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第36回 ピンチヒッターは丹下さん!?の巻

  • 2013年09月16日(月) 18時00分
(第35回までの超ざっくりとしたあらすじ)
臨時コーチの丹下日出夫さん

臨時コーチの丹下日出夫さん

「必勝法を見つけた!」という1通のメールがきっかけで始まった、ひとりのサラリーマンの泣き・笑い満載の馬券ドキュメント。当企画の主人公のオオヤブは、毎回ネット競馬のサイト『netkeiba.com』から馬券のヒントになるものを探し出し、それを元に手を変え品を変え、馬券を購入するという方法をとってきたが、春の青葉賞の会心ヒットを境に大スランプに突入。以降、オオヤブは迷走をはじめ、連敗続きで完全に自分を見失ってしまう。業を煮やした編集部はオオヤブにコーチをつけることを画策。6月の日刊競馬の看板評論家・柏木集保氏に続き、7月は東スポの渡辺薫氏を臨時コーチに迎えての馬券修行。そして8月、3人目の臨時コーチとして丹下日出夫氏を招聘し、さらなる馬券修行にいそしむオオヤブであった――。
 8月16日の夕方から始まった丹下さんのマンツーマン馬券塾。教えはすぐに活かせ! とばかりに、明くる8月17日を馬券100本ノックの実戦日に設定した。ところが、その丹下さんの馬券塾があっさりとは終わらない。杯を重ねつつ馬券講義なんて、いかにも楽しそうな雰囲気だが、前日の夕方過ぎから、日が変わって夜中までずっとマンツーマン指導&酒をあおり続けているなんて……地獄の猛特訓だな、ある意味。

◆100本ノック実戦を目前に控えて丹下さんが懇切指導

フラフラのオオヤブ

フラフラのオオヤブ

今ボールを投げられたら、おそらく分身魔球に見えるはずの酒でフラフラなオオヤブは、若干残った理性で、今日が実戦日ということにハッと気付き、突然泣きを入れてきた。

『今日、馬券100本ノックするなんて無謀っすよ。今から予想するにしたって頭回らないし、やってるうちに絶対酸っぱいもん出てきますって!』

 いやいや、スケジュール的に実戦日は今日しかないのだよ。まあ、ヘナチョコな100本ノックでもいいから、とりあえずがんばってみようか。フラフラな分、余計な力や欲も抜けて、意外に当たるんじゃないの?

『これからnetkeiba.comを確認して、丹下さんの教えを踏まえて予想……なんてできるか〜っ! うっぷ、し、失礼、トトト、トイレ行ってきます…』

 ここで助け舟を出したのが臨時コーチの丹下さん。今日の特別戦のオススメ馬を教えてくれることになった。というわけで、ここからは本日の馬柱を見ながらの馬券講義。ダメ生徒・オオヤブはトイレから戻ってヘロヘロ。おそらく馬柱のダンゴが100個くらいに見えてるに違いないが、丹下先生は一向に構わず、

「とりあえず9Rの両津湾特別のモルダバイトは上位争い確実だよね。前走の同コース・稍重での未勝利勝ちの時計が、同じく稍重だった翌日の500万の勝ち時計と0秒3遅いだけで、しかも余力十分に5馬身差の圧勝。昇級でもすぐ勝てる能力を持っている。ちなみにモルダバイトと共に人気になりそうなインディーグラブは、その比較した500万のレースで、モルダバイトの未勝利戦の勝ち時計と同タイムの2着。それを物差しにしたって好勝負は必至だし、モルダバイトの方がラップも優秀なんだよ。どう? すごくわかりやすいし、単純明快でしょ。でもまあ、未勝利勝った後に楽をさせてる可能性もあるし、人気もすると思うけど、それを加味してもおそらく大丈夫じゃないかなあ」

『ううう、こんな状態の僕でもなんとわかりやすい説明……』

「次の阿賀野川特別はもっと面白い。本命は4番のトーセンハルカゼ。「腰がパンとすれば」といっていたけれども、前走の上がり33秒7の瞬発力はそれを証明するものだと思うよ。新潟の芝内回りの2200mは直線が短いこともあって先行なだれ込みが多く、差し・追い込み馬は馬群を捌くことが難しくて、ジョッキーの腕が問われるんだけど、ヤネは横山典くん。単勝も1000円くらい付きそうだし、大勝負しても面白いかもね。でもまあ、この馬はラップというより、前走の返し馬を見てオープン級の資質があると僕が感じた馬。だから予想はヤマカンみたいなもんだけどね。僕の気のせいかもしれないから馬券は気を付けてね(笑)」

眠りに落ちそうなオオヤブ

眠りに落ちそうなオオヤブ

『ううう、丹下さんにそういわれると、すごく来そうな気がしてきたぞ。いくら張ろうか、ムニャムニャ◎×※△▲○……』

「お〜い、寂しくなるから寝るなあ。で、次はメインの11R。ここはアロマティコかな、やっぱり。この馬は小回りの小倉、とくに今年の関門橋Sで、ゴールに近づくにつれて速さを増す加速ラップで勝っているように、瞬発力は抜けた存在。広いコースだと逆に仕掛けどころが難しそうだけど、福永くんなら持ってきてくれるでしょ」

『ううう、アロマティコからガッチリ買いますぅ〜〜』

◆至れり尽くせりの丹下馬券塾がついに閉幕!

「説明したのは今日の新潟の特別戦だったけど、オオヤブくんは他場のレースも買うの?」

『100本ノックではどのレースを買ってもいいんですが、基本的には関東圏のレースを中心に買ってますね』

「関東の競馬新聞を使っているならそのほうがいいかもね。関東の予想家はやっぱり関東の競馬場が得意だし。僕も小倉なんかは若干精度が落ちるんだよ」

『現状では今日は丹下さんに丸乗りする予定なんで、なら新潟だけ買うことにします』

 だから丹下さんに甘えて予想放棄するなって。いいの? ホントにそれでいいの!? これじゃ「オオヤブに替えて代打・丹下さん」じゃね?

丹下さんに丸乗りする気のオオヤブ

丹下さんに丸乗りする気のオオヤブ

「まあまあ、僕の予想は特別戦だけだから。朝から行くんだったら、平場はオオヤブくんが独自の予想で買ってくれるんじゃない? ホントは特別より未勝利とかのほうが能力差もあるから当てやすいし。僕の教えたことをちゃんと守れば大丈夫。そうそう僕の予想が書いてある毎日新聞の夕刊もあげるから。平場の予想はないけどね」

『ウィ〜!』

 弱々しいスタンハンセン的な雄叫びを上げるオオヤブに、最後に丹下さんから馬券の買い方のオマケ付き。

「本紙予想をしていた時は、予想しているレースはすべて馬単で買っていたんだよ。でも、ここぞって時は単勝で買ってたな。ただし勝負するには条件があって、オッズが5倍以上ついているとき限定。オオヤブくんが以前やっていたような「単勝3刀流」だっけ? ああいう風に単勝2倍前後の馬まで何頭も見境なしに買っていたらダメだよ」

 初回のコーチの柏木さん、前回の渡辺さん、そして今回の丹下さんと、練達の予想家3人にダメ出しを喰らってしまったオオヤブ式単勝3刀流。しかし、それは「オオヤブ式」がダメなのであって、単勝買い自体はなんら否定されるものではない。

『じゃあ、今日は丹下さんの本命がオッズ5倍以上なら単勝。それ以外なら連で買うことにします』

「ちなみに僕が本命にした、いわゆる軸馬は5割以上はこれまでちゃんと来てるから。ダメだったらオオヤブくんとは縁がなかったんだと思ってあきらめて! それと、オオヤブくんは厩舎コメントも重視してるんだっけ? 僕はできるだけ厩舎の話は聞かないようにしてるけどね。だいたい言うことわかるし、調子いいって言っても相手関係もあるし。それより調教でこれだけ走ってるからとか、自分の目や数字を信じたほうがいいよ。というわけで、僕も仕事があるんでひとまず帰るから。お疲れ様!」

『りょ、了解です。さて、これから時計やラップを比較して……。ちょっと寝てる間に誰かやっといてくれないかな。今ほどパーマンのコピーロボットが欲しいと思ったことはないっすわ』

 さてさて、東京競馬場への出撃タイムまでそんなに時間はあるわけではない。もう寝るの諦めて景気づけにレモンサワー、グイッといっとく?

『せ、せめて焼酎はアメリカンにしといてください』

って、お前の顔、精も根も尽き果てたのか、しわが深くなって劇画調になってるぞ。もはや妻夫木聡というよりもデューク東郷って感じだな。

『丹下さんの本命を狙って今日はスナイプしてやるぜ!』

現在の馬券的中数 59本
ゴールまで残り 41本

二日酔いのオオヤブ、どうなる!?

二日酔いのオオヤブ、どうなる!?

【次回予告】
ついに、ようやく、やっと8月の馬券100本ノックの実戦編に突入。脳ミソにアルコールが回ったオオヤブに果たして勝機はあるのか? そして丹下さんが予想してくれた特別戦まで資金は持つのか。そのとき、不肖オオヤブがとった行動とは!?


【馬券100本ノックのルール】
・netkeiba.comのコンテンツを使って馬券を的中させれば『1本』。馬券の種類は問わない。
・万馬券であれば1本プラス、10万馬券ならば10本プラス。
・100本に到着するまで本企画は終わらない(不人気で連載終了の可能性は僅かにあり)。
・馬券を購入できるのは月に1日。どのレースを買ってもいいが、重賞は必ず買う。
・購入資金はオオヤブのお小遣い3万円以内。足りなくなったら・・・・・・

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【主役:オオヤブ】 妻子持ちの36歳。一応、雑誌・書籍の編集業に携わっている。若かりし頃にイギリス留学経験もあり、ニューマーケットで馬券の研さんを積んだ、なんてことはまったくない3度のメシより競馬好き。ギャンブル全般に造詣が深いと本人は思っているが、周囲の見方は単なる「下手の横好き」。

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