いま全盛のサンデーサイレンス系(今春の供用馬名簿に載った馬だけで52頭もいる)の種牡馬はそんなことはないかもしれないが、日本の内国産種牡馬がせいぜい2代、3代で途切れてしまう理由はきわめて難しい。
日本の風土がサラブレッド生産に必ずしも向いていないという理由を別にすると、多系統に渡る種牡馬系のうち、スピード能力を失った父系はしぼむ。いかに丈夫でタフで、渋い成長力があっても、あふれるスピードにかげりをみせると魅力が乏しくなる。
といって、[スピード系×スピード系]の配合は、まず成功しない(スタミナが極端になくなる)から難しいものだ。サクラバクシンオーと、今年その産駒がデビューするエアジハードが代表するサクラユタカオー(その父テスコボーイ)の父系は、代を経てもスピード能力が落ちない。だから内国産種牡馬として連続している。立派なものだ。
ノーザンテーストを出発とした大きな種牡馬群は、アンバーシャダイ...メジロライアン...メジロブライト...と続く系統はあるが、実はあれだけの大種牡馬で、もう10年も母の父ランキング独走の影響力もあるのに、主流の種牡馬ラインから外れかけている。2代目、3代目となると明らかにスピード能力に光るものがなくなっているからだ。
というところで、東京10Rのハイジャンプ。8歳カネトシガバナー(父アンバーシャダイ)に期待したい。アンバーシャダイは自身が中〜長距離向きだった点を考慮しても、ノーザンテースト系らしいスピードをあまり伝えていない。だから少し父系の存続があやしくなっているのだが、渋い成長力とスタミナは伝える。サンデーサイレンスの若い障害馬ウインマーベラスの勢いは怖いが、障害界はタフなスタミナと、渋い成長力で新星を封じることができる。ここはキャリアを生かしたい。このレースは2年前、3分36秒0の当時のレコードで勝っている。衰えはない。