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J-PLACEとウインズ

  • 2013年04月12日(金) 18時00分
 この1年で中央・地方間の馬券相互発売が一気に進んだ。「進んだ」と過去形にするより、現在進行形と言ったほうがいいかもしれない。

 もっとも目立ったところでは、昨年10月からスタートした地方競馬IPATだろう。あらためて説明する必要もないかもしれないが、JRAの電話・ネット投票システムで地方競馬の馬券に投票できるというもの。

 先週のこのコラムでも触れたが、これによって高知のように売上げを伸ばしている主催者もある。2009年7月に高知競馬が始めた通年ナイターは、結果的に地方競馬IPATにぴたりとはまった。通年ナイターを始めるときに、現在の地方競馬IPATを想定していたということはないだろうが、これ以上ないタイミングでのナイター開催のスタートだったと言ってもいいかもしれない。

 また地方競馬IPATのスタートに先駆け、昨年4月からグリーンチャンネルで地方競馬中継が始まったことも画期的だった。

 そして現在進行形なのが、地方競馬の施設におけるJRAの馬券発売の拡大だ。この3月から4月にかけて、北海道、大井、金沢、名古屋、高知の各競馬場と、それらに付随した一部場外施設でJRAの馬券が買えるようになっている。おそらく今後、他の競馬場にも拡大していくのだろう。

 ただちょっとややこしいのが、地方競馬でJRAの馬券を売る際の名称として、『J-PLACE』と『ウインズ』とがあることだ。J-PLACEは地方競馬の共同トータリゼータシステムによって馬券を発売しているところ。対してウインズは、いわばJRAの直営場外となっているところで、地方の競馬場では、盛岡、水沢、浦和、川崎、姫路、佐賀などがある。

 すでにしつこいほど案内されているが、別名称で存在しているのは、馬券の互換性がないため。J-PLACEで買った馬券は、J-PLACEでしか払い戻すことができない。

 ファンにとってみれば、これはきわめてややこしい。それぞれが立ち上がった経緯をわかっていれば、なるほど仕方ないかとも思えるが、たとえばこれから競馬を始める人にしてみれば、まったく同じ馬券を売っているのに、なんでJ-PLACEとウインズがあって、それぞれ別の施設では馬券が払い戻せないのかと思うことだろう。特に南関東では、大井がJ-PLACEで、浦和と川崎がウインズになっている。南関東の馬券はどこでも払い戻せるのに、JRAの馬券は互換性がないのだ。

 たしかに現時点では、場外発売が拡大され便利になったということでは大きな進歩だが、実際には“カオス”といってもいい状態だ。古い話になるが、ビデオの規格にベータとVHSがあったことに似ている。

 ファンの利便性を考えるなら、これらは将来的には一本化されるべきだろう。J-PLACEとウインズの2本立てであるにしても、たとえば地方競馬の施設はすべてJ-PLACEに統一されるべきと思う。そもそも、浦和競馬場や川崎競馬場が、JRAの馬券を売るときにはウインズ浦和、ウインズ川崎と呼び名が変わるというのも違和感があり、ファンにとっては混乱のもとだ。

1964年生まれ。グリーンチャンネル『地・中・海ケイバモード』解説。NAR公式サイト『ウェブハロン』、『優駿』、『週刊競馬ブック』等で記事を執筆。ドバイ、ブリーダーズC、シンガポール、香港などの国際レースにも毎年足を運ぶ。

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