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血統から菊花賞注目馬をピックアップ

  • 2013年10月18日(金) 12時00分
 慣れぬ予想はやるものではない。先週の秋華賞はみごとに外してしまった。さりとて今週は菊花賞。懲りずに血統的な見地から、何頭か取り上げてみたい。

 菊花賞はスローの流れで進み、スタミナを温存して最後の直線でヨーイドンの瞬発力勝負になると、中距離血統にも勝つチャンスが出てくる。だが、スタミナに自信のある実力馬が早めに動いてレースをつくり、そのまま押し切る流れなら話は別。昨年のゴールドシップがそのいい例だ。結果として2着、3着にもステイヤー色の濃い馬が入った。

 おそらくエピファネイアも早めに動いて、ゴールドシップのようなレース展開に持ち込むだろう。神戸新聞杯はそれを試した感じだった。皐月賞、日本ダービーともに決め手のある馬に屈したが、いい脚を長く使うのがこの馬の持ち味。神戸新聞杯のようなレースができるなら、勝つ確率は高い。

 血統の裏付けも十分にある。母シーザリオはオークスを勝った名牝で、おまけに母の父スペシャルウィーク、祖母の父サドラーズウェルズもスタミナは一級品。父シンボリクリスエスの遺伝力の不確かなところを、この母系がうまくカバーしている。

 問題はエピファイネアのかかり癖。中盤までのスローの流れのなかで、鞍上と喧嘩するようだと危ない。どう御すかが鍵を握るが、スタミナ指数は高いのだから、多少強引なレースをしてもかまわないように思う。

 エピファネイアが持久力勝負に持ち込むなら、相手もユールシンギングが面白い。父シンボリクリスエス×母の父スペシャルウィークは同じ配合。しかも母系のベースには、名うてのステイヤー血統が代々入っている。エピファネイア以上にスタミナ指数は高い。

 ディープインパクト産駒は、まだ菊花賞で連対馬が出ていない。ただサトノノブレスは母の父がトニービン。この血統が伝えるスタミナは魅力だ。アドマイヤスピカの祖母は英オークス2着馬。キングカメハメハ産駒のスタミナは信頼できないが、この母系なら侮れない。

 菊花賞に強いステイゴールド産駒にも注意しておきたい。ケイアイチョウサンは母系もステイヤー種牡馬が凝縮されている。中距離にしか実績がない点が不安だが、配合的にはステイヤーだ。一発の魅力を秘めている。

血統評論家。月刊誌、週刊誌の記者を経てフリーに。著書「競馬の血統学〜サラブレッドの進化と限界」で1998年JRA馬事文化賞を受賞。「最強の血統学」、「競馬の血統学2〜母のちから」、「サラブレッド血統事典」など著書多数。

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