身近に接して、そういういろんな言葉をもらいながら、肩の力を抜くようにしてました。

──やはり小牧さんにとって、安藤さんの存在は大きいんですね。そういえば、地方時代に一度だけ、朝まで飲まれたことがあると以前おっしゃってましたよね。

小牧 ありましたねぇ。菅原勲さんがトーホウエンペラーで名古屋大賞典を勝った日やわ(2002年)。安藤さんも僕も同じレースに乗っていてね。レースが終わったあと、安藤さんと僕と、僕の知り合いの記者さんと3人で名古屋駅の近くで飲んで。そのうち、笠松のジョッキーから安藤さんに電話があったらしく、「おい小牧、笠松まで行くぞ!」っていうことになって(笑)。内心“えーーっ!”と思いながら、3人で電車に乗って行ったのを覚えてるわ。で、笠松に着いてスナックに行ったら、笠松のジョッキーと菅原勲さんがすでにいはって。みんなでワイワイワイワイ飲んだなぁ。安藤さんが菅原さんに「お前はいい馬ばっかり乗りやがって!」って、絡んでたのを覚えてるわ(笑)。

──それはまた豪華な組み合わせですね。ちなみに園田時代は、“安藤勝己”というとどんな存在だったんですか?

小牧 笠松にすごいジョッキーがいるっていうのは知ってたよ。でも、所属の競馬場が違うと、まったく交流がないんですわ。ましてや、園田はサラブレッドを導入するのが遅かったからね。当時は、サラブレッドがいるというだけで別世界みたいなもんやったから。だから、一緒に飲んだのは、さっき話した名古屋が初めてだったんじゃないかなぁ。

──なるほど。ではむしろ、中央に来てからのほうが交流があったんですね。安藤さんですが、さっそくフェブラリーSのとき、ゲスト解説者として競馬番組に出演されていましたね。ちょっと意外な気もしました。

小牧 そう? 僕はそっち方面に行くんじゃないかなぁとは思ってましたけどね。

──5年後か、あるいは10年後かわかりませんが、小牧さんも引退後、そういう仕事をしてみたいというお気持ちはありますか?

吉本興業に入れてもらえへんかな

吉本興業に入れてもらえへんかな

小牧 そうやね。30年も馬に乗ってるんでね。そこで経験したことを、競馬ファンに伝えていけたらいいなぁとは思うね。そういえば僕ね、吉本興業に入れてもらえへんかなと思って(笑)。最近、よう考えてんねん。

──吉本興業さんは、スポーツ選手のマネージメントもされてますからね。

小牧 そうそう。入ろうと思えば、今でも入れるからね。まぁもちろん、入れてもらえればの話やけど(笑)。僕は食べることが好きやから、引退後はグルメリポーターみたいな仕事もしてみたいなぁと思ったり。旅番組のリポーターとか、夢やねん(笑)。そんなことをふと考えながら、いっぽうでは“そんなことは考えんと、まだまだ頑張って乗るぞ!”とか、思ってるんやけどね。

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1967年9月7日、鹿児島県生まれ。1985年に公営・園田競馬でデビュー。名伯楽・曾和直榮調教師の元で腕を磨き、10度の兵庫リーディングと2度の全国リーディングを獲得。2004年にJRAに移籍。2008年には桜花賞をレジネッタで制し悲願のGI制覇を遂げた。その後もローズキングダムとのコンビで朝日杯FSを制するなど、今や大舞台には欠かせないジョッキーとして活躍中。

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