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秋華賞出走馬の鮮度と心身疲労を考えてみる

  • 2013年10月23日(水) 18時00分
 ハイペース激戦になったときの、Mの重要ポイントの話で先週は終わった。

・鮮度と心身疲労(ストレス)の有無
・位置取り、距離変更などのショック
・タイプ判断(馬群に入らない外枠の追い込み以外はCないしS系が有利)
・ほどよい距離感を持った記憶(経験)

 の4つである。

 まず鮮度と心身疲労を考えてみよう。

 鮮度は、今回の条件に対する鮮度が一番大切になる。今回の距離や競馬場、あるいは今回のクラスに対する鮮度などのことだ。

 リラコサージュの場合はクラス鮮度としては、今回がGI2戦目なので、まずまず高い。さらにはオークスが8着とたいして走っていない。レースへの参加度合いが低いほど、鮮度は上がっていく。2000mという距離も今回が初めてなので、距離鮮度もある。

 ただ、この距離経験はそれほど生涯鮮度には影響しない。特に2,3走以上前だと、同距離を経験していても、あまり鮮度は落ちない。距離鮮度が落ちるのは、ここ4走のうち3走で今回と同じ距離を走っているなどの場合だ。

 もちろん、全く今回の距離を経験していない場合は、大きく距離鮮度のアドバンテージは上がる。

 ただその場合、初距離という経験の欠落を補う、何かしらの経験はなるたけ欲しい。実は今年の1〜3着馬は、全て2000mを未経験だった。

 つまり距離鮮度がマックスに高い状態である。

 鮮度的には圧倒だが、さすがに全く経験がないのはマイナス材料になる。過去に、出来れば半年から2年くらい前の間に、同距離を1回経験しているのがベストだ。

 ただし、経験を補う類似した記憶がある場合は、鮮度がマックスのまま経験値もあるので、より有利になる。

 では、秋華賞の内回り2000mの場合、類似した経験とは何か?

 今回は内回り2000mに加えて、フルゲートのハイペースGIという要素も加わる。

 ということは、かなり激しい激戦のレース経験、MでいうとS的経験が望ましい。

 リラコサージュの場合は、5走前の多頭数ダート1400mの経験が、これに該当する。

 砂が飛び散って、かつペースが緩みにくいハードな多頭数の短距離ダート。リラコサージュはこのハイペースの流れを、2番手から競馬をして勝っている。これは相当に、S質の経験として、今回にはプラスに働く。

 またペースは遅かったが、小回り中山の多頭数1800m重賞のフラワーCを、内目の好位という揉まれる位置から競馬したのも、S的経験としては大きい。そこで3着と結果を残しているのもプラスだ。

 スマートレイアーの場合なら、2走前の急坂阪神1800mで、前半34.1秒というハイペース経験をしているのが、これに該当する。

 メイショウマンボの場合は、阪神1400mの16頭立てで澱みのない流れになったフィリーズレビューを、内枠から競馬をしたのが、S質の経験としては良好だ。

 鮮度とそれを補う経験があることが分かったので、次は疲労の有無だ。

 リラコサージュの場合、前走18着なので、疲労云々の心配はない。

 スマートレイアーも1000万なので疲労は少ないが、時計が1:44.8と異様に速かったのが欠点だ。これで中2週では、かなりの確率で疲労が出る。ただ、キャリアが4戦で休み明け3戦目という、中長期疲労の無さで、これはなんとかクリアできるかもしれない。

 メイショウマンボの場合は、休み明け1走のみでそれが4着だから、オークス馬としては走っていないので直近の疲労は気にしなくてよい。生涯疲労は多少あるが、それは他の有力馬とたいして変わらない。

 次の要素は、位置取り、距離変更などのショックになる。

 距離変更ショックに関しては、今回の秋華賞では、紫苑S組以外は全馬距離変更ショックになるので、一押しが効きやすい。

 またリラコサージュの場合は、前走好位に行って、今回追い込みに回る位置取りショックの可能性が高いのが、大きなプラス要素だ。

 というのも、今までの最長距離が1800m、前走が好位から行って惨敗、鞍上は控えたがる池添。

 これらの状況が揃えば、前走の敗因を強気の競馬と捉え、初距離である今回は、池添が前走より後ろに控えて体力を温存する可能性が極めて高い。

 逆にデニムアンドルビーは前走追い込みなので、位置取りショックを掛けるとしたら前に行くしかない。

 しかし、今回はハイペースで前崩れになりそうなメンバー構成だ。もし前に行けば逆位置取りショックになってしまう。この点からも、今回の1番人気デニムアンドルビーは不利だ。

 レースでは実際、リラコサージュは前走より少し後ろ寄りの位置取りショックを掛け、逆にデニムアンドルビーは前走より前寄りの流れに対して不利な位置取りショックを掛けてしまった。そのため、デニムアンドルビーは4着に沈む。

 スマートレイアーは武豊らしく、リラコサージュの池添より派手に、思い切って追い込みに回る位置取りショックを掛けて展開に嵌まったので、リラコサージュを押さえることが出来た。リラコサージュが追い込みに回る位置取りショックを思い切って仕掛けていれば、恐らく1着か2着だったろう。

 同じ位置取りで外差し競馬になってしまったので、体力、量に勝って得意の外差し競馬のツボにもピッタリと嵌まったメイショウマンボに勝てず、追い込みに回る位置取りショックのスマートレイアーにも勝てず、流れに対して逆位置取りショックを仕掛けてしまったデニムアンドルビーには先着して3着だったというのが、今回の実際である。

 このように、レースの流れと、前回の位置取りとは密接な関係を持っているのである。

 次週はタイプと記憶の要素について考えていきたい。

※M3タイプ
S(闘争心)
闘争心を持つ馬。1本調子に走ろうとする性質。このタイプは気性をコントロールするために、短縮などのショック療法が有効。生涯に1度の絶頂期には、あらゆる条件を飛び越しで走ろうとするが、それを過ぎると極めて不安定になる。Sの由来は闘争を表す「Struggle」の頭文字から。

C(集中力)
集中力を持つ馬。集中して他馬との相手関係の中で走ろうとする性質を持つ。レース間隔を詰めたり、体重を絞ったり、内枠、ハイペース、強い相手との競馬など、摩擦の多い状況を得意とする。Cの由来は「Concentration」の頭文字から。

L(淡泊さ)
淡泊さを持つ馬。自分のペースで淡々と走ろうとするタイプの馬で、距離の延長や少頭数、広いコース、外枠、弱い相手との競馬が有効。Lの由来は「Light」の頭文字から。

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ストレス、ショック療法など、競走馬の心身構造を馬券にする「Mの法則」を発見し、従来の競馬常識を完全に覆した。現在は、競馬雑誌等で活躍中のほか、馬券研究会「Mの会」を主催し、毎週予想情報の提供を行なっている。主な著書に「短縮ショッカー」、「ウマゲノム版種牡馬辞典」、「ポケット版 大穴血統辞典」などがある。

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