スマートフォン版へ

2013年凱旋門賞『えっ!? まさかあのジャルネ?!』

  • 2013年11月12日(火) 18時00分
 今年の凱旋門賞、圧倒的な強さでオルフェーヴルとキズナの夢を打ち砕いたのは、フランスの3歳牝馬トレヴでした。手綱を取ったのは、凱旋門賞3勝目となったベテランジョッキー、ティエリ・ジャルネ騎手。なんとこのジャルネ騎手、小牧騎手のお友達だった!? 今回は、この意外な交友録に迫ります!
(取材・文/不破由妃子)

■ジャルネとは、1週間ずっと一緒におったなぁ

──凱旋門賞は残念ながら、オルフェーヴル2着、キズナ4着。「凱旋門賞について、小牧さんの率直な感想を教えてください」というリクエストがたくさんきています。

小牧 オルフェーヴルは、道中すごく引っ掛かってるなぁと思いながら観てたわ。スミヨンがあれだけ引っ張っていたということは、よっぽど行きたがってたんちゃうかな。わかっていたこととはいえ、ペースも遅かったもんねぇ。なんせキズナも行きたがるところを見せたくらいやったから、よっぽど遅かったんでしょう。そんななかでの2着、4着やから、どちらも力は出せたんちゃうかな。

──日本時間では、日曜日の23時過ぎの発走でしたが、さすがにリアルタイムでご覧になった?

小牧 いや、寝てしまった(笑)。その日に限って飲みに行かんと、真面目に家に帰ってね。ただ、あらかじめ録画予約をしておいたので、明け方に観たよ。寝たはいいけど、やっぱり結果が気になって気になって。

──そうでしたか。しかし、勝ったトレヴは強かったですね。

まさかあのジャルネ!?

まさかあのジャルネ!?

小牧 そうやねぇ。馬の強さも印象的やったけど、僕はそれ以上にジョッキーが…。すぐには思い出せんかったんやけど、テレビでジャルネ、ジャルネって言うてたでしょう。それで、「えっ!? まさかあのジャルネ!?」って思い出して。

──えっ!? 個人的にお付き合いがあったとか?

小牧 そうなんです。もう20年くらい前かなぁ、僕が初めてワールドスーパージョッキーシリーズに出場したとき(93年)、彼も初出場で来日しとって。同じ67年生まれやから、通訳さんを介してやけど、期間中は家族ぐるみで仲良くしてたんです。結局、そのときだけになってしまったんやけど、「遊びに行こう」なんて話したりして。

──そんなことがあったんですね。

小牧 そうそう。当時は、パーティやら何やらで、1週間ほとんど一緒におったからね。僕は地方から、彼は海外からの招待ジョッキーやったから、同じバスでずっと移動したりして。当時は、ワールドスーパージョッキーシリーズのイベント自体が、めちゃくちゃ盛大でね。「こりゃすごい! なんという好待遇や!」ってビックリしたくらい。通訳さんもJRAの職員さんもずっとついててくれたから、ジャルネともたくさん話ができたし。

──どんな方なんですか?

小牧 おとなしくて、すごく紳士。たしか、奥さんも競馬関係の方で、競馬一家だったんちゃうかな。今ではお互い、すっかりオジサンになってしまったけど(笑)、当時はめちゃくちゃカッコよくてねぇ。

──小牧さんが若く見えることもありますが、失礼ながら、確かに同じ年には見えないかもしれません…(苦笑)。

ジャルネは紳士やから

ジャルネは紳士やから

小牧 ホンマに(笑)? いや〜、ジャルネってわかったときは、めっちゃ懐かしかったわ。まだ頑張ってたんやと思って、うれしくなったし、刺激も受けたね。低迷した時期もあったみたいやけど、なんせ凱旋門賞3勝目やからね。すごいなぁと思って。トレヴも本当はデットーリに乗り替わりだったんやけど、デットーリがケガをしたもんやから、チャンスが巡ってきて。ジャルネは紳士やから、向こうでもすごく称えられてたらしいね。嫁さんも当時のジャルネを知ってるから、「頑張ってるなぁ、でもすごく老けたなぁ」なんていいながら、一緒に観てたわ(笑)。

──オルフェーヴルとキズナは残念でしたけど、小牧さんにとって、ある意味忘れられない凱旋門賞になりましたね。

小牧 そうやね。日本馬が負けてしまったのはめっちゃ悔しいけど、同じ年のジャルネが頑張っていることは、素直にうれしいなって思ったね。

──小牧さんだってまだまだ!

小牧 凱旋門賞は、一度観に行ってみたいなぁ。僕、ヨーロッパは行ったことがないんですわ。今年以上に日本馬が注目される年も少ないやろうから、今回もね、お休みをもらって行けば良かったなと思って。

──キズナは来年も挑戦するそうですね。あとは、今後の結果次第では、ゴールドシップ陣営も前向きです。

小牧 ああ、ゴールドシップは、向こうの競馬に合いそうやね。引っ掛かる馬ではないし、あの深い芝も合うんちゃうかな。

──ところで、観に行かれるのではなく、乗ってみたいという野望は?

小牧 昔はあったけどねぇ。そういう出会いがあればいいね。

【次回の太論は?】
 レジネッタでの桜花賞制覇の夜、ひとりで飲んでいるところを目撃されていた!? 次回はそんな目撃談の真実や、来年の開催日程、ダートでの馬の動かし方などなど、ユーザーからの質問を中心に、太論を展開します。
質問募集
太論 / 小牧太
このコラムでは、ユーザーからの質問を募集しております。あなたから
コラムニストへの「ぜひ聞きたい!」という質問をお待ちしております。
質問フォームへ

このコラムをお気に入り登録する

このコラムをお気に入り登録する

お気に入り登録済み

1967年9月7日、鹿児島県生まれ。1985年に公営・園田競馬でデビュー。名伯楽・曾和直榮調教師の元で腕を磨き、10度の兵庫リーディングと2度の全国リーディングを獲得。2004年にJRAに移籍。2008年には桜花賞をレジネッタで制し悲願のGI制覇を遂げた。その後もローズキングダムとのコンビで朝日杯FSを制するなど、今や大舞台には欠かせないジョッキーとして活躍中。

バックナンバー

新着コラム

アクセスランキング

注目数ランキング