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エピファネイアを疑ってみる

  • 2013年10月18日(金) 18時00分
 春勢力があまり残っておらず、エピファネイアの1強と言える状態で迎えた菊花賞。金曜発売の開始早々に単勝200万円の買いも入り、同馬を中心にレースは展開される。

 確かに、菊花賞は3000mぶんのスタミナを要求されるとは限らず、2000mや2400mでやっても同じだっただろうというような結果になることもある。そうなるならばエピファネイアであっさりのシーンもある。

 ただ、せっかく年に一度の菊花賞。同馬を疑う方向に発想を展開させてもよいのではと思う。

 スローになってスタミナを要求されない展開になるなら折り合いが問題になるし、スタミナが要求されるなら「スタミナだけはある」という馬に出番が生まれる。

 菊花賞らしいというか、検討して楽しいのは後者だろう。

 神戸新聞杯組だと、同組で前走ではいちばん後ろの着順だったヤマイチパートナーが候補の1頭だ。母の父リアルシャダイという定番に加え、母の母の父シーホークは「昭和の定番」。いかにも菊花賞らしい。

 ユールシンギングはシンボリクリスエス×スペシャルウィークでエピファネイアと同じ配合。しかもこちらの方が母系にリアルシャダイが入っているぶん長距離で良さが出る可能性はある。セントライト記念の優勝馬は菊花賞本番とあまり相性が良くないが、それを差し引いても魅力はある。

 ケイアイチョウサンもスタミナ勝負は歓迎。サッカーボーイがステイヤーを出していたのと同様に、近親のステイゴールドも長距離での活躍産駒は多い。今回は横山典騎手で最内枠というのも馬券的にはそそられる。決め打ちのイン突きが決まればラジオNIKKEI賞のようになるかもしれないし、京都外回りはその可能性があるコースだ。

 ダービーフィズはマンハッタンカフェの近親ということで注目されているようだが、3000mになって新たな良さが出てくるかどうかは微妙のように思う。ただ単純な前崩れの構造になったときは2,3着に絡んでくるかもしれない。

 一方、「3000mというよりは2400mっぽいよね」という結果になる場合の注目馬は3頭。

 タマモベストプレイも意外と侮れない。兄たちのイメージで距離がもたないと言われているが、この馬自身は2400mもそれなりにこなしているし、京都巧者の雰囲気と合わせると△くらいは必要であるように思う。ごりごりのステイヤーが台頭する展開だとさすがに苦しいかもしれないが……。

 サトノノブレスは騎手と呼吸の合わないレースが多かったが、前走は改善されていた。もともとの素質は高く、G1の舞台で足りるだけの素材ではある。

 マジェスティハーツはサトノノブレスと同様、条件戦→神戸新聞杯で後者の馬券圏内に入った馬。このパターンはビッグウィークにオウケンブルースリと、本番での1着にもつながっている。ただ母の父がボストンハーバー、祖母がテンザンストームというのはあまりに短距離色が強すぎ、3000mもどんとこいというタイプには見えない。

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1970年東京生まれ。競馬評論家、ギャンブル評論家。中学生時代にミスターシービーをきっかけとして競馬に興味を持ち、1990年・大学在学中に「競馬ダントツ読本」(宝島社)でライターとしてデビュー。以来、競馬やギャンブルに関する著述を各種媒体で行うほか、テレビ・ラジオ・イベントの構成・出演も手掛ける。競馬予想に期待値という概念を持ち込み回収率こそが大切という考え方を早くより提唱したほか、ペーバーオーナーゲーム(POG)の専門書をはじめて執筆・プロデュースし、ブームの先駆けとなった。

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