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「いかんなぁ…」――太、1番人気での不振を嘆く

  • 2013年10月29日(火) 18時00分
激走が期待された菊花賞のナリタパイレーツは、残念ながら12着。しかし、小牧騎手がデビュー前から期待していたプロスパーが勝ち上がるなど、うれしい勝利もたくさんありました。今回は、9月後半から菊花賞週までを対象に、ベストレース、ワーストレースを振り返ります。
(取材・文/不破由妃子)

■ナリタパイレーツは、体の成長がほしいところやね

── 一発を狙って臨んだ菊花賞でしたが、結果は12着。思い描いた通りの競馬は、なかなか難しかったですね。

小牧 ん〜、やっぱりあのクラスではまだ足りないかな。まだ頭も高いし、もう少し体の成長がほしいところやね。ただ、前から言っているように乗りやすいし、自分の形にハマってくれたら重賞でもやれると思うよ。あとはスタートやね。この前はスタートも悪かったし。いつもね、出ないんですわ。

──菊花賞では、行けたら行こうという気持ちはありましたか?

小牧 いや、あのメンバーでは、ハナから無理やと思ってた。逃げ切ったときは(すみれS)、ほかに行く馬がいなかったからね。だから行けたんだと思う。ただ、まだまだ成長してくれる手応えはあるよ。

──続いてベストレースですが、デビュー前から期待が大きかったプロスパー(牡2・白井厩舎)が、4戦目(10月20日・京都1R・2歳未勝利)にしてようやく勝ち上がりましたね。

プロスパーはあの一戦で変わってくれるかも

プロスパーはあの一戦で変わってくれるかも

小牧 やっと勝ってくれたねぇ。今まで大事に乗りすぎていたのかもしれんね。今回は叩いて行ったからね。でも、逃げていても、いつでも交わされてしまいそうな手応えで。止めてしまいそうな感じやったわ。正直、いっぱいいっぱいでした。でも、あの一戦で変わってくれるかもしれんね。

──やっぱり芝よりダートのほうがいい?

小牧 いや、あの馬は芝もダートも関係ないと思う。気持ちの問題ですわ。調教での感触は、すごくいいんだけどねぇ。ホントに腹が立つよ(苦笑)。3回乗ってダメやったから、僕とは手が合わんのかなと思って、先生に「乗せ替えてください。ただ、ダートを使うんやったら、もう一度乗せてください」って言ってね。ホントに勝って良かったわ。芝でもダートでも、次にどんな競馬ができるかやね。能力は間違いなくあるから。乗せてもらえるんやったら乗りたいです。

──プロスパーは、デビュー戦から舌を括って、リングハミにブリンカー。やはり難しい馬なんですか?

小牧 あれ? そうやったっけ? たぶん、レースであまりにも力を出し切らんからとちゃうかな。調教ではおとなしいし従順やし、なにも問題はないです。リングは、初出走のときにモタれたから、変えたんですけどね。

──何とも、もどかしい馬ですね(苦笑)。ほかでは、強烈だったのがモズマッテタワ(10月13日・京都5R・3歳上500万下)。直線は、ほかの馬が止まって見えるほどすごい脚でした。

小牧 ああいう乗り方はなかなかできないです。人気がなかったからできたんであって。でも、強かった。53キロだったし、ジックリ乗ればいいところがあるかなぁとは思ってたんやけど、馬がかなり良くなってたみたいやね。ここにきてコトコトしていたのが取れて、歩様が良くなっていたらしいわ。

──周りが仕掛けはじめても、小牧さんだけジッとしていましたよね。

小牧 そうそう、周りがみんな前についていったんです。そこでジッと我慢していたら、直線手前での手応えがすごくてね。ああいうときは、またうまいこと前が開くんだよね。あのレースはラッキーでしたわ。ベストレースとはいえないけど、一番うれしかったレースやね。うん、なんかうれしかった。

──10月14日のタガノギャラクシー(京都6R・3歳上500万下)も、小牧さんの読みがピタリとハマったレースでは?

小牧 ああ、久しぶりに逃げたレースやね。相手は1頭(和田騎手騎乗の1番人気で2着したラフィングインメイ)だと思っていたし、やっぱり自分のペースで行ければ強いね。この前は気合いをつけて行きましたけど、ジックリ行くレースを続けると、馬って行かなくなるもんやなぁと思ったわ。この前も、一瞬行けないかと思った。久しぶりに気持ちよく行けたから、あの強さは順当やと思う。揉まれたり、いろいろな経験をして、馬自身が精神的に強くなっている感じもあるね。

いかんなぁ…

いかんなぁ…

──あと、印象的だったのが、円山特別のマルヴァーンヒルズです(10月14日・京都9R)。すごくセンスのある馬ですよね。

小牧 あの馬は強かった。あれでもまだトモが緩いんです。だから、能力で勝ったようなもんやね。スタートもいいし、もう少ししっかりしてきたら、もっと上でも十分やれる馬やね。この馬は人気に応えることができたけど、最近は1番人気をよう飛ばしてたような…。

──10月に入ってからは、1番人気で5戦1勝ですね(10月20日終了時点)。

小牧 そうやろ? 確かに難しい馬が多かったけど…。いかんなぁ。僕自身、もっと気合い入れな!

【次回の太論は!?】
1番人気での不振に触れた小牧騎手ですが、同じタイミングで「1番人気に騎乗することの難しさを教えてください」という質問が。次回は、1番人気馬での勝負の難しさや心構えについて、体験談を交えて語ります。
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太論 / 小牧太
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1967年9月7日、鹿児島県生まれ。1985年に公営・園田競馬でデビュー。名伯楽・曾和直榮調教師の元で腕を磨き、10度の兵庫リーディングと2度の全国リーディングを獲得。2004年にJRAに移籍。2008年には桜花賞をレジネッタで制し悲願のGI制覇を遂げた。その後もローズキングダムとのコンビで朝日杯FSを制するなど、今や大舞台には欠かせないジョッキーとして活躍中。

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