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道悪に強い血統は・・・

  • 2013年04月05日(金) 12時00分
 どうやら桜花賞はクロフネサプライズが1番人気になりそうだ。確かに過去10年、チューリップ賞をステップに桜花賞馬に輝いた牝馬が、昨年のジェンティルドンナを含めて5頭もいる。桜花賞に直結する阪神JFでも、勝ち馬にクビ差の2着だった。

 今年のクラシック戦線は勝ち馬がめまぐるしく変わっている。混戦模様だけに、クロフネサプライズだけが抜けた存在とは言えないが、血統的にも合格点をつけられるものだ。父のクロフネは野武士の異名をとった競走時代の男っぽいイメージとは違い、牝馬に活躍馬が多い。

 これまでに出したJRA重賞勝ち馬と、交流重賞の勝ち馬12頭のうち、代表産駒のカレンチャン(高松宮記念)、ホエールキャプチャ(ヴィクトリアマイル、桜花賞2着)、スリープレスナイト(スプリンターズS)を含め10頭までが牝馬だ。

 父クロフネ×母の父トニービンの配合が、カレンチャンと同じである点も心強い。週間天気予報は土、日とも雨。馬場の悪化が予想されるが、クロフネは本質的にパワータイプで、産駒は芝でやや決め手を欠くだけに、むしろそのほうが都合がいいだろう。

 道悪で最も注意を要するのが、ステイゴールド産駒だ。オルフェーヴルのダービー、ゴールドシップの皐月賞、バウンシーチューンのフローラS…。ステイゴールド産駒は道悪がめっぽう巧い。雨ならウインプリメーラも注意が必要となってくる。

 問題はここ2戦、1番人気を裏切っているコレクターアイテムだ。しかし血統から早熟の文字は浮かんでこない。巻き返しは可能とみる。道悪は未知数ながら、父のハーツクライは欧州遠征の重たい馬場、ドバイの馬場でで実績を上げた馬だ。事実、産駒も全体に渋った馬場は巧い。

 桜花賞、オークスに強いディープインパクト牝馬も、無視はできない。馬場の悪化は、血統的にそれほどマイナス材料にはならないだろう。今年の3歳は全体に小粒だが、レッドオーヴァル、アユサンが馬券に絡んでも何ら不思議はない。

血統評論家。月刊誌、週刊誌の記者を経てフリーに。著書「競馬の血統学〜サラブレッドの進化と限界」で1998年JRA馬事文化賞を受賞。「最強の血統学」、「競馬の血統学2〜母のちから」、「サラブレッド血統事典」など著書多数。

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