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売上げ前年比10%増

  • 2013年11月15日(金) 18時00分
 11月14日の道営記念を最後に、今シーズンのホッカイドウ競馬の開催が終了した。毎年のことだが、この時期になるといよいよ今年も終わりに近づいたと実感させられる。

 ホッカイドウ競馬が今年予定していた開催は80日間。台風による開催中止や、濃霧による一部レースの取止めなどあったが、発売額140億1743万円余りは、前年比で116.8%、計画比で109.9%という盛況となった。

 これは昨年10月に導入された地方競馬IPATによるところが大きいと思われる。地方競馬全国協会からすでに発表されている今年度上半期(4〜9月)のデータでは、総売得額で浦和を除くすべての主催者が、1日平均では地方競馬のすべての主催者が、前年同期比で100%超。全国計では、総売得額108.4%、1日平均で115.9%という伸びとなっている。

 ちなみにホッカイドウ競馬では、9月までの1日平均が1億6886万円余りだったものが、最終的には1億7744万円余りとなったので、10月以降の1カ月半の追い込みでさらに売上げが伸びた。

 これら売上げの伸びがすべてIPAT分とは言いきれないが、一昨年度および昨年度の地方競馬全体の1日平均の売得額が対前年比でおよそ100%と、2年連続でほぼ横ばいだったことを考えれば、今年度の10%ほどの売上げアップはIPAT効果と考えていいのではないだろうか。

 またホッカイドウ競馬では、門別競馬場を含め道内17カ所にあるAibaをはじめとする地方競馬の馬券発売所が、今年3月からJ-PLACEとしてJRAの馬券も発売されるようになった。中には、これまで在宅投票以外ではJRAの馬券が買えなかったという地域も少なくなく、それによって競馬ファン(馬券ファン)の新規開拓となり、いわば相乗効果としてホッカイドウ競馬の売上げ好調にもつながったのではないかという話をシーズンの中盤あたりから聞いていた。

 昨年から始まった中央・地方間における馬券の相互発売は、日本の競馬の歴史において大きな転換点となったことは間違いない。

 正直なところ、地方競馬でも在宅投票が十分に普及している(と個人的には思っていた)現状で、地方競馬IPATによってどれほど売上げが伸びるかは懐疑的に見ていた。しかし全体で10%の伸びとなればやはり大きい。

 IPATで地方競馬の馬券が買えるなら買ってみようというファンが相当いた、ということか。そういえば今年の金沢のJBCでは、JBC当日の金沢競馬場の総売得額のうち、地方競馬IPATがじつに42.7%も占めていた。

 ホッカイドウ競馬の話に戻ると、門別通年開催に移行した当時、地方競馬IPATまでを想定していたかどうかはわからないものの、本場での売上げには期待せず、馬券の売上げの主軸を場外・在宅投票に期待するというのは、タイミング的なことも含めて正しい判断だったと言えるのではないか。

 2歳戦が中心に行われているホッカイドウ競馬は、地方競馬の中でも中央との結びつきがもっとも深いだけに、IPATをはじめとした新規ファンのさらなる開拓に期待したい。

1964年生まれ。グリーンチャンネル『地・中・海ケイバモード』解説。NAR公式サイト『ウェブハロン』、『優駿』、『週刊競馬ブック』等で記事を執筆。ドバイ、ブリーダーズC、シンガポール、香港などの国際レースにも毎年足を運ぶ。

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