キズナが毎日杯を勝ち、ディープインパクトの3歳世代の重賞勝ち馬は、弥生賞のカミノタサハラに次いで2頭目となった。昨年のような派手さはないが、やっぱり本番が近づくと、決めるべきところはきっちりと決めてくる。
皐月賞をスキップして、ダービーに照準を合わせるとのことだが、将来のことを考えれば正解のように思う。昨年、ダービーまで押せ押せだったディープインパクトの一線級牡馬が、以後は軒並み倒れ、暮れの有馬記念は閑古鳥が鳴いていた。
クラシックの権利取り、賞金加算レースを勝ち損じると、どうしても一つ、二つ余計なレースを使わざるを得なくなる。ディープインパクト産駒はずるさがなく、完全燃焼タイプが多いから、一つ、二つ余計なレースを使ったツケが後になって回ってくる。それが大成の芽を摘んでしまう。
産駒は決して早熟ではないのだ。まだ成長途上の2歳、3歳の春は無理をさせないほうがいい。かりにキズナが皐月賞、ダービーを勝ったとしても、その先が心配になってくるだろう。
母のキャットクイルがキズナを出産したのは20歳のときだ。かなりの高齢出産になる。初仔にファレノプシス(桜花賞)、3番仔に米GII勝ち馬のサンデーブレイク(ピーターパンS)を出したが、母としては順風満帆ではなかった。
繁殖成績を見ると、不受胎(5回)、流産(2回)、生後直死、死産といった暗い文字が並んでいる。にもかかわらず、ディープインパクトを配合相手に得て、母としては終わったも同然の年齢でキズナを出したのだからおそれいる。
高松宮記念、マーチSをキングカメハメハ産駒が勝ったことで、ディープインパクトの種牡馬ランキングは2位に後退した。だが、GIを一つ勝てばすぐに入れ替わる。この先、2頭の順位は目まぐるしく入れ替わるだろう。3位以下は大きく引き離している。今年のリーディングサイヤー争いは、早くもこの2頭に絞られた感じだ。