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売上面に見るダービー

  • 2013年06月14日(金) 18時00分
 前回に続いてダービーウイークについての話題になるが、今回は馬券の売上面について触れてみたい。

 その前に、前回、原稿の締切りの関係で結果について触れられなかった東海ダービーは、兵庫ダービーのユメノアトサキに続いて、牝馬のウォータープライドが1番人気にこたえての勝利となった。実はこの2頭、5月16日に行われたグランダム・ジャパン3歳シーズンの第7戦、のじぎく賞での1、2着馬。3着以下を離しての一騎打ちで、ユメノアトサキがウォータープライドを半馬身差でしりぞけていた。

 もともと東海・兵庫の所属馬は、グランダム・ジャパンのタイトルを目指して積極的な遠征が目立っていた。その活躍馬が揃って“ダービー”を制したのは、転戦しながら様々な相手と様々な条件で戦うグランダム・ジャパンの効果といえそうだ。

 さて本題。今年のダービーウイークは、地方競馬IPAT導入後はじめての開催というとで、その売上面でも注目された。以下は、各ダービー1レースの売得金の前年比。

 九州ダービー 83.2%
 岩手ダービー 92.8%
 北海優駿   105.3%
 東京ダービー 111.1%
 兵庫ダービー 108.1%
 東海ダービー 93.7%

 この数字、IPATで発売が行われた3レースが100%越えで、発売が行われなかった3レースが前年割れと、はっきりとその影響が数字に現れた。

 曜日的な日程は前年と同じで、金曜日の九州ダービーと東海ダービー、月曜日の岩手ダービーは、IPATで発売できないことはわかっていたはず。地方競馬IPATのスタートが昨年10月で、それ以前から今年のこれら各ダービーの日程が決まっていたとは考えにくい。

 たとえば九州ダービーなどは、ダービーウイークがスタートした06年から10年までは日曜日の開催で、特に08〜10年はJRAの日本ダービーと同日の開催だった。

 佐賀競馬場には同じ敷地内にJRAの馬券発売所があり、日本ダービーや安田記念(06・07年)の馬券を買いに来た中央競馬ファンの購買への期待もあったが、自場の売上げはなかなか伸びず、11年以降は平日開催に移行し、南関東をはじめとする地方競馬の広域場外頼みへと舵を切った。

 実際に10年までの九州ダービーの売上げでは、08年の4851万円余りが最高だったものが、11、12年は5千万円を越えた。しかし今年は一転、4293万円余りと落ち込んだ。

 また岩手ダービーは、今年はじめての5千万円割れで過去最低。2011年の大震災の年より、昨年、今年と2年連続で売上げを下げている。

 今年地方競馬IPATでの発売がなかった3場のうち、佐賀と岩手はもともと週末の開催が中心。来年のダービーは、地方競馬IPATでの発売が可能な週末開催を検討すべきだろう。

1964年生まれ。グリーンチャンネル『地・中・海ケイバモード』解説。NAR公式サイト『ウェブハロン』、『優駿』、『週刊競馬ブック』等で記事を執筆。ドバイ、ブリーダーズC、シンガポール、香港などの国際レースにも毎年足を運ぶ。

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