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いよいよ複合商業施設

  • 2013年05月03日(金) 18時00分
 地方競馬の新人ジョッキーの活躍がまだまだ続いている。4月29日からの浦和開催で、浦和所属の2名がデビューしたが、30日の最終レースでは見越彬央(みこしあきお)騎手が勝利。デビュー4戦目だった。これで4月中にデビューした8名のうち5名が勝利。さらに5月1日には、北海道の井上幹太騎手が早くも4勝目を挙げている。開催日程の関係で4月中にデビューできなかった船橋所属の木佐貫泰佑も、5月6日からの船橋開催でデビュー予定だ。

 さて本題。すでに1か月ほど前になるが、川崎競馬場の所有者である株式会社よみうりランドから、【川崎競馬場 商業施設建設のお知らせ】というリリースがあった。

 老朽化により閉鎖されている3号スタンドを解体し、その跡地に地上5階建て(店舗は1〜3階)の商業施設を建設するというもの。運営は東急不動産が行い、テナントを誘致するというもの。2015年夏ごろの開業が予定されている。

 【商業施設の開業後は、1年365日いつでも競馬観戦、ショッピング、飲食が同時に可能となる】とあるが、なるほど川崎競馬場は、自場開催と南関東の相互発売に加え、現在ではJRAの馬券を発売するウインズ川崎としても稼働しているので、1年中ほとんど休みなく馬券が発売されている。奥様方の買い物に付き合わされる(笑)お父様方にとっては、ほとんどいつ行っても「ちょっと馬券」ということができる。

 競馬場との複合商業施設というと、ばんえいの帯広競馬場に「とかちむら」が併設されているが、飲食店が中心のため残念ながらたくさんの人を呼ぶというには至っていない。また船橋競馬場には、すぐ隣に大型商業施設があるが、幹線道路を挟んでいるため人が行き来するということにはなっていない。それゆえ、同じ敷地内に本格的な大型商業施設を併設するということでは、他種公営競技も含めて初めてのケースになるのではないだろうか。来場者は年間約300万人が見込まれている。

 アメリカでは90年代から競馬場にそうしたショッピング施設やカジノの併設が進んでいた。競馬場への来場者が減少し、馬券の売上げも目に見えて下がっている日本でなぜそれをやらないだろうと思っていたので、ようやくという気がする。JRAのどこかの競馬場にそうした施設をつくらないものかとも思っていたのだが、なるほどJRAの競馬場では基本的に土日しか馬券の発売が行われていない。しかし今の川崎競馬場であれば、ほぼ365日稼働しているということから、日本の競馬場の中ではもっとも実現に値する場所だったのかもしれない。

 川崎競馬場周辺は近年、マンションの建設ラッシュであることも好条件だ。最近では「駅前シャッター街」という言葉があり、マンションなどの集合住宅とともに、大型ショッピングセンターなどはどんどん郊外へと進出している。

 先日、船橋競馬場の場外施設としてオープンした「f-keiba木更津」に予想トークイベントで呼ばれる機会があったのだが、それが駅の真ん前で驚いた。駅前のショッピングビルのテナントが撤退し、その一角を場外発売施設にしたというもの。首都通勤圏でもこうしたシャッター街化が進んでいるのかというのも新たな発見だった(f-keiba木更津については、いろいろと興味深いことがあったので、あらためて取り上げる)。

 さすがにターミナル駅である川崎駅前がシャッター街化することはないだろうが、それでも西口には駅直結の大型商業施設ができた反面、競馬場がある東口側は一昔前の駅前繁華街という印象は否めない。そういう意味では、駅前と、駅から少し離れたところと、二分化が進んでいるのかもしれない。

 いずれにしても、大型ショッピングセンターと競馬場が同じ敷地内にあり、それがほぼ365日、休みなく稼働しているという状況を想像するとワクワクする。

 本格的な複合施設化によって、競馬場にも人が集まり、さらには馬券の売上げにも影響するのかどうか。川崎競馬場は、ひとつのテストケースとして期待は大きい。

1964年生まれ。グリーンチャンネル『地・中・海ケイバモード』解説。NAR公式サイト『ウェブハロン』、『優駿』、『週刊競馬ブック』等で記事を執筆。ドバイ、ブリーダーズC、シンガポール、香港などの国際レースにも毎年足を運ぶ。

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