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泣き虫ジョッキー小牧騎手の壮絶な少年時代

  • 2013年04月16日(火) 18時00分
「最近、泣いたことは?」との質問に、ドラマの「とんび」を挙げた小牧騎手。毎週、泣きながら観ていたそうです。そんなドラマの話題から、一昨年に亡くなったお父様の話になり…。小牧騎手の壮絶な少年時代が明らかに!


■何を考えているか、ようわからん親父やったわ

──ユーザーから、「“泣き虫ジョッキー”の小牧騎手ですが、最近はどんなことで泣きましたか?」という質問がきています。

娘の前でも泣いてしまいます

娘の前でも泣いてしまいます



小牧 ああ、「とんび」(今年1月13日〜3月17日まで放映されたTBS系ドラマ)で毎週泣いてましたわ。録画して、娘と一緒に観ることが多かった。

──娘さんの前でも泣いてしまう?

小牧 普通に泣きます。娘のほうをチラッと見ると、「また泣いてるわ…」みたいな顔をして僕のこと見てるよ(笑)。「とんび」はジワッとくる感じやったけど、泣くときは膝を抱えて平気で号泣するからね。

──そんな小牧さん、素敵です(笑)。小牧さんが「とんび」にハマっていたことをご存じの方も多いようで、「(内野聖陽さん演じる)やっさんのどういう部分に共感しますか?」という質問もきています。

小牧 共感するというか、なんかかわいいですやん。思っていることを言葉にできない不器用なところとか。それでいて、なんせ頑固でしょ? で、周りの人がすべてわかった上で、そんな彼を助けてくれる。そうやって、みんなが支え合って生きてるあたりが、感動するやんね。昭和的な感じが、なんか懐かしくてもあって。

──以前、「とんび」のお話をしたとき、「親父を思い出す」とおっしゃってましたよね。

小牧 全然似てないねん。似てないんやけど、あのドラマを観てると、“親父もああだったのかな、あのときはこうだったのかな”とか、いろいろ考えさせられてね。一昨年、亡くなったんやけど、親父とはあんまり話さなかったから。きちんと話した記憶がないねん。

──どんなお父様だったのですか?

小牧 ん〜、今思い出しても、何を考えとったんかなぁって。自分本位というか、楽しんで生きてたような気はするけど、かといって、遊びにはよう連れて行ってくれたし、ようわからんわ。優しかったけど、とにかく何を考えているのか、ようわからん人でしたわ。なんせ、働くことが好きじゃなかった人だから(笑)。仕事でも失敗ばっかりしてね。

──小牧さんは、15歳で親元を離れてジョッキーを目指したんですものね。男同士、お酒を飲みながらじっくりと…という機会も、なかなか持てなかったでしょうね。

小牧 そうやね。でも一度、親父が会社を立ち上げるっていう話が持ち上がって、“いろいろと相談したいから、とりあえず帰ってきてくれ”って言われてね。弟とふたりで帰って、そのときはじっくりと話をしたなぁ。親父には仕事のパートナーがいたんやけど、どうもその人が信用できない気がして、弟と猛反対してね。でも結局、その人と一緒に会社を立ち上げて、案の定、お金を持って逃げられた(笑)。

──そんなことがあったんですね。

むっちゃお人好しやねん

むっちゃお人好しやねん



小牧 そうそう。とにかく、むっちゃお人好しやねん。なんせ僕は、子供のころに夜逃げを経験しているからね(笑)。ドラマとか映画の世界やで、ホンマに。みんな、そんな経験したことないやろ?

──はい…。ご苦労されたんですね。

小牧 それも、親父の事業の失敗が原因やからね。小学校3年生やったかな。夜逃げしてしばらくは、牛小屋の上に家族4人で住んでたんやもん。友達にも何も言わずに、突然いなくなって。だから、宮崎の友達とはそれっきりですわ。そうこうするうちに、親父の両親が持っていた土地に家を建てて、15歳まではずっとそこで暮らしてましたわ。

──その後はお父様のお仕事も順調に?

小牧 弟が競馬学校を卒業したと同時に、両親そろって宮崎から岡山に出てきたんです。その頃は、ふたりでよう働いてましたわ。そのうち、親父が病気になってね。岡山の有名な大学病院に入れてもらったんやけど、勝手に出て行ったりして、いうことを聞かないねん(笑)。そのあと宮崎の病院に移って、最後は肺炎で亡くなったんやけどね。

──お父様が亡くなって、人生観が変わったとおっしゃってましたよね。いろいろとあっても、やはり大きな存在だったのでしょうね…。

小牧 そうなんかなぁ。でも確かに、大きな出来事だったね。すべてがちっぽけなことのように思えてきて。でも、涙は出なかった。親戚たちが、「太くんは、ひとつも涙を流さへんな」って言ってたらしいわ。こうやって改めて話してみると、ホンマにドラマみたいやなぁ。

──お母様は現在、おひとりで?

小牧 そう、宮崎でね。酔っ払うと寂しくなるのか、電話がかかってくるわ(笑)。

──お母様もお酒がお好きなんですね。

小牧 飲む飲む(笑)。焼酎のデカい瓶があるでしょ? あれを飲んでるわ(笑)。いろいろあったけど、今は友達もたくさんいて楽しく暮らしてるみたいやから、僕も安心してますわ。

【次回の太論は?】
ホットヨガに通ったり、馬場を走ったり、体調&体力維持には余念のない小牧騎手。昨秋の骨折を機に、体だけではなく気持ちの面でも若くあり続けるために、ある物を購入されたそうです。そのほか、“手前を替える”という行為についてや、レースとレースの間の過ごし方など、ユーザーの質問にも答えます。
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太論 / 小牧太
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1967年9月7日、鹿児島県生まれ。1985年に公営・園田競馬でデビュー。名伯楽・曾和直榮調教師の元で腕を磨き、10度の兵庫リーディングと2度の全国リーディングを獲得。2004年にJRAに移籍。2008年には桜花賞をレジネッタで制し悲願のGI制覇を遂げた。その後もローズキングダムとのコンビで朝日杯FSを制するなど、今や大舞台には欠かせないジョッキーとして活躍中。

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