スマートフォン版へ

エルムS

  • 2003年09月05日(金) 12時05分
 もうよく知られるように、今春の交配数No.1はダンスインザダークの233頭。これは一昨年のフジキセキの225頭を上回る日本新記録となった。サンデーサイレンス系では、ほかにマンハッタンカフェの211頭、スペシャルウィークの206頭など、多頭数交配が続出している。アグネスタキオンも197頭だった。

 そんな中、1頭だけ、驚異的に人気急騰の種牡馬がいた。たぶん、これは考えてもまず当たらない。日豪のシャトル種牡馬となり、そのあと請われてドバイに一年間いた。帰ってきて社台SSからレックスSに移った種牡馬。

 鈍重なダート馬ばかり送るのでやや評価を落としていたティンバーカントリー(父ウッドマン)だ。

 02年春の80頭代から、なんと「232頭」にも増えている。これにはドバイミレニアム(半姉の仔)の出現や、交配価格が120万円に押さえられたこと。ダート戦の評価がじわじわと、特に生産界で上昇していること。配合しだいで芝もこなす馬が出てきたこと。障害G1をギルデットエージが制したこと…など、さまざまな要素が重なったが、アドマイヤドン(芝の2歳G1を制し、3歳になってダートG1圧勝)の出現が大きい。現代競馬が求めるように、ダートでも芝でもチャンピオンなのである。

 3歳時はひ弱く、すぐ馬体の減ったりするアドマイヤドンが、オーバーホール完了。充実の4歳秋に向けて戻ってきた。もちろん目指すはダートG1のジャパンCダート(3歳の昨年は3着だった)。

 初の札幌ダート、初の1700m、初の59キロなど死角は大きいが、牧場→札幌の調教過程だと、カリカリして体が減らず、470キロか、あるいはそれ以上に充実の馬体で出走の可能性がある。しぶいベテランのダート巧者相手だが、こちらはもっと成長し、さらに強くなる公算大。力強い始動に注目したい。

このコラムをお気に入り登録する

このコラムをお気に入り登録する

お気に入り登録済み

1948年、長野県出身、早稲田大卒。1973年に日刊競馬に入社。UHFテレビ競馬中継解説者時代から、長年に渡って独自のスタンスと多様な角度からレースを推理し、競馬を語り続ける。netkeiba.com、競馬総合チャンネルでは、土曜メインレース展望(金曜18時)、日曜メインレース展望(土曜18時)、重賞レース回顧(月曜18時)の執筆を担当。

バックナンバー

新着コラム

アクセスランキング

注目数ランキング