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H24年度の開催成績より

  • 2013年04月05日(金) 18時00分
 NAR地方競馬全国協会より、平成24年度地方競馬開催成績のリリースがあった。全国各地の競馬場の入場人員や馬券の売上げの集計だが、まずそのリリースの冒頭の一文でちょっとショックを受けた。

「平成24年度の地方競馬の開催日数は、平地・ばんえい合わせて16競馬場で、……」

 90年代には「地方競馬30場」というキャッチフレーズのようなものがあったのが、現在は16場……いや、福山競馬場が廃止となり、この4月からは15場で、この20年ほどで開催が行われている地方競馬はちょうど半分になってしったことになる。

 ちなみに日本での軽種馬の生産頭数を見ると、90年代の前半には、アラブ系も含めた軽種馬の生産頭数が年間13,000頭近くあったものが、昨年は7,000頭を割り込むまでになってしまった。

 そして昨年度の馬券の売上げはというと、全国計が3326億603万4800円で、ピークだった平成3年度に9800億円余りあった当時との比較では約1/3。生産頭数と競馬場が半減なのに対して、売上げが1/3では、単純に考えてもいかに地方競馬の経営が厳しいかがわかる。

 それでも昨年度は、前年比で100.4%、1日平均で101.7%と、わずかではあるものの2年連続で増加となったそうだ。ただ一昨年度の4〜5月は震災の影響で開催を取止めていた競馬場もあり、単純な比較は難しい。また、ここ2年で荒尾、福山と2つの競馬場が廃止になった影響もあるだろう。さらには、昨年10月からJRAのIPATでの発売始まったにもかかわらず、増加がごくわずかだったと考えれば楽観視はできる数字ではない。IPATの影響については昨年度分は後半のみなので、今年度の推移を見守りたいところだ。

 さて、競馬場別の売得金の増減で目を惹くのが高知競馬で、総売得は前年比で115.8%、1日平均で113.4%というもの。開催日数ではわずかに2日増えただけで、今の時代に、ともに1割以上の増加はすごい。

 高知競馬の売上げは、ネットを含めた場外発売の割合がすでに9割近くになっていて、これは通年ナイター開催によってターゲットをネット発売にシフトするという効果の表れかもしれない。またJRA-IPATでの発売開始以降は、それに対応するべく開催日(曜日)や、発走時刻などにもかなり柔軟な対応が見られたので、そうした効果もあったのだろう。

 高知競馬といえば、一時は廃止が決定的なところまでいきながら、県が赤字分を一度清算し、以降は赤字を出せば即廃止というあとがない状況で競馬が続けられてきた。賞金額的には全国で最低のレベルでありながら、それでも全国レベルで活躍する馬がコンスタントに出てくることにはたびたび驚かされる。

 そして昨年度までは最下級条件の1着賞金が9万円だったものが、今年度からは10万円と、わずかではあるが増額されている。

 今年度以降も、前年比10%レベルで馬券の売上が増加していくようであれば、高知競馬は廃止寸前から立ち直ったモデルケースとして、今まで以上に注目されるかもしれないし、そうなってほしいと期待したい。

1964年生まれ。グリーンチャンネル『地・中・海ケイバモード』解説。NAR公式サイト『ウェブハロン』、『優駿』、『週刊競馬ブック』等で記事を執筆。ドバイ、ブリーダーズC、シンガポール、香港などの国際レースにも毎年足を運ぶ。

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