スマートフォン版へ

JRAの通年免許取得を目指すミルコ・デムーロ騎手に太は!?

  • 2013年09月17日(火) 18時00分
外国人ジョッキーに対する通年免許制度の道筋が整えられ、さっそくミルコ・デムーロ騎手が来日して猛勉強中です。合格が確実視されている彼ですが、はたして移籍前と移籍後、彼を取り巻く環境はどう変わるのでしょうか。地方から移籍した小牧騎手が、経験談を交えて語ってくれました。
(取材・文/不破由妃子)

■ミルコ? リーディングジョッキーになれるんちゃう?

──外国人ジョッキーの通年免許制度の詳細が決まりましたね。そこで「デムーロ騎手の合格はほぼ確実といわれています。地方から移籍された小牧騎手の体験として、スポットや短期免許で乗りにきているときと移籍した後で、決定的に違うことはなんですか?」という質問がきています。

小牧 まぁ腰を据えて乗れることが一番の違いやね。

──おそらく質問者さんは、中央に完全に移籍することで、いい面もあれば、悪い面もあるのではないか…と思っているのではないかと。

小牧 知らんでよかった人間関係を知ってしまうとか(笑)? 地方からきていた頃は、本当に乗りにきていただけで、そういうことは全然知らんかったからね。

──やはり、狭い世界だけに、いろいろとあるわけですね(苦笑)。あとは、地方から乗りにこられているときとか短期免許の場合は、“次”を考えなくていいというか、一発勝負に徹することができますよね。

小牧 そうそう、まさに一発勝負やからね。それはあった。でも、今はもう中央にいても一発勝負みたいなもんやで。ただ、新馬でこれは走るなと思った馬にずっと続けて乗せてくれるんやったら、無理をしないで次につながるレースをするけどね。

──いきなりゲートを出していって行かせたりすると、抑えが利かない馬になってしまいますからね。

小牧 そうそう。だから、“走るな”と思った新馬に関しては、いきなりバシバシッと叩いたりとか、そういうことはせんようにしてます。

──そういうところで、地方から乗りにこられていた当時は、また違ったのでは?

小牧 そうやね。でも…あんまり変わらないかな。

──中央にきても一発勝負というのは、ここ数年の感覚ですか?

小牧 うん。今はすぐに降ろされてしまうからね。僕が移籍してきたころは、外国人ジョッキーも今ほど多くなかったからね。今はもうねぇ、すぐに外国人ジョッキーに乗り替わられてしまうから。でも、僕が地方からきていた当時は、今の外国人ジョッキーほどではないにしても、地方の騎手をよく乗せてくれてたよ。僕もジャングルポケットとかアグネスワールドとか、ポンと乗り替わりで乗せてもらっていたからね。

──ああ、確かにそうでしたね。デムーロ騎手が移籍したとして、今までのようには勝てないんじゃないかという見方をしている人もいるようですが、そのあたりはどう思われますか?

ミルコはリーディングジョッキーになれるんちゃう?

ミルコはリーディングジョッキーになれるんちゃう?

小牧 いや、大丈夫でしょう。リーディングジョッキーになれるんちゃう?

──小牧さんにとっては、ライバルがひとり増えるわけですが。

小牧 あんまりライバルとかっていう意識はないねぇ。とはいえ、僕も頑張らないと(馬を)取られるよなぁ。

──そうはいっても日本をベースにすることが条件ですから、続々移籍してくるということはなさそうですけどね。では、続いての質問です。「担当する厩務員さんによって、馬の出世に影響が出ると聞いたことがあります。小牧騎手から見て、腕利きの厩務員さんとは、具体的にどんな人ですか?」というものです。

小牧 ん〜、腕利きどうこう以前に、今はもう担当とかではなく、厩舎全体がプール制みたいになってるからね。ただ、プール制ではなく、昔気質の厩舎でいえば、いい馬を担当している厩務員さんは、もう決まってるからね。もちろん、実績があるからいい馬を任されるわけだけど。

──やはり、厩務員さんによって馬が変わってくるわけですか?

いい厩務員さんにつくと馬がしっかりしてくる

いい厩務員さんにつくと馬がしっかりしてくる

小牧 うん、いい厩務員さんにつくと、馬がしっかりしてくる。シャキッとしてくるというか。明らかに馬が良くなるのがわかるねん。飼い葉の中身とか食べさせ方とか、やっぱり違うからね。そういう人たちは、ホンマにプロだから。語弊を恐れずにいえば、プール制の厩舎が増えたからか、そういう職人さんみたいな人は減ってるよね。

──オリジナルの飼い葉だったり、ハミの工夫だったり、バンテージの巻き方だったり、厩務員さんによって違うと聞いたことがあります。

小牧 そうそう。そういう工夫によって、馬がホンマに変わるから。園田のときも、重賞を勝つ厩務員さんは決まってたなぁ。いわゆる腕利きやね。ただ、トップジョッキーは何がすごいの?っていうのと同じで、誰にでもわかりやすく何がすごいのか説明するのは難しいね。今はもう、いい厩舎にいい馬が入るから、厩務員さんも腕を発揮しづらいかもしれんね。

【次回の太論は?】
次回も怒涛のユーザー質問スペシャル! 「人生観を変えられた出会いや言葉は?」という壮大な質問から、レース後のコメントでよく使われる専門用語の解説まで、小牧騎手が経験を生かして真摯に答えます!
質問募集
太論 / 小牧太
このコラムでは、ユーザーからの質問を募集しております。あなたから
コラムニストへの「ぜひ聞きたい!」という質問をお待ちしております。
質問フォームへ

このコラムをお気に入り登録する

このコラムをお気に入り登録する

お気に入り登録済み

1967年9月7日、鹿児島県生まれ。1985年に公営・園田競馬でデビュー。名伯楽・曾和直榮調教師の元で腕を磨き、10度の兵庫リーディングと2度の全国リーディングを獲得。2004年にJRAに移籍。2008年には桜花賞をレジネッタで制し悲願のGI制覇を遂げた。その後もローズキングダムとのコンビで朝日杯FSを制するなど、今や大舞台には欠かせないジョッキーとして活躍中。

バックナンバー

新着コラム

アクセスランキング

注目数ランキング