今週は春の天皇賞。オルフェーヴルの回避は寂しいが、同じステイゴールド産駒のゴールドシップ、フェノーメノが出てくる。どうやら人気も、この2頭に集まりそうだ。
ゴールドシップの菊花賞、有馬記念の強さは圧巻だった。母の父メジロマックイーンを彷彿とさせる長い末脚を繰り出し、横綱相撲で他馬をねじふせた。
菊花賞は純然たるスタミナ勝負になりにくい。スローで流れて直線でヨーイドンの競馬だから、スタミナに自信のないマイラーでも上位に食い込んでくる。しかし、昨年の菊花賞は違った。
ゴールドシップが早めに動いてレースをつくり、ハードな展開に持ち込んだ。これが本来の菊花賞である。それを裏づけるように、2着にはスカイディグニティ(父ブライアンズタイム)、3着にはユウキソルジャー(父トーセンダンス)が入った。
ブライアンズタイムは昔から菊花賞に強い血統だし、トーセンダンスはダンスインザダーク(菊花賞)の全弟である。ゴールドシップが今週の天皇賞・春でも、菊花賞と同じレースをするなら、スタミナに自信のない馬は苦しい。
ジャガーメイルは9歳になったが、3年前の優勝馬。前2走の香港ヴァーズ、ダイヤモンドSでも2着に好走しており、軽視はできない。長距離適性という点では、ハーツクライ産駒にも注意を要する。
近年、自身の力で産駒にスタミナを伝える成功種牡馬は少ない。ダンスインザダーク、オペラハウスぐらいのものだったが、どちらも今は影響力を失っている。
そんななか、新たに台頭したのがハーツクライだ。有馬記念でディープインパクトに初黒星をつけ、ドバイシーマクラシックを勝ったスタミナを産駒によく伝えている。昨年の天皇賞・春でも、ウインバリアシオンが3着、ギュスターヴクライが5着に好走した。
今年のアドマイヤラクティ、カポーティスターにも注意したい。ことにアドマイヤラクティは、母の父が凱旋門賞馬で、祖母の父がベルモントSの優勝馬。スタミナ勝負にはもってこいの血統構成になっている。