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一番無難な軸馬は…

  • 2013年11月08日(金) 18時00分
 3歳の有力馬が出走すると、古馬との力関係や世代ごとのレベルの違いを考えたくなる。しかし、どの世代のレベルが高いとか低いというのは、結局のところ「今年の風邪は悪い風邪だと毎年言う」という類の話。仮に世代のレベルが推しはかれたところで、その世代における検討対象馬のポジションをどう評価するのかという問題もある。

 もちろん今年の3歳馬が素晴らしく強いという可能性も残っているが、牝馬のG1戦線で絶対に通用するという保証がついているぶん、ヴィルシーナが一番無難な軸馬のように思える。昨年はレインボーダリアに差されたが、重馬場という要素もあってのこと。仮に負けるとしても牝馬どうしなら馬券圏内には踏みとどまるだろうから、とにかくこの馬に重いシルシは必要になる。

 今年は牡馬相手に使われることが多いぶん大敗も目立つが、着差的にはそれほどひどくない。むしろこの馬のパフォーマンスは安定しているとも言える。

 3歳の人気馬2頭はどちらを評価するか難しいが、個人的には前走をひっくり返してデニムアンドルビーを優先したい。秋華賞は不器用さと内回りコースで完全に悪い方向にはまってしまった。外回りコースに替わるメリットは大きいはずだ。

 メイショウマンボも本質的には外回りのほうが良いだろうが、秋華賞では早めに動いて結果を出せたので、デニムほど対応力の幅が狭いわけではない。逆に言うと、コース替わりによる上積みが大きくはないということでもある。あとは前走の結果からどこまで人気になってしまうかだろう。

 3歳では全く別方面からの参戦馬として角居厩舎のディアデラマドレやラキシスも怖い存在だ。いまの古馬陣は層が薄いので、1000万勝ち直後の馬が馬券に絡むこともありうるし、実際昨年もピクシープリンセスがそうなった。この2頭ならば、血統的なことと決め脚の鋭さでやはりディアデラマドレのほうが特に気になる。

 古馬ではレインボーダリア、ホエールキャプチャ、マルセリーナといったタイトルホースたちも出走している。近走内容ということで良いのはホエールキャプチャだが、東京から京都に替わることであまり強気にはなれない。それでも一昨年は4着しているし、3歳勢が走らなかった場合は入れ替わりに上位に入ってきてもおかしくない。

 レインボーダリアも一昨年の5着馬ということで馬鹿にしてはいけないのだが、今年に入ってからのレースぶりはいかにも苦しい。脚質的に自分で競馬を作れないタイプでもあるので、馬場と展開次第だろう。

 興味深いのはマルセリーナとオールザットジャズの乗り替わりがどう作用するかだ。「結局無理」という結末がいちばん可能性としては高いが、この外国人2人はやはり馬券を買いたくなる存在である。

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1970年東京生まれ。競馬評論家、ギャンブル評論家。中学生時代にミスターシービーをきっかけとして競馬に興味を持ち、1990年・大学在学中に「競馬ダントツ読本」(宝島社)でライターとしてデビュー。以来、競馬やギャンブルに関する著述を各種媒体で行うほか、テレビ・ラジオ・イベントの構成・出演も手掛ける。競馬予想に期待値という概念を持ち込み回収率こそが大切という考え方を早くより提唱したほか、ペーバーオーナーゲーム(POG)の専門書をはじめて執筆・プロデュースし、ブームの先駆けとなった。

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