スマートフォン版へ

福島記念をMのステップ理論で斬る!

  • 2013年11月13日(水) 18時00分
 今週は趣向を変えて、重賞のデータ分析をしてみたいと思う。

 前にもやったことがあったかと思うが、マイナビの予想サイトで連載していた、過去の分析をしながら、好凡走パターンをあぶり出していく手法だ(今は体力面などから毎週更新するのがきつくなったので、しばらくお休みしている)。今年の大穴血統辞典で新たに収録したステップチャートの、元になる考え方でもある。

 マイルCSは例年いろいろなところで分析してきたので、今回は福島記念を分析してみよう。

 昨年勝ったのは1番人気ダイワファルコン。天皇賞凡走からだった。天皇賞からは過去2頭連対3着2頭(データは全て90年から)。1番人気が6頭いての結果だから、アテになるステップではない。

 3着以内の3頭は天皇賞で7〜12着。激走過ぎず、惨敗過ぎずが、ストレスとリズムのバランスからはベターだろう。

 2走前は全馬5着以内。連続で惨敗していると巻き返せるか微妙だ。

 3走前が9月の馬だと疲れがあるので、疲労が残るステップかどうかのチェックも、しっかりやっておくこと。

 ダイワファルコン以外の3頭は天皇賞で3角10番手以降だった。天皇賞を前に行っていて馬券に絡んだのは実は今回のダイワファルコンが初。昨年は稍重の特殊馬場だったので、その辺りの影響もあった。

 ダイワファルコンのように2走前がオールカマーだった馬は相性が良く、6頭中3頭が3着以内で、人気より走らなかった馬は1頭だけだ。

 2着は8番人気と人気薄だったアドマイヤタイシ。私はマイナビの前日予想では、この馬を本命にしていた。

 前走が準OPの昇級戦だったので人気がなかったパターンである。

 ただ、3番人気6着だったデルフォイも前走が準OPだった。

 何故、人気のデルフォイではなく、人気薄のアドマイヤタイシを本命にしたのか。

 Mの得意とする、鮮度の高い馬の中で馬を選別する方法論が、ここで重要になってくる。

 まずデータを見てみよう。

 前走準OPだった馬は28頭中7頭連対。人気薄が多いことを考えれば、さすがに鮮度が高いだけあって、よく走っている。

 ただ準OP勝ち馬となると、10頭中、今回のアドマイヤタイシを含めても2頭のみの連対。勝ち馬だけにそこそこ人気の馬も多かった割にいまいちで、勝ち馬に絞ると期待値が下がる。これがMの面白さである。

 本番で連対した2頭は、前走で3番人気以内。つまり前走で激走だった場合は、準OP勝ちの疲労が出やすい。いつも書いているが、準OP勝ちは、OP特別勝ちに近いくらいの心身疲労を残すので、激走過ぎるとまずいのだ。

 デルフォイは5番人気だった。

 しかも稍重なのに1:58.8という好時計勝ち。この強い内容が評価されたわけだが、M的に見れば、むしろ前走の内容が濃過ぎることは、ストレス面からマイナス評価になりやすい。

 また逃げや追い込みなど、極端な戦法で強さを見せた馬は、心身疲労が残りやすいので注意だ。

 とにかく如何に疲れを残さずに勝てたかが、重要なステップになる。

 10年は(11年は福島開催ではなかった)、12番人気の人気薄ダンスインザモアが激走。

 1600m重賞の富士Sで13着惨敗後だった。

 GIIIを6着以下に敗れて巻き返して3着以内に入った馬は、51頭中7頭。人気薄が多いことを考えればまずまずか。

 その6頭全てが1800m以下からの延長だった。そして5頭が前走差しか追い込み。

 延長で楽に追走出来た差し馬が、福島特有の前がやりあって潰れて差し込んで激変というパターンだ。

 前走先行していたのは07年のヤマニンメルベイユのみ。同馬は福島記念で、前走より後ろから競馬をする位置取りショックを施した。

 同馬は3着以内に15回入っているが、2角4番手以降から3着以内に入ったのは、実に未勝利勝ち以来のことで、今回が2度目だった。そしてこれが、2角4番手以降から3着以内に入った最後のレースとなる。

 このステップにおいて、差しに回る位置取りショックが如何に有効だったかを、如実に示すキャリアといえる。

 2着は1番人気ディアアレトゥーサ。秋華賞からの出走だった。

 秋華賞からの出走馬は2頭とも連対している。差せるタイプなら福島のペースに幻惑されずに、鮮度を活かせる可能性は高い。

 秋華賞が内回り2000mなので、古馬相手の小回りでも、揉まれて嫌がるリスクが少なく、疲労も牝馬限定戦でそれほどは残らない。

 逆に天皇賞や菊花賞といったGIを経由した3歳馬はあまりよくない。3歳の鮮度はあっても、疲労がないか?小回り福島の激戦へ違和感なく対応出来るか?を、よくチェックポイントして欲しい。

 09年は馬連85倍の波乱となった。この年は予想の5点目で馬連を当てたので、そのときのポイントを振り返ってみよう。

 勝ったのは休み明けの3歳馬で8番人気サニーサンデー。先程書いたように3歳は鮮度があるので、疲労が少ないステップなら有利だ。前走が福島1800mのラジオNIKKEI賞というのも、小回りでも違和感なく、というより距離が延びてより楽な感じで走れて良かった。

 なお、休み明けは古馬含めて3頭が3着以内。24頭いたことを思うといまいちか。

 残り2頭は、函館記念を好位と差しの馬だった。

 小回りである程度の位置で競馬をして活性化していて、間隔も開きすぎていない休み明けが、小回り福島のタフな重賞へ向かうには、違和感なく入っていける確率が上がる。

 前走が逃げや追い込みだった馬は、休み明けの福島2000mが辛い体験になる可能性が高くなるので、小回りに余程特化したタイプ以外、休み明けは不安要素になる。

 2着は5番人気トウショウシロッコ。私はこの馬を本命にしていた。

 前走は11頭立てのOP特別で7着と惨敗。

 ストレスが薄れていた。

 OP特別6着以下から巻き返した馬は多く、59頭中11頭が3着以内に走って、そのほとんどが人気薄だから美味しい。

 GIII凡走馬と似たパターンで、1800m以下を差して凡走している馬が特に面白い。

 2000mから巻き返した馬も4頭いて、全馬前走4角5番手以降で、人気より着順が悪く2000mを走った心身疲労を残さなかったタイプだった。

 また2走前は2200m以上を逆に積極的に乗っていて、そこで活性化が施されていた。

 根幹距離でかつ同一距離である2000mの場合は、心身疲労と活性化のバランスが最も重要になってくる。

※M3タイプ
S(闘争心)
闘争心を持つ馬。1本調子に走ろうとする性質。このタイプは気性をコントロールするために、短縮などのショック療法が有効。生涯に1度の絶頂期には、あらゆる条件を飛び越しで走ろうとするが、それを過ぎると極めて不安定になる。Sの由来は闘争を表す「Struggle」の頭文字から。

C(集中力)
集中力を持つ馬。集中して他馬との相手関係の中で走ろうとする性質を持つ。レース間隔を詰めたり、体重を絞ったり、内枠、ハイペース、強い相手との競馬など、摩擦の多い状況を得意とする。Cの由来は「Concentration」の頭文字から。

L(淡泊さ)
淡泊さを持つ馬。自分のペースで淡々と走ろうとするタイプの馬で、距離の延長や少頭数、広いコース、外枠、弱い相手との競馬が有効。Lの由来は「Light」の頭文字から。

このコラムをお気に入り登録する

このコラムをお気に入り登録する

お気に入り登録済み

ストレス、ショック療法など、競走馬の心身構造を馬券にする「Mの法則」を発見し、従来の競馬常識を完全に覆した。現在は、競馬雑誌等で活躍中のほか、馬券研究会「Mの会」を主催し、毎週予想情報の提供を行なっている。主な著書に「短縮ショッカー」、「ウマゲノム版種牡馬辞典」、「ポケット版 大穴血統辞典」などがある。

バックナンバー

新着コラム

アクセスランキング

注目数ランキング