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金沢のJBCを終えて

  • 2013年11月08日(金) 18時00分
 金沢競馬場で初めて行われたJBCは、いかがだったでしょうか。

 レース結果はともかく、現地で1日過ごした感想としては、あらためて久しぶりに地方競馬の大きなイベントだったなあという感慨がある。

 たとえばJBCが大井競馬場での開催となれば、普通に交流のJpnIが3レースという感じで終わってしまうが、JpnIが行われたことがない競馬場でのJBC開催となると、やはり違う。これまでであれば、名古屋、園田がそうだった。

 しかし今回は、名古屋にも園田にもない感じがあった。名古屋も園田も競馬場としてはそれほど大きくはないが、どちらも立地的には百万都市圏にあり、新幹線のターミナル駅からもそれほど遠くない。さらに競馬的な視点では、どちらも近くにJRAの競馬場がある。これだけでも金沢という場所は、名古屋、園田とは相当違うことがわかるだろう。

 ある程度の競馬ファンであれば、何かのついでに名古屋や園田に訪れたという人も少なくないと思う。ところが金沢ともなると、前述のような理由で、何かのついでという機会はかなり少ないと思われる。

 それゆえ、ファン、マスコミ問わず、かなりな競馬好きの人でも、金沢競馬場は今回が初めてという人も少なくなく、新鮮に思うことがあった。

 そういうわけでの非日常的な盛り上がりがよかったと思う。

 JBCの3レースが盛り上がったのは当然だが、おおおっ!と思ったのは、最終レースに行われた地元の2歳重賞、百万石ジュニアカップの最後の直線でも大きな歓声が上がっていたこと。これには騎乗していたジョッキーたちも感激した様子だった。金沢競馬場にもこれほど多くのファンが来るんだ、と思ったに違いない。

 競馬界全体の元気がなくなって、さらには馬券の売り上げはどんどんネット・電話投票にシフトして、競馬場に来場するファンは減っている。そうした状況で、何年かに一度でも、こうして競馬場が多くのファンで溢れるような日は必要だと痛感した。

 JBCは、馬券の売り上げだけを考えれば、大井をはじめとする南関東での開催がベストだが、地方競馬全体の盛り上がりを考えれば、やはり平均的にさまざまな競馬場で開催すべきとあらためて思った。

 あとこれはJBCの前に別のところにも書いたことなのだが、少し残念に思ったのは、その競馬場の盛り上がりが、街中ではほとんど感じられなかったこと。予算の都合もあるとは思うが、特に地方都市でのJBC開催では、街中にそうした雰囲気をつくりだして、競馬に興味のない人にも、「競馬場で何かJBCという大きなレースがあるらしい」というくらいには思ってもらえるようにならないものだろうか。

 競馬場だけのイベントではなく、地域として盛り上げるようなことは今後、考えていってほしい。

1964年生まれ。グリーンチャンネル『地・中・海ケイバモード』解説。NAR公式サイト『ウェブハロン』、『優駿』、『週刊競馬ブック』等で記事を執筆。ドバイ、ブリーダーズC、シンガポール、香港などの国際レースにも毎年足を運ぶ。

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