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連敗を止めた小牧騎手が「1勝の重み」について語ります

  • 2013年06月25日(火) 18時00分
5月5日の勝利を最後に、めずらしく1か月以上勝ち星から遠ざかっていた小牧騎手ですが、6月15日の阪神12Rをミッキーマーチで勝利し、連敗は76でストップ。今回は、直近のレースを振り返りながら、勝てなかった日々の苦悩と1勝の重みについて、素直な思いを語ります。
(取材・文/不破由妃子)

■GI路線に乗れる馬を見つけていかな!

──まずは、ミッキーマーチ(6月15日・阪神12R)での連敗ストップ、おめでとうございます! 気づいたら、5月5日のハナズインパルス以降、勝ってらっしゃらなくて…。

小牧 そうやねん。「勝ってないなぁ」って言いながら、1カ月以上経ってしまって。ファンの人が言ってたけど、76連敗だったらしいわ。もちろん自分でも「勝てんなぁ。こんなときもあるんやなぁ。初めてやなぁ」って思ってた。ただ、いい競馬はしてるつもりでいたんでね。勝てる馬に乗れば勝てるやろって思ってたんやけど、結局、なかなか勝てんと。なんかね、おもしろくなかった。

──さすがの小牧さんでも、焦りを感じましたか?

小牧 焦りはなかった。ただ、こういうときこそ、ケガに注意せなアカンなと思ってましたわ。ま、100連敗でもして、記録作ったれ! なんて思ったりもして(笑)。でもホントに勝ててよかった。ファンの人もすごく喜んでくれてね。

──際どい勝負でしたけど、ひょっとしたらガッツポーズが出るかな…なんて思いながら見てました。

ジョッキーは勝つのが一番

ジョッキーは勝つのが一番

小牧 いや、負けてると思ったから。人間に勝ち癖がついてないし、最近ついてないのもあって、たぶん差されたんちゃうかなぁと思いながら上がってきてね。そうしたら、1着のところに僕の馬の厩務員さんがいてガッツポーズをしてたんで、そこで初めて「やったぁ!」って。やっぱりジョッキーは勝つのが一番やね。よう勝ってくれました。

──勝てなかった1カ月を振り返ると、やはりリズムがもうひとつだったな…という印象ですか?

小牧 いや、なんかね、ついてなかったなって。運がなかったというかね。人気してる馬でも全然アカンかったし、制裁もあったし。

──6月2日のアドマイヤフライト(阪神11R・垂水S・1番人気14着)ですね。

小牧 そうそう。普通に乗ってくれば勝てるやろうなぁと思っていて、実際、下手に乗ったわけじゃないのに全然ダメだったでしょう。僕自身、つくづく“勝てんなぁ”と思ったレースやったね。

── 一瞬、故障かと思いました。結局、敗因はなんだったんでしょう?

小牧 とにかく、直線で走りがバラバラになってしまって。終わったあと、トモに疲れがあったらしいけど、それが敗因じゃないと思うよ。まぁ、あの馬にしたら1800mは短いね。位置取りも良かったんだけど、ペースが遅くなったでしょう。そこからヨーイドンの競馬になったときに、たぶんあの長い馬体じゃついていけなったんだろうね。

──直線は苦しそうに、右に左にヨレてましたものね。

小牧 そう邪魔してしまってね。それで過怠金(7万円)の制裁をもらったんですわ。てっきり騎乗停止かと思ったんやけどね。でも、自分の制裁より、勝てると思ったレースで全然ダメだったことのほうがガックリきたね。でも、あの馬自体はめっちゃ乗りやすい。もっと走ってきそうですわ。

──ミッキーマーチでの久々の勝利から、翌日もアドマイヤスパーズとキラウエアで2勝をマークしました。

小牧 ひとつ勝って、気持ちが楽になったからね。アドマイヤスパーズは快勝やったけど、正直、勝つのは難しいかな…と思っていた。でも、未勝利はだいぶメンバーが薄くなってきてるんで、よう考えたら順当勝ちやね。キラウエアも、外枠(8枠16番)っていうのもあって自信はなかったんやけど、終わってみれば強い競馬でした。下(馬場)が締まってたのが、かえってよかったのかもしれんね。リズムがいいときは、勝てると思ってなかった馬でも勝つし、まぁそんなもんですわ。

──その日は、米子Sもありました。シャイニーホーク(4着)は残念でしたね。

小牧 うまいこと乗りすぎたね。スタートが良すぎた。あとはやっぱり、1600mは長い。ハミが抜けなくて引っ張ったわ。うまくハミさえ抜けていれば勝ち負けしてたよ。でもやっぱり走る。そう思うと、改めて京王杯SC(13着)はなんで走らんかったんかな…と思ってね。敗因は、輸送か左回りしか考えられへんのやけど、もともと右にモタれる馬やから、かえって左回りのほうが走りやすいんじゃないかと思ったんやけどね。なんでかねぇ…。

──京王杯SCは、小牧さんにとってもいまだに不可解な一戦なんですね。

小牧 うん。力があるのはわかっているだけにね。僕自身、すごく楽しみにしていた一戦やったし。今思えば、あのあたりから僕の調子もおかしかったね。先週勝ったことをきっかけに、これから良くなってくれたらいいんだけどなぁ。今年は重賞もあんまり乗らんと、なんか最悪やね(笑)。

──意外にも、春のGI騎乗は皐月賞だけでしたね。

GI路線に乗れる馬を自分で見つけないと

GI路線に乗れる馬を自分で見つけないと

小牧 そうやねん。春競馬は全然やったなぁ。まぁ、こういう時期もあるでしょう。来年はもうちょっとね、GI路線に乗れる馬を自分で見つけていかなアカンなと思ってます。

──そういえば、バレットとして近くで見ているだけに、連敗がストップして娘さんもホッとしているのでは?

小牧 うん。勝ったときはさすがにニコニコしてたわ。嬉しかったんだと思う。自分がバレットをやっているなかでの連敗やから、嫌な気持ちやったんちゃうかな。

──相変わらず、奥様に“チクリン”してる様子ですか?

小牧 いろいろ話してるみたいやで。だって嫁さん、最近なんでもよう知ってるもん(笑)。この前、家に帰ったら、テーブルの上に嫁さんから息子宛のメモが置いてあって、そこに『12R、勝っとったで』って書いてあった(笑)。“おいおい、競馬観てんのかよ!”ってビックリしたわ。今まで全然観なかったのに、娘がいろいろ話してる証拠やね。

【次回の太論は!?】
 今年のダービーでは、小牧騎手が『大ファン』と公言してはばからない武豊騎手が、感動のトップゴールを切りました。後日、そのダービーついて言葉を交わしたそうですが、どうやら同世代の騎手として、武豊騎手の姿に触発された様子…。その結果、はたして小牧騎手に大きな変化が!? 次回、小牧騎手の重大発表をお楽しみに!
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太論 / 小牧太
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1967年9月7日、鹿児島県生まれ。1985年に公営・園田競馬でデビュー。名伯楽・曾和直榮調教師の元で腕を磨き、10度の兵庫リーディングと2度の全国リーディングを獲得。2004年にJRAに移籍。2008年には桜花賞をレジネッタで制し悲願のGI制覇を遂げた。その後もローズキングダムとのコンビで朝日杯FSを制するなど、今や大舞台には欠かせないジョッキーとして活躍中。

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