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外国人ジョッキーの通年免許に、地方出身の太は!?

  • 2013年05月14日(火) 18時00分
いよいよ春競馬のクライマックス、オークス、ダービーが目前に迫りました。今年は、桜花賞、皐月賞とデムーロ兄弟が制覇し、これについては「日本人として悔しい」と感じているユーザーも多いよう。そんなユーザーからの「小牧さんは悔しくないですか?」といった率直な質問のほか、過去の重賞勝利に関する質問など、今回もユーザーからの直球勝負に、小牧騎手が本音で挑みます!

■デイリー杯は、勝ってから重賞だって知ったわ(笑)

──ユーザーからの質問です。「今年は桜花賞、皐月賞ともにデムーロ兄弟が勝ちました。僕は正直、悔しいです。一緒に戦っている小牧騎手も、日本人ジョッキーとして、やはり悔しい気持ちになるのでしょうか」というものです。

小牧 悔しいというか、ファンの立場になって考えると、おもしろくないやろうなとは思うね。ましてや桜花賞はワンツーでしょ。僕は騎乗してなかったから観てた側やけど、なんか盛り上がりに欠けるというかね。自分が同じレースで有力馬に乗ってたりしたら、また気持ちも違うんやろうけど。

──その桜花賞を勝ったのは、弟のクリスチャン・デムーロ騎手でした。彼の印象は? という質問もきています。

小牧 印象は、たしかすごく若いんだよね。20歳だっけ? 変な意味ではなくて、あんまり気にして見てないなぁ。ただやっぱり、重賞も勝ってるし、そつなく乗ってくるから、いいものを持ってるんだろうと思う。お兄さんのミルコは、ペースを読む能力に長けてるよね。ペースによっては早めに仕掛けたり、桜花賞のときのようにジッとしてたりね。そういう部分で天才的なものを持ってるんだろうなぁと思うね。

──外国人ジョッキーの免許制度が見直されて、通年免許が認められるようになるそうですね。日本を拠点にすることが条件だそうですが、この制度の変更についてはどう思いますか?

(外国人騎手の通年免許は)しょうがないでしょうね

(外国人騎手の通年免許は)しょうがないでしょうね


小牧 しょうがないでしょうね。僕らだって、そうやって中央に入ったわけやから。

──そうですよね。地方ジョッキーの方と同じような制度になるわけですものね。

小牧 そうそう。僕らも制度の変更があったから今があるわけやし。しょうがないとしか言えないな。

──年間を通して外国人ジョッキーが騎乗できるようになることで、ジョッキー界はまた変わるでしょうね。安藤さんをきっかけに地方の一流ジョッキーが移籍してくるようになってから、確実に勢力図が変わりましたものね。

小牧 ん〜、どうなるんやろね。ま、あんまり考えないようにしてます。僕ら以上に、若い子が大変になるんちゃう? でもまぁ、みんな負けんように頑張るだけや。

──続いての質問です。「重賞を勝ったときに、異常に興奮したレースはありましたか? もしあれば、そのときの心境を教えてください」という質問です。

小牧 異常に興奮(笑)? そうやなぁ、やっぱり初めてGIを勝ったときは、うれしくて異常に興奮したよ。でも、重賞やGIを勝ったときって、うれしいよりホッとするほうがジョッキーは多いんじゃないかな。まぁ、平場でも同じやけどね。馬券を獲ったファンのほうが興奮するんちゃう(笑)?

──人気を背負っている馬で勝ってホッとする気持ちはわかりますが、人気がなかったときも同じですか?

小牧 たとえ人気がなくても、この馬はうまく乗ればいいところがあるなって思ってる場合が多いよ。乗ってればわかるからね。それに、どんなレースでもある程度力のある馬じゃないと勝てないから。人気はファンが決めることやしね。

──では、今まで勝った重賞のなかで、まったく自信がなかったレースはないということですか?

小牧 うん、そうやね。全部が全部、自信があったわけじゃないけど、さっきも言ったように、うまく乗れば勝てるチャンスはあるなと思っていた馬ばかりやね。平場では、勝ってビックリしたレースもたまにあるけど。基本的には、人気してる馬で勝ったほうがジョッキーはうれしいもんやから。

──たとえば、レジネッタの桜花賞は12番人気でしたが、小牧さんとしては意外な勝利ではなかった?

レジネッタの桜花賞勝利は意外ではなかった

レジネッタの桜花賞勝利は意外ではなかった


小牧 うん、力はあると思ってた。ただ、なんせGIを勝ったことがなかったから、あのときは自信もなにもわからんかった。そういう意味では、勝てるとは思ってなかったね。でも、うまく乗ればいいレースはできるだろうなっていう手応えは持ってたよ。あと、アサカディフィートで勝った小倉大賞典(07年)も、たしか人気はなかったけど(10番人気)、僕としては走ると思ってた。あれは自信があったレースやね。

──あと、人気がなかったところでは、ペールギュントのデイリー杯2歳(04年)。9番人気でしたね。

小牧 あのときは僕的には追い切りが思うようにできなくてね。言われてみれば、まったく自信がなかった唯一の重賞かもしれん。たしか先生から「後ろでジッとしていてくれ」っていう指示があって、その通りに乗ったら、あれよあれよで勝ってしまったレースでね。それよりなにより、今でも覚えてるけど、重賞だって知らんで乗ってたんやわ。次の日が秋華賞で、池江(泰郎)厩舎の走る馬(レクレドール・3番人気6着)に乗る予定があってね。そればっかりが頭にあって。だから、勝ってから「重賞やったんか」って驚いた覚えがあるわ(笑)。

【次回の太論は?】
「同じようにスピードがあるのに、なぜ前に行ける馬と行けない馬がいるのでしょうか」といった競走馬の本質に迫る質問から、「お酒での失敗談を教えてください!」というリクエストまで、懐かしいエピソードを交えながら、熱い太論を展開します!
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太論 / 小牧太
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1967年9月7日、鹿児島県生まれ。1985年に公営・園田競馬でデビュー。名伯楽・曾和直榮調教師の元で腕を磨き、10度の兵庫リーディングと2度の全国リーディングを獲得。2004年にJRAに移籍。2008年には桜花賞をレジネッタで制し悲願のGI制覇を遂げた。その後もローズキングダムとのコンビで朝日杯FSを制するなど、今や大舞台には欠かせないジョッキーとして活躍中。

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