スマートフォン版へ

天皇賞のカギを握るのは「展開」

  • 2013年10月25日(金) 18時00分
 天皇賞秋は、終わってみれば展開がカギだったというケースがけっこうある。

 昨年はシルポートが派手に逃げたのでレースのラップは一見ハイペースだが、3番手以下だった馬にとっては完全なスロー。そうでなければエイシンフラッシュが勝つはずがない。

 一昨年は3,4ハロン目に10秒台が続き、先行勢は総崩れの消耗戦。トーセンジョーダン・ダークシャドウという決着は展開の賜物だった。

 単純にハイペースかスローペースか、前残りか前崩れかという話ではなく、決め手のあるタイプ・持続力のあるタイプでどちらか片方が浮上したケースはそれ以前にも多い。カンパニーやヘヴンリーロマンスが勝ったときは決め手が必要だったし、ちょっと古いがスペシャルウィークやレッツゴーターキンが勝った年は脚を溜めつつ持続力を発揮できるタイプが有利だった。

 では今年はどのような展開になるか。

 逃げるのはどう考えてもトウケイヘイロー。人気サイドの武豊にごりごり競りかけていく騎手はいないだろう。となると、ペースは武豊騎手の思うがままだ。

 しかし、だからといってスローに落とすとは限らない。鳴尾記念はスロー寄りだったが、函館記念はイーブンに近い。札幌記念は最後全員バテたのでラップの見た目上極端な前傾だが、逆に言えば前半をある程度の流れで進めていたら全員驚くほどバテてしまった、という競馬だった。

 血統からもレースぶりからも、トウケイヘイローがいわゆる切れるタイプでないことは推測できるし、おそらく武豊騎手もそれは承知している。となると、後続になし崩しに脚を使わせるような競馬を志向するはずだ。

 そうなるとエイシンフラッシュあたりはちょっと困ることになる。2番手以下が離れると昨年同様の構造になりうるが、他馬がトウケイヘイローに離れた逃げを打たせることは考えづらい。

 毎日王冠はエイシンフラッシュの大好物であるスローペースだったが、そこでの好走歴が今回の人気の根拠となり、その一方で流れは向かないというのはおいしくない話だ。逆に毎日王冠組で浮上してくるのはジャスタウェイだろう。

 エイシンとは対照的に、ジェンティルドンナにとってはまあまあのペースで流れたほうが確実ではある。オークスと秋華賞を比較するのが分かりやすいと思うが、スロー寄りのほうが紛れが発生するぶん良くない。

 宝塚記念では3着と敗れたが、かなり厳しい流れを勝ちに行ったぶん、位置取り的に有利だったダノンバラードと、スタミナに勝るゴールドシップには敵わなかったという印象。この馬が限界を超えるところをはじめて見たが、それでもフェノーメノを振り切ったのだからやはり地力はある。

 ダノンバラードが3着だったオールカマーは、珍しく平均〜やや前傾という流れで、そのぶんヴェルデグリーンの差しも届いた。例年よりは天皇賞秋に通じる質というか内容のレースだったと思うが、オールカマー→天皇賞秋はとにかく相性の悪いステップ。データで馬券を買う身としては、多少気になりながらも重視はできない。

 参戦ステップとしての相性の悪さに目をつぶるならば、京都大賞典組からアンコイルドあたりか。勝ち切るイメージは湧かないが、2,3着ならば考えられる。

このコラムをお気に入り登録する

このコラムをお気に入り登録する

お気に入り登録済み

1970年東京生まれ。競馬評論家、ギャンブル評論家。中学生時代にミスターシービーをきっかけとして競馬に興味を持ち、1990年・大学在学中に「競馬ダントツ読本」(宝島社)でライターとしてデビュー。以来、競馬やギャンブルに関する著述を各種媒体で行うほか、テレビ・ラジオ・イベントの構成・出演も手掛ける。競馬予想に期待値という概念を持ち込み回収率こそが大切という考え方を早くより提唱したほか、ペーバーオーナーゲーム(POG)の専門書をはじめて執筆・プロデュースし、ブームの先駆けとなった。

バックナンバー

新着コラム

アクセスランキング

注目数ランキング