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アクションの大きい騎乗法、太が騎手間の賛否に言及

  • 2013年10月22日(火) 18時00分
太論
太論でも度々話題に上るアクションの大きい騎乗法。それについて「メリットは? ジョッキーの間でも批判はあるの?」といったユーザーからの質問や、9月の中旬に起こった「52キロ」の乗り替わりについて、小牧騎手が本音と真相を激白!
(取材・文/不破由妃子)



◆52キロも乗れんことはないんやけど…

──少し前のお話になりますが、52キロでの騎乗馬が、投票後に川田騎手に変更になったことがありましたよね(9月15日・阪神6R・ヴァレンティーア)。それについて「小牧さんはもう52キロは乗れないんですか?」という質問がきています。

小牧 ああ、乗れんことはないんやけどねぇ。あんまり無理するのもアレやし。

──無理をして体重を落とすと他の騎乗馬にも影響が出かねないですし、なにより体調が万全でなかったら、全力で騎乗できませんものね。

小牧 そうそう。そうなるのが一番嫌やし、気持ち的にも前向きになれんからね。ファンのなかには「プロなんだから乗るべきだ」という意見もあるようやけど。最近はもう、お断りするようにしてるんです。

──新聞の記事によると、9月の件は厩舎側のミスとか。

小牧 そう。「52キロは乗れません」ってあらかじめ伝えてあったんやけど、なにかミスがあってそのまま投票してしまったんやね。「ゴメン、間違えてしまったわ」って電話をもらいました。そのときに改めて「すみません、僕は無理です」ってお断りして。で、調教師が罰金を払って、投票のやり直しをしてね。スポーツ新聞で記事になってたね。『小牧太騎手52キロから川田将雅騎手に騎乗変更』って、一見、僕が悪いみたいな見出しやったけど(笑)。記事のなかにはちゃんと事の顛末が書いてありましたわ。

──無理をして52キロで騎乗といえば、安藤勝騎手のブエナビスタ(09年札幌記念)を思い出します。ご本人が「あれはしんどかった…」と、のちのち振り返っていらっしゃいました。

小牧 ああ、あったね。僕も1週間無理をして体重を落とせば、乗れんことはないんやけど。でも、少しでも騎手を長く続けるためにも、あまり無理をせず、万全の状態で乗りたいからね。

◆キレイに乗ってきたほうが馬の負担も少ないんちゃうかな

──はい。続いては、度々話題に上る騎乗スタイルに関しての質問です。「岩田騎手のようなアクションの大きい騎乗については、太論でも何度も話題に出ましたが、実際にあのような騎乗をすることのメリットは? また、ジョッキーの間でも賛否両論あるようですが、実際に批判や、それについての反論などを聞いたことがありますか?」というものです。

小牧 あるね。やっぱり「格好悪い」って言っている人が多いよ。岩田くんはもう、あれが彼のスタイルだからともかく、最近はほかの騎手もやっているからね。それまで格好良く乗っていたのに「なんでやろ?」っていう話が出ることはある。でも、いいと思うから変えたんやろうし、何がいいか何が悪いかはわからんよね。それこそ、馬に聞いてみんことには。

──この話題に触れる度に思いますが、難しい問題ですよね。なにしろ正解がありませんから。でも、度々質問が寄せられるように、この賛否について、ファンの関心は非常に高い。

小牧 そうやねんな。個人的にもあんまり格好のいいものじゃないとは思うけど、だからといって、僕が何かを言う必要はないよね。

──お尻を馬の背中に付くことによっての、馬への負担はどう思われますか?

小牧 いや〜、それもわからないです。個人的には、やっぱりキレイに乗ってきたほうが馬の負担も少ないんちゃうかとは思うけど、馬にしたら、ああいう乗り方のほうがいいのかもしれんし。どんな乗り方をしても勝っている人は勝っているし、取り立てて馬が故障しているということもないしね。そもそも地方のジョッキーは、「腰を落として椅子に座ったような姿勢で押してこい」って教えられてきたから。

──地方はダートが中心ですし、中央に比べるとズブい馬が多いですものね。

小牧 うん。でも、(馬の背中にお尻を)トントンするのとは違うし、トントンがいいのかどうかは本当にわからん。僕も体こそ起こさないけど、今でもたまに腰をグイッと入れて、ああいう乗り方をすることもあるからね。なんにせよ、自分を信じて乗るだけです。

【次回の太論は?】
 激走が期待された菊花賞のナリタパイレーツは、残念ながら12着。しかし、小牧騎手が夏前から期待していたプロスパーが勝ち上がるなど、着々と勝ち星を積み重ねています。次回は、9月後半から菊花賞週までのレースを振り返りつつ、期待の2歳馬についても近況を伺います。
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太論 / 小牧太
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1967年9月7日、鹿児島県生まれ。1985年に公営・園田競馬でデビュー。名伯楽・曾和直榮調教師の元で腕を磨き、10度の兵庫リーディングと2度の全国リーディングを獲得。2004年にJRAに移籍。2008年には桜花賞をレジネッタで制し悲願のGI制覇を遂げた。その後もローズキングダムとのコンビで朝日杯FSを制するなど、今や大舞台には欠かせないジョッキーとして活躍中。

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