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ダート交流重賞の再編

  • 2013年05月10日(金) 18時00分
 冒頭が新人ジョッキーの追っかけみたいになっているこのコラム。それは今年度の新人騎手の活躍がスゴイからで、開催日程の関係で最後のデビューとなった船橋の木佐貫泰佑(きさぬきたいすけ)騎手もなんと! デビュー9戦目の9日第1レースで見事に初勝利を挙げた。さらに北海道の石川倭(いしかわやまと)騎手も、デビュー6戦目となった5月3日に初勝利。これでこの4月以降にデビューした新人ジョッキー9名のうち、7名が勝利を挙げたことになる。

 特に北海道の2名の活躍は目を見張るものがある。デビュー初日に3勝を挙げて注目された井上幹太騎手は9日にも2勝を挙げ、23戦8勝。勝率は34.8%で、なんと! その9日終了時点で北海道リーディングに立っている。石川倭騎手も9日までで15戦3勝という成績は立派だ。デビュー前の取材で話を聞いたときに、この2人ともが目標として、昨年デビューして52勝を挙げた同じ北海道の阿部龍騎手を超えることと言っていたのだが、さすがにそのときは「それは無理だろう」と思ったのだが、いやはや申し訳ない。アベリューの域までいくかもしれないというほどの活躍だ。

 前置きが長くなって申し訳ない。まだ勝利を挙げていない2名が、向う1週間のうちに初勝利を挙げることがあれば、この新人ジョッキー追っかけの前置きは来週も続くかもしれません(笑)。

 さて本題。6日に行われたかしわ記念は、大型連休最終日に行われ、またIPATでの発売もあり、馬券の売上げは8億円超のレコードとなった。

 レースも見応えがあり、JpnIにふさわしいレベルの高いものだった。かしわ記念4勝目を狙って逃げたエスポワールシチーをホッコータルマエがとらえ、ダートグレード4連勝でJpnI初制覇。4歳になっての充実ぶりを示した。

 一方で、これはどう捉えたらいいのだろうと思ったのが、地方馬の単勝オッズがすべて万馬券だったこと。中央馬との実力差が人気でもはっきりと示され、結果もそのとおり、中央5頭が掲示板を独占した。

 最近では、南関東以外の地区で行われる交流重賞では、たびたびこうしたことがあったが、まさか南関東でもこういうオッズを見ることになろうとは(調べてないので、過去にもあったかもしれませんが…)。

 それでもピエールタイガーがハナを取ろうかという勢いでダッシュを見せたところなどは、南関東としての意地のようなものは見せた。過去のレースぶりから“逃げ”の手は十分にアリだし、内枠のエスポワールシチーが譲らないと見てすぐに控えるなど、決して無謀な先行策ではなかった。もしかしてピエールタイガーが競りかけていなければ、エスポワールシチーがスローに持ち込んで逃げ切っていたという可能性も考えられなくはない。

 とはいえ結果は、はっきりと示された。単勝4倍台以下の3頭が馬券圏内を占めて三連複は210円。単勝10倍台だったテスタマッタ、セイクリムズンが4、5着。地方最先着の6着は、地方馬で唯一グレードタイトルのあるナイキマドリードだった。

 地方で行われる交流重賞は、ますます“場所貸し”になってしまうのか。それでも馬券的な魅力を考えれば、これまでたびたび主張してきたように、中央枠はフルゲートの半数くらいにすべきと思う。

 ちなみにかしわ記念は、極端なオッズになっても、それなりに馬券的な妙味はあった。中央枠が5頭あって、出走してきた5頭ともにJpnIに出走するにふさわしい実績があり、近走の内容も充実していたためだ。

 以前に比べて中央枠がわずかではあるが増えたとはいえ、まだまだ十分とはいえない。中央枠が増えないのはJRA側の意向で、それを増やしてしまうとJRAで行われるダート重賞やオープンの出走馬の層が薄くなってしまうからと言われている。層が薄くなるということは、つまりダート重賞やオープンクラスの番組が多すぎるということなのかどうか。

 地方競馬では、廃止になった競馬場以外にも、この十数年でいくつかの交流重賞が廃止または地方重賞に格下げとなっている。中央・地方が連携を強めた上で、ダート重賞路線の見直しがそろそろ必要ではないか。

1964年生まれ。グリーンチャンネル『地・中・海ケイバモード』解説。NAR公式サイト『ウェブハロン』、『優駿』、『週刊競馬ブック』等で記事を執筆。ドバイ、ブリーダーズC、シンガポール、香港などの国際レースにも毎年足を運ぶ。

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