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先日引退したローズキングダムとの思い出を太が振り返ります

  • 2013年06月04日(火) 18時00分
2009年の朝日杯FS、2010年のジャパンCを制したローズキングダムが、ついに現役を引退することになりました。朝日杯FSでの勝利や、ダービー直前での騎乗停止など、小牧騎手にとっても思い出深い1頭です。今だから明かす低迷の原因、そしてローズキングダムから学んだこと──今回は同馬との思い出を振り返ります。

写真は朝日杯FS優勝時、撮影:下野雄規

写真は朝日杯FS優勝時、撮影:下野雄規

■スプリングSのころから異変を感じていた

──先日、ついにローズキングダムの引退が発表されましたね。

小牧 そうやね。でも、あんまり大きく取り上げられなかったなぁ。今後どうするのかも未定みたいやし。新潟大賞典を使う前から(引退の)話はあったんやけどね。

──小牧さんにとっては思い入れの深い馬ですよね。一番の思い出というと?

小牧 やっぱり、自信を持ってGIの朝日杯に乗れたこと。ゲートさえ普通に出れば、絶対に勝てると思った。あのレースは、本当に自信満々やったね。なかなかそういう馬にめぐり会えることはないし、ましてや自信満々でGIに挑めるなんてそうそうないことやから、すごく印象に残ってるよ。

──ダービー直前のまさかの騎乗停止もありました。以前もおっしゃってましたが、相当悔しい思いをされたそうですね。

あのダービーは、本当に複雑やったわ

あのダービーは、本当に複雑やったわ

小牧 ホントにねぇ…。自分のせいで乗れなくなって。当日は、家族や友達と一緒に九州の実家でレースを観たんですわ。ゴール前、その場が一瞬、静まり返ったのを覚えてる。みんな“これ、勝つんちゃうか!? ”って思ったんやろうね。勝ってほしかった気持ちと、(負けて)ちょっとホッとした気持ちと…。あのダービーは、本当に複雑やったわ。

──2011年の京都大賞典(後藤騎手が騎乗)が最後の勝利となったわけですが、ずっと近くで見ていて、何が低迷の原因だと思いましたか?

小牧 朝日杯のときは本当に絶好調だったんやけど、それが終わって、スプリングSのころやったかなぁ。なんかバランスが悪くなったんですよね。それをずっと引きずっていたような気がする。

──“バランスが悪い”というのは、具体的にいうと?

小牧 ん〜、右のトモの踏み込みがちょっと甘くなったなぁっていうのがあって、それで全体のバランスが悪くなってね。僕が思うに、それが一番の致命傷だったんちゃうかな。

──意外と早い段階から、異変を感じていらっしゃったんですね。

小牧 うん。皐月賞もそうだったけど、その前のスプリングSも、3着とはいえ完敗だったでしょ。すでに“なんかおかしいな”って思いながら乗っていたんでね。あくまで僕自身が感じたことだけど。

──昨年の京都大賞典(6着)では、2010年の皐月賞以来、久々に騎乗されましたね。

小牧 あのときも、僕が知っているローズキングダムではなかったです。調教で跨がった瞬間にわかりました。

──5月5日の新潟大賞典(11着)が最後のレースになったわけですが、正直、乗りたかったなぁというお気持ちはありますか?

小牧 一応、声をかけていただいたんです。一番最初は、その新潟大賞典を勝ったパッションダンスを頼まれたんやけどね。京都で乗る馬いるしなぁと思って、お断りした経緯があって。やっぱり行っとかなアカンね(笑)。なんか最近、そう思うことが多いような気がするわ。

──1頭の馬を通して、いろいろなご経験をされたと思いますが、改めて、ローズキングダムという馬からどんなことを学びましたか?

小牧 強い馬ってこんな感じなんだっていう感覚を学びましたね。やっぱり違うんやなぁって。またそういう馬に出会いたいね。

──6月からは新馬戦も始まりますしね。ローズキングダム級との出会いがあることを私たちも楽しみにしています。では、話は変わりまして、ユーザーからの質問です。「最近のGIや重賞で、仕掛けや駆け引きなどで目を引いた騎乗はありますか?」というものです。

やっぱりウチパクは追えるなぁと思った

やっぱりウチパクは追えるなぁと思った

小牧 目を引いた騎乗…そうやねぇ、あ! ヴィクトリアマイルを見て、やっぱりウチパクは追えるなぁと思った。あの男はすごい(笑)。これはもうダメかな…と思ったところから、ギリギリもたせたもんね。改めて、追える男やなって思ったわ。

──内田さんも42歳。同世代といえば同世代ですものね。

小牧 うん。僕もあれくらい追わなアカンなっていう気持ちになりましたね。そういえば最近、蛯名さんは乗り方が変わったよね。でも、変わらずに結果も出ているよね。

──そうですね。たしかに最近、蛯名さんの豪快なアクションが目を引きます。蛯名さんに直接お聞きになってみたらいかがですか?

小牧 機会があれば聞いてみたいね。最近そういう話になることが多いけど、なにがいいのかわからないからね。なにしろ正解がない世界やから。僕もいろいろチャレンジしてみようかな。

【次回の太論は?】
「勝ちに行く競馬と2着狙いの競馬は、具体的にどう違う?」「同じようにスピードがあるのに、なぜ前に行ける馬と行けない馬がいるの?」といったユーザーからの質問に答えるほか、最近小牧さんのバレットを始めたという娘さんとのエピソードを披露します!
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太論 / 小牧太
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1967年9月7日、鹿児島県生まれ。1985年に公営・園田競馬でデビュー。名伯楽・曾和直榮調教師の元で腕を磨き、10度の兵庫リーディングと2度の全国リーディングを獲得。2004年にJRAに移籍。2008年には桜花賞をレジネッタで制し悲願のGI制覇を遂げた。その後もローズキングダムとのコンビで朝日杯FSを制するなど、今や大舞台には欠かせないジョッキーとして活躍中。

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