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地方交流レースへの期待

  • 2013年07月19日(金) 18時00分
 15日に行われたマーキュリーCは、秋のダートGI/JpnI戦線を目指すJRA勢にとっては、全5頭がコンマ4秒差というゴール前の大接戦で見応えがあった。一方でJRA対地方の交流レースという視点では、これまでにも何度か指摘しているとおり、残念ながらつまらないものとなってしまった。地方馬でもっとも人気となったのは、地元のコスモフィナンシェで単勝89.4倍。その責任感か、先行するJRA勢にからんでいって最下位に沈んだ。そしてJRA5頭と、6着以下の地方勢が、大差で完全に分断される結果となった。

 地方で行われる交流重賞ではこうした結果がめずらしいものではない状況で、地方競馬のファンから聞かれるようになったのが、「地方同士の交流レースのほうがおもしろい」ということ。

 たとえば25日に行われるグランダム・ジャパン古馬シーズンの第4戦、兵庫サマークイーン賞(園田)には、同第1戦の読売レディス杯(金沢)で上位を争った馬たちが揃って登録してきている。読売レディス杯を制したセンゲンコスモの名がないのは残念だが、登録馬がまだ発表になっていない地元勢からエーシンアガペーが出走してくれば、金沢から園田に舞台を移して2〜5着馬の再戦となる。

 今年で4年目となったグランダム・ジャパンのシリーズは、年を追うごとに注目度を増してきているが、課題がないわけではない。過去の優勝馬や3位以内の入賞馬を見ると、南関東・東海・兵庫の所属に偏っているということ。特に東海・兵庫所属馬の積極的な参加が目立つのは、比較的容易に輸送できる競馬場が多いという、地理的な条件によるところが大きいと思われる。

 現実に、兵庫サマークイーン賞の2日前に行われるグランダム・ジャパン古馬シーズンの第3戦、ノースクイーンC(門別)は、18日現在の登録馬を見る限り、地元馬のみ7頭立てとなりそうなのだ。

 グランダム・ジャパンの日程の組み方として、離れた地区のレース同士は近接した日程となっている場合がある。2歳シーズン、3歳シーズンに関しては、開催時期が限られるだけにそれでも仕方ないと思うが、古馬シーズンに関しては、もう少し長い期間をかけて、余裕をもった日程で組むのもひとつの方法ではないだろうか。現実に、門別で行われるノースクイーンCには、過去には東海・兵庫からの参戦もあった。日程に余裕ができれば、長距離輸送でも参戦するという陣営は増えると思われる。

 またこうした交流レースで他地区からの遠征を促すには輸送費の補助が不可欠で、それが削減されつつあるという問題もあるのだが、それはまたひとつ大きなテーマなので別に機会を設けることにする。

 グランダム・ジャパンは、生産界で冷遇されてきた牝馬の競馬を盛り上げるということでも大きな意味のある企画ゆえ、さらなる盛り上がりを期待したい。

1964年生まれ。グリーンチャンネル『地・中・海ケイバモード』解説。NAR公式サイト『ウェブハロン』、『優駿』、『週刊競馬ブック』等で記事を執筆。ドバイ、ブリーダーズC、シンガポール、香港などの国際レースにも毎年足を運ぶ。

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