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「返し馬で馬が疲れてしまうことは?」など、ユーザーの疑問に答えます!

  • 2013年06月11日(火) 18時00分
「“勝ちに行く競馬”と“2着狙いの競馬”では、騎乗の内容はどう違う?」といった際どい質問から、「返し馬で馬が疲れてしまうことはないの?」といった素朴な疑問まで、今回はユーザーからの質問が盛りだくさん。自身の体験談や失敗談を織り交ぜながら、小牧騎手がひとつひとつ丁寧に答えます!

■満腹状態で乗っているジョッキーはいないよ(笑)

──「関係者のコメントで『まだ緩い』といった言葉を目にしますが、正直、素人目にはあまりピンときません。パドックなどで、判別できるものなのでしょうか。もしできるとしたら、馬体のどのあたりに注目すればいいのでしょうか」という質問がきています。

小牧 見る人が見れば、歩き方でわかるんじゃないかな。硬そうやな、とか、フニャフニャしてるな、とか。

──「馬が緩い」というのは、具体的にいうと?

「馬が緩い」というのは…

「馬が緩い」というのは…

小牧 芯がないというか、フニャフニャしてる感じやね。筋肉が付き切っていなかったり、骨格がまだきちっとできていなかったり。若い馬に多いね。馬を知っている人や、馬をよく見てる人だったら、歩き方でわかると思うよ。

──ということは、素人がパッと見てわかるものではないのですね。

小牧 ですね。まずは、パドックで馬をよく見ることやね。硬い歩き方、柔らかい歩き方が、わかるようになると思うよ。

──続いては、少々際どい質問ですが、「“勝ちに行く競馬”とか“2着狙い”などといった表現をたまに耳にしますが、実際にそういう競馬をすることがあるのでしょうか。あるとすれば、具体的に騎乗の中身はどう違うのですか?」というものです。まぁ戦前に「2着狙い」と公言する陣営はいないとは思いますが。

小牧 “2着狙い”というわけではないけど、GIの権利を取るようなレースで、ちょっと力が足りないかなと思うような馬に乗るときは、早めに動かないようにしたりすることはあるね。本来は、ジョッキーがそう思ってしまったらダメなんやろうけど、みんなと一緒に動いて行ったらしんどいな…と感じたら、勝ち切れないかもしれないけど、じっくり乗って上位を狙うとかね。とはいえ、結果的に勝つこともあれば、伸びてくれないこともあるよ。

──そういう馬の場合、みんなと一緒に動いていってしまったら、もっと大きく負けてしまう可能性が高いということですよね。

小牧 そうやね。逆に、自分の馬が一番強いと思ったら、勝つ位置で乗る。馬にもよるけど、スタートでちょっと出していって、いい位置でじっくりね。それで、前が楽をしていれば早めに捕まえにいったり、あとは臨機応変に動くね。

──続いては、レース当日の食事について「軽い斤量の馬に乗るときは、そのレースが終わるまで一切飲み食いしないのでしょうか?」という素朴な疑問がきています。

小牧 人それぞれだろうけど、僕はしないね。あ、水分は摂るよ。

──軽い斤量で乗る予定がないときは、レースの合間に何か食べたりするのですか?

小牧 体に余裕があれば、僕はできるだけ食べるようにしてる。とはいっても、ガッツリは食べないけど。今日はこのあと57キロしかないな、っていうときは、ラーメンを半分食べたりね。そういえば、僕は唐揚げをよく食べるな。1個だけだけど。

──レースが終わるまで何も食べないという日もめずらしくないのですか?

小牧 ああ、それはしょっちゅう。ほかの人はわからないけど、僕は重たいほうやからね。とはいえみんな、食べてもサンドウィッチとか軽いものだと思うよ。なにしろ、満腹の状態で乗ってるジョッキーはいないから(笑)。

──ですよね(笑)。続いては「返し馬のやり方は、ジョッキーによってもそのときの騎乗馬によっても違うと思うのですが、ときどきけっこうな勢いで走っている馬を見かけます。返し馬で馬が疲れてしまうことはないのでしょうか」というものです。

小牧 そりゃあ、やり過ぎたら疲れちゃうでしょ。実際、暴走する馬もいるしね。僕も一度、馬場を2周くらい走ってしまったことがある(笑)。松田博資厩舎のタガノロックオンだったかな。

──2周はすごい!

タガノロックオンで2周も走ってしまった(笑)

タガノロックオンで2周も走ってしまった(笑)

小牧 前に乗ったときは全然平気だったのに、そのときはハミ受けが悪くて、引っ張ったらラチを飛び越えそうになってね。あれは怖かったわ。お客さんはみんな、そんな僕を見て『行け〜! 行け〜!』とか叫んでるし(笑)。さすがに除外になったけどね。地方競馬の古いジョッキーは、よう返し馬しとったなぁ。的場文男さんとか、今でもびっしり返し馬してるでしょう。

──ジョッキーによって違いますよね。小牧さんにとって、返し馬というのはどういう時間ですか?

小牧 歩様とかハミ受けを確認する時間やね。もちろん馬によっても変えるけど、僕はどちらかというと、パーッと行って早く日よけに入りたいほうやね(笑)。ゆっくり歩かせたりはあんまりしないかな。ただ、歩様の悪い馬は余計にキャンターを乗ったりして、じっくりほぐすことはあるね。あの少しの時間で伝わってくるものは大きいよ。ジョッキーにとっても馬にとっても大事な時間やね。

【次回の太論は?】
来週はいよいよ、4強の豪華共演が注目を集める宝塚記念。その4強のうち、小牧騎手が「一番乗ってみたい」として指名した馬は!? また、池添騎手のフランス遠征と、先頃決定した凱旋門賞での乗り替わりについても、太論でズバッと切り込みます!
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太論 / 小牧太
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1967年9月7日、鹿児島県生まれ。1985年に公営・園田競馬でデビュー。名伯楽・曾和直榮調教師の元で腕を磨き、10度の兵庫リーディングと2度の全国リーディングを獲得。2004年にJRAに移籍。2008年には桜花賞をレジネッタで制し悲願のGI制覇を遂げた。その後もローズキングダムとのコンビで朝日杯FSを制するなど、今や大舞台には欠かせないジョッキーとして活躍中。

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