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太が藤田騎手との交流や、エージェント制度のメリット・デメリットを語ります!

  • 2013年08月20日(火) 18時00分
ベストセラーとなった藤田伸二騎手の『騎手の一分』(講談社現代新書)について、ユーザーから「小牧さんの感想を聞かせてください」とのリクエストが。その藤田騎手との交流や、エージェント制度の在り方まで、ユーザーからの怒濤の質問に小牧騎手が答えます!
(取材・文/不破由妃子)

■藤田くんとは調整ルームで、よく世間話をするよ

──5月に出版された藤田騎手の本がベストセラーになりましたが、それに関連してこんな質問がきています。「先日、藤田騎手が書かれた『騎手の一分』を読みました。大変興味深い内容だったのですが、もし小牧騎手も読まれていたら、ぜひ感想をお聞きしたいです」というものです。

小牧 読んでないねぇ。

──でもやはり、サークル内でも話題になりましたか?

小牧 話題になったというか…、藤田くん本人が「よう売れるんや」って話題にしとったわ(笑)。そういえば、今日の新聞の記者コラムにも「藤田騎手の本にも書いてあったが、GIになると、すぐに外国人ジョッキーに乗り替わる」っていう話が書いてあったわ。「キズナでダービーを勝ったのが武豊ではなく外国人ジョッキーだったら、はたしてこんなに盛り上がっていただろうか」ってね。

──藤田さんが現在のエージェント制度に疑問を投げかけていることについて、肯定的にとらえているということですね。

小牧 うん、そうそう。

──『騎手の一分』についての質問の流れで、「小牧騎手は、藤田騎手と交流があるのでしょうか?」という質問もきています。

小牧 調整ルームの食堂でよく世間話はするよ。藤田くんも早くから飲んでいるからね。お互い調整ルームでの席が決まっているから、あっちとこっちで離れてるんだけど、その状態のまま、他愛もない話をしてるわ。

──小牧さんのなかで藤田さんは、どういったイメージですか?

小牧 最初のころは「いろいろ細かい人やなぁ」と思ってたけど、彼も年を重ねてきたからか、最近は何とも思わんね。彼もだいぶ乗り鞍を絞ってるみたいやし。

──藤田さんの本を読んだ別のユーザーから「小牧さんは、エージェント制度のメリットとデメリットをどう考えていますか?」という質問もきています。

エージェント制のメリットは…

エージェント制のメリットは…

小牧 メリットはやっぱり依頼を断りやすいこと、うまいこと騎乗数の調整をしてくれること、そういうところに騎手が神経を使わなくてもいいことじゃないかな。僕の場合、地方から乗りにきている当時からエージェントがいたからね。いないと絶対に中央では乗れなかった。

──地方時代は、エージェントの役割もご自分でなさってたんですものね。

小牧 そうやね。前にも話したけど、当時は心身ともにしんどかったわ。

──地方と中央の違いこそありますが、エージェントがいない状態とエージェントがいる状態をどちらも経験されているから、メリットとデメリットもよくおわりになるでしょうね。

小牧 そうかもしれんね。自分で頼めないこともそうやし、先約が入っていたから乗れないとか、そういうことはよくあるね。

──あとは、人間関係がどうしても希薄になりますよね。藤田さんも書いてらっしゃいましたけど。

小牧 そうやね。エージェントがいなかったころは、厩舎に直接謝りにいったりしてたけど、今はそういうこともほとんどないしね。でも、良くも悪くも、今はエージェントで成績が変わるからね。僕個人としては、低迷する時期があっても、腕さえあれば這い上がってこられると思うけど。

──続いては「先日、会社から帰るときにゲリラ豪雨に遭って、大変な思いをしました。そこでふと思ったのですが、開催の日に大雨が降った場合、騎手や馬の装備など変わってくるのでしょうか」というものです。

小牧 装備自体は変わらないけど、まぁとにかく重くなる。体重も重たくなるし、鞍も重くなるし、全部合わせたら1キロ2キロ変わってくるんちゃうかな。

──そういう場合、なにかで調整したりするのですか?

雷には気を遣う

雷には気を遣う

小牧 いや、それはもう天災やから、そのまま続行やね。全員が重くなるわけやから。装備でいえば、パドックからゲート裏まで合羽を着るわ。馬にもパドックではビニールを被せるしね。

──大雨の日は、馬に対しても特別に気を遣ったりしますか?

小牧 雨というより、雷には気を遣うね。馬は音に敏感やから、雷が鳴るとビクッとするからね。そういえば僕、園田のパドックで雷に驚いた馬に振り落とされたことがあったなぁ。とにかく雨より雷やね。雷は馬にとっても人間にとっても怖いわ。

【次回の太論は?】
祝・北九州記念制覇! 昨年の同レース以来の騎乗となったツルマルレオンで、今年初めてとなる重賞制覇を決めた小牧騎手。6番人気と低評価でしたが、はたしてレース前の手応えは? 次回は北九州記念とツルマルレオンについて、たっぷりと振り返ります。
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太論 / 小牧太
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1967年9月7日、鹿児島県生まれ。1985年に公営・園田競馬でデビュー。名伯楽・曾和直榮調教師の元で腕を磨き、10度の兵庫リーディングと2度の全国リーディングを獲得。2004年にJRAに移籍。2008年には桜花賞をレジネッタで制し悲願のGI制覇を遂げた。その後もローズキングダムとのコンビで朝日杯FSを制するなど、今や大舞台には欠かせないジョッキーとして活躍中。

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