スマートフォン版へ

騎手服か馬主服か貸服か

  • 2013年08月30日(金) 18時00分
 ラブミーチャンがクラスターCを勝ったのは、もう2週間前のことになるが、レース前には今回鞍上の戸崎圭太騎手がどの勝負服を着るのか、ちょっと気になっていた。

 今年4月、東京スプリントで初めて戸崎騎手が騎乗した時と同じ、大井時代の騎手服だったのであまり違和感を感じることはなかったが、聞いたところによると、岩手の規定では当初貸服での出走になるかもしれないとのことだった。

 ラブミーチャンは、今年2月のオッズパークグランプリ(笠松)に出走したときは、鞍上が福永祐一騎手で、馬主である小林祥晃(ドクター・コパ)さんの中央で登録されている勝負服だった。

 いずれも従来の規定どおりであれば、主催者の貸服で出走することになったはずだが、馬主側からの要望で、戸崎騎手は地方時代の騎手服で、福永騎手は馬主の中央での勝負服での出走が認められた。

 かつてであれば、地方競馬で地方の馬に中央の騎手が騎乗するということはほとんど想定になかったこと。しかし今となっては交流レースも当たり前のようになり、また騎手の移籍や移動も活発になっていることから、こうしたときに騎手服なのか馬主服なのか貸服なのかは、そのときどきの主催者判断で決められているようだ。

 中央で馬主資格を持っているオーナーさんなら、たとえ地方所属の馬であっても、自分の馬には自分の勝負服で出走させたいと思っている人は少なくないはずだ。

 地方では、今のところホッカイドウ競馬でのみ、馬主服の登録が認められている。しかしその馬主服が使えるのも、オープン、重賞と、2歳馬のJRA認定競走に限られている。ちなみにホッカイドウ競馬に登録されている勝負服は、ウェブサイトで確認することができる(http://www.hokkaidokeiba.net/racedata/umanusihuku/index.php)。中央と同じデザインのオーナーさんもいるし、中央とは異なるデザインのオーナーさんもいる。中には、中央では登録できないデザインもある。また、地方でしか馬主資格を持っていなくても勝負服を登録しているオーナーさんもいる。

 地方競馬の騎手服は、主催者や地区ごとに、使える色もデザインも異なっている。地方競馬で交流がほとんど行われていなかった時代はそれでも問題が起こることはなかったが、今は地方競馬の中だけでも、期間限定騎乗や、重賞なら所属に関係なく地方騎手であれば誰でも騎乗が可能になったことなどもあり、騎手の行き来はかなり活発になった。さらには地方から中央に移籍した騎手が地方に戻って騎乗する機会もめずらしいことではなくなり、事情はかなり複雑になっている。

 そうした状況で、どんなパターンのときはどの勝負服が使えるのか、ひとつひとつ対応する主催者の判断も難しいだろうし、問い合わせる馬主や調教師側にしてもいちいち手間がかかる。

 地区ごとに使える色やデザインに違いがあってもいいとは思うが、地方馬主の馬主服の登録まで含めて、全国で統一した基準づくりが話し合われてもいいのではないか。

1964年生まれ。グリーンチャンネル『地・中・海ケイバモード』解説。NAR公式サイト『ウェブハロン』、『優駿』、『週刊競馬ブック』等で記事を執筆。ドバイ、ブリーダーズC、シンガポール、香港などの国際レースにも毎年足を運ぶ。

バックナンバー

新着コラム

アクセスランキング

注目数ランキング