「変わってきた」との言葉通り、叩き2戦目できっちり結果を出したナイスミーチュー(3月3日・阪神10R・仁川S)。小牧騎手にとって、これが橋口厩舎での2013年初勝利で、「久々の会心の勝利」と語る一方、レース後には裁決委員に呼ばれ…。このほか、すみれSに勝利し、皐月賞に向かうナリタパイレーツの手応えなど、2月後半から3月中旬のレース回顧から、小牧騎手の本音に迫ります。
■仁川Sでの戒告は、ようわからんわ
──今回は、2月後半から3月中旬のレースを中心にお話をうかがっていきたいと思います。ここにきて開催8日間で5勝。先月は「リズムが悪い」とおっしゃっていましたが、だいぶ戻ってきたのではないですか?
小牧 うん、ちょっと戻ってきたね。特別何かがあったわけではないけど、頭数も増えたし、以前の乗り馬が戻りつつある。
──2月24日には、2連勝もありました。
小牧 マンドレイク(6R・3歳500万)は、思った通りのレースができたね。その前のレースでは、4コーナーで不利があったんですわ(8着)。相手も強かったから、勝ったとまでは言わないけど、あれがなければ掲示板には絶対にきていたっていう手応えがあってね。だから、距離は短いほうがいいって僕のほうから進言して、引き続き1400mを使って。スタートがいいから、好位で競馬をしようと思って乗ったんやけど、うまくいきましたわ。そのあと重賞(ファルコンS)でも接戦の5着にきていたね。僕は断ってしまったんやけど。
──そうだったんですね。そのマンドレイクも8番人気での勝利でしたが、続くすみれSのナリタパイレーツも5番人気での逃げ切り。改めて、小牧さんは逃げさせたら怖いな、と思ったレースでした。
本当は逃げ馬は嫌いなんやけど(笑)
小牧 本当は逃げ馬は嫌いなんやけど(笑)。出遅れたら終わり、っていうプレッシャーが嫌やね。あの馬は正直、それほど走るとは思ってなかってん。でも、レースにいったら強かったです。あ、この馬、走るわと思った。
──ナリタパイレーツは、続く若葉Sも5着とはいえ、いい競馬でした。今度は控えて。
小牧 絶対にハナに行こうと思ってたんやけど、2000mの大外だったでしょ? これは行かれへんちゃうかな…とは思ってたんやけど、案の定でしたわ。あの馬には2000mは短いです。すんなりハナに行ければ強いけど、距離が長いほうが力を出せるね。だから、皐月賞より、ダービー、菊花賞が合うと思いますって、進言したんやけどね。
──なるほど。重賞こそ出走していませんが、成績だけを見ると、サニーブライアン(97年皐月賞、ダービー)を彷彿とさせるものがあります。いかにもクラシックで穴をあけそうな…。
小牧 そうなの? たしかにハナに行けたらおもしろいと思うよ。ただ、2000mはどうかなぁ…。2400mなら、とは思うけど。あの馬は、追っ付けて行っても引っ掛かるところがないんでね。
──次走は皐月賞ですね。小牧さんが騎乗されるんですよね?
小牧 乗ります。本領発揮は長いところやと思うけど、あの馬は走るよ。
──続いて、ナイスミーチュー(3月3日・仁川S)。小牧さんがおっしゃっていた通り、一度使って変わってきましたね。
小牧 うん、やっぱり2000mがいいね。思った通りに乗れたのもあったけど、橋口厩舎での今年の初勝利やったから、あれはうれしかったなぁ。会心の勝利でしたわ。ホンマにうれしかったです。
──でも、レース後、裁決に呼ばれたとか。
小牧 そう。ゴールまで追ってないっていうことでね。でも、あれはようわからんわ。ちょっとおかしいんちゃうかと思う。
──その場で反論したんですか?
小牧 「ゴール寸前に入れ替わったと思ったから止めたんです」とは言ったけどね。「いや、もうちょっと追ってもらわないと…」ということで。でもまぁ、注意だけやろうなと思って帰ったんやけど、次の日かその次の日やったかな、家に封書が届いてね。戒告を受けましたわ。
──え? 制裁って、封書で届くこともあるんですか?
小牧 そう。封書で届いたり、その場で決められたり。
──封書できた場合、納得がいかれなければ改めて話し合いの場を設けたり?
小牧 行く人は行くやろうね。僕はしないです。まぁ、今回は戒告やしね。それにしても、あれで負けてたんやったら制裁もらわなアカンけど、勝っているわけやからねぇ…。だからこそ止めたんやし。
──勝利を確信したところで、ジョッキーが手綱を抑えることはよくありますよね。仁川Sは、クビ差だったから…ということもあるのでしょうか。
より一層気をつけますわ
小牧 そうかもしれんね。まぁ納得したわけじゃないけど、より一層気をつけますわ。
【次回の太論は?】
仕事はもちろん、相変わらずプライベートも充実している様子の小牧騎手。なかでも日曜日の夜は、毎週有意義な時間を過ごしているようです。そんな最近のエピソードから、大阪・十三で過ごした若かりし日の思い出や、お気に入りのお店など、知られざるプライベートに迫ります。