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中央・地方の使い分け

  • 2013年06月28日(金) 18時00分
 26日に行われた帝王賞は、直線3頭による見応えのある叩き合いとなった。勝ちタイムは2分3秒0。前半1000mは62秒4とスローに流れたものの、6ハロン目のラップ11秒9からペースアップして後半は60秒6という一転して厳しい流れ。それに対応できたのが前の3頭。4着だったハタノヴァンクールは川崎記念の勝ちタイムが遅かったように、スローに流れて最後一瞬の脚を生かせる展開にならないと厳しい。6着のローマンレジェンドは、昨年末の東京大賞典の勝ちタイムが重馬場で2分5秒9。スピード決着になると厳しいようで、そう考えれば昨年のJCダートで直線伸びあぐねて4着に負けたのも説明がつく。ただ、展開やペースがどうというより、勝ったホッコータルマエの充実ぶりがどの馬より勝っていたということではあると思う。

 そして中央6頭が上位を独占し、地方勢は7着以下。大井記念を圧勝していたフォーティファイドの単勝が85.8倍で、かろうじてかしわ記念に続いて地方馬の単勝が全部万馬券ということにはならなかったものの、さすがに力の差は歴然だった。

 中央馬は全馬GI勝ち馬というメンバーで、補欠のまま出走できなかったのが、シビルウォー、グランドシチー、ボレアスら重賞タイトルのある馬たち。中央馬はさすがに今回の帝王賞のようなメンバーが揃うと、重賞1〜2勝の実績では、今後も地方のダートグレードへの出走は難しいかもしれない。

 そこで今回は、主に中央でしか馬を所有していない馬主の方々への提案なのだが、地方競馬もうまく利用して、馬をうまくまわしませんか、ということ。

 すでにそれを実践している馬主さんも少なからずいて、たとえば今回の帝王賞では、地方最先着7着だったトーセンルーチェの馬主さんは、中央の準オープンやオープンだった馬をかなりの頭数、南関東などに移籍させている。

 もちろんこれはダート路線が前提での話だが、中央の準オープンやオープン特別クラスの馬は、将来的に素質があると思っても、中央に在籍したままでは、地方で行われるダートグレードの少ない枠に入れるチャンスは少ない。しかし地方枠なら容易に入ることができる。地方は賞金も安いが、そのぶん預託料も安い。賞金が安いといっても、南関東なら重賞で最低でも1着賞金は1000万円以上もある。そしておそらくご存知とは思うが、中央馬が地方馬に移籍しても、2・3歳馬は地方で2勝以上、4歳以上馬は3勝以上すれば、一度だけは中央に戻ることができる。

 6月12日の関東オークスに出走して4着だったフォレノワールは、中央から川崎への転厩初戦。このとき出走していた中央4頭はいずれも2勝馬で、フォレノワールは1勝のみ。中央に在籍したままでは出走できそうもないことから、川崎に移籍しての挑戦だったそうだ。

 こうした流れが盛んになれば、地方で行われる交流重賞で、「出走は12頭でも、馬券の対象になるのは中央の4頭だけ」というような状況もある程度は解消されるようになるかもしれない。

1964年生まれ。グリーンチャンネル『地・中・海ケイバモード』解説。NAR公式サイト『ウェブハロン』、『優駿』、『週刊競馬ブック』等で記事を執筆。ドバイ、ブリーダーズC、シンガポール、香港などの国際レースにも毎年足を運ぶ。

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