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天皇賞・秋の出走馬で馬場の悪化がプラスになるのは

  • 2013年10月25日(金) 12時00分
 台風27号の進路とスピードが悩ましい。ただ、天皇賞・秋が中止になることはなさそうだ。当初の予想よりも南にそれ、日曜日には関東を過ぎ去る予報が出ている。

 だが、土曜日は微妙。行われたとしても大量の雨が予想される。これで馬場がどれだけ荒れるのか。雨がいつまで続くのか。日曜日は晴れの予報だが、馬場状態がこれまた悩ましい。

 今年の天皇賞・秋は牡馬の一線級が不在である。凱旋門賞に挑戦したオルフェーヴルは、有馬記念を使って引退を表明。ゴールドシップは狙いをジャパンCに定めた。昨年の2着馬で、今春の天皇賞を勝ったフェノーメノは年内休養が決まっている。

 道悪の巧いステイゴールド産駒には、願ってもない雨なのにもったいない話だ。今年のメンバーなら、牝馬のジェンティルドンナの力が抜けている。父のディープインパクトも母系も、3歳がピークの血統ではない。ただ、馬場の悪化はマイナス。持ち味の瞬発力がそがれ、宝塚記念のような負け方をする心配がある。

 逆に馬場の悪化で喜ぶのはトウケイヘイローだろう。父のゴールドヘイローはマイナー種牡馬で、母系も地味。母系のベースそのものは社台ファームゆかりの名牝系だが、本流ではなく傍流に位置する。

 しかし、今夏の充実ぶりはめざましい。父系祖父のサンデーサイレンスと母の父ミルジョージの良さを、隔世遺伝でうまく受け継いだ印象がある。パワータイプの血統構成をしており、荒れて時計のかかる馬場、雨で渋った馬場は大歓迎だ。

 コディーノは父キングカメハメハ×母の父サンデーサイレンスで、母系も日本を代表する名牝系。春のクラシックは期待を裏切り、前走の毎日王冠も7着だが、キングカメハメハ産駒は道悪が巧い。人気を落とすようなら穴に面白い。

 ダノンバラードはディープインパクト産駒だが、パワータイプの母系の血が強く出たようで、決め手に乏しい。反面、宝塚記念のような荒れて力のいる馬場は合う。台風の影響が残ったときは注意したい。

血統評論家。月刊誌、週刊誌の記者を経てフリーに。著書「競馬の血統学〜サラブレッドの進化と限界」で1998年JRA馬事文化賞を受賞。「最強の血統学」、「競馬の血統学2〜母のちから」、「サラブレッド血統事典」など著書多数。

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