人気がなくても自信があったり、断然の人気でも不安があったり…。ジョッキーの手応えと実際の人気には、得てして隔たりがあるものです。そんなジョッキーならでの心理がよくわかる、小牧騎手の1か月。3月4週目から4月3週目までのレースを振り返ります!
■シャイニーホークは折り合いひとつで京王杯SCでも!──3月後半からのレースを振り返っていきたいのですが、やはりベストレースというと…。
小牧 それはもう、シャイニーホークですわ(
3月24日・阪神11R・六甲S)。迷わずあれがベストレースやね。その前のレース(小倉大賞典)では、出遅れて半分持っていかれて、話にならん乗り方をしてしまったんでね。でも、うまく乗れば、走るのはわかってた。どうにかしたいと思ってたから、ホンマにうれしかった。
──折り合いひとつということですね。ハマったときは、本当にいい脚を使います。
小牧 そうやね。1600mでも長いと思ってたくらいなんやけど、六甲Sはスタートも良かったからね。勝つときはあんなもんですわ。それにしても、人気がなかったね。
──そうなんですよ。10番人気でした。
うまく乗れたら絶対に勝てると思っててん
小牧 乗り方ひとつの馬やから、うまく乗れたら絶対に勝てると思っててん。なんせ乗り難しいから。
──そういう馬で勝つと、よろこびも大きいですよね。
小牧 うん、だからホンマにうれしかった。ゲートのなかでは、とにかく出遅れんでくれと祈ってたわ。後手を踏むと、位置取りが中途半端になるでしょう。引っ張ったら余計に引っ掛かるし、ああいう馬は最初から気持ちよくスーッと行かさないとね。
──次走は京王杯SC(5月11日・東京芝1400m)だそうですね。
小牧 そうです。行きます、僕。今度は1400mやし、うまく乗れたらいい競馬ができると思う。
──六甲Sで2着だったサンレイレーザーが、次走のマイラーズCで2着ですからね。
小牧 ああ、そうかそうか。何度もいうけど、ホンマに折り合いひとつ。中間もいい感じですわ。
──4月6日(
阪神1R・ダ1800m)のヴァレンティーアも、小牧さんらしい騎乗というか、自ら動いての強い勝ち方でした。
小牧 メンバーに恵まれたこともあるけど、前回気合いを入れて乗ったのが、あのレースにつながったのかなと思ったね。馬の行きっぷりが良かったです。自分から動いて行けたんでね。馬主さんもよろこんでましたわ。
──佐々木主浩さんですよね。
小牧 そうそう。
マイラーズCでマジンプロスパーに乗ったやろ? レース前にお会いしたんやけど、「ありがとうございました」と言っていただいて。あんまりお話したことはないけど、たしか僕と同じ年やったんちゃうかな。
──そのマジンプロスパーは、久々のマイルでコンマ3秒差6着。どう評価されますか?
小牧 僕自身は、完璧に乗れましたわ。折り合いもついたし、道中は“これはイケるんちゃうか”と思ったほど。でも、やっぱりちょっと足らんかった。初めて乗った馬やし、距離が長いとしかいいようがないな。
──続いて、ワーストレースとして印象に残っているのは?
小牧 むちゃくちゃ下手には乗ってないなぁ。だから、コレといったワーストレースはないね。(1番人気で4着に負けた)ツルマルスピリットにしても、今回はちょっと厳しいかなぁと思ってました。下が締まった馬場だったでしょ? あの馬は時計がないからね。使い詰めやし、案の定でしたわ。
──シャイニーホークのように、人気がなくても“折り合いひとつで勝てるかも”と思っているレースもあれば、ツルマルスピリットのように断然の1番人気でも、“今回はちょっと厳しいかな”と思うレースもある。ジョッキーの手応えと人気は、必ずしも比例するものではないんですね。
小牧 そうやね。折り合えばいい脚が使えるとか、時計が足りないんちゃうかとか、乗ってるとわかるんでね。
──ナイスミーチューの
アンタレスS(4月13日・阪神11R)は5着。この結果については?
ナイスミーチューは内枠が当たれば…
小牧 頑張りました。外枠はちょっとしんどいなぁと思ったんですけどね。確かにもっと距離があったほうがいいけど、この前の競馬である程度メドが立ちましたわ。内枠が当たれば、1800mのメンバーが強いところでもいい競馬ができると思うわ。それに、この前は少し重め残りやったしね。
──次走は平安S(5月18日・京都ダ1900m)ですね。
小牧 楽しみです。まぁ枠順次第やね。行き脚がないから外枠が当たるときついけど、少しずつ確実に馬が力を付けてきてますわ。
【次回の太論は?】
ナリタパイレーツで参戦した皐月賞は、残念ながら11着。久しぶりに中山に遠征した小牧騎手ですが、この週はプライベートでもいろいろと忙しく過ごしていたそうです。レースと同時に、濃密な1週間を振り返ります!