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阪神JFで魅力を感じる種牡馬たち

  • 2013年12月06日(金) 12時00分


◆ホウライアキコには心配な点が

 新潟2歳Sでハープスターが見せた豪快な末脚は、他馬とは次元が違っていた。2着に退けた牡馬のイスラボニータはその後、東京スポーツ杯2歳Sを勝利。5着のマーブルカテドラルもアルテミスSで初重賞勝ちを飾っている。

 ハープスターの能力の高さが、より浮き彫りにされる形となった。父はディープインパクト、母系はベガ(桜花賞、オークス)、アドマイヤベガ(ダービー)が出た一族で、血統も文句ない。

 この手の人気馬に、過去に何度も裏切られた経験があるのは確かだが、生産はノーザンファーム、馬主は傘下のキャロットファーム。管理するのは松田博資調教師。このラインなら調整と仕上げに抜かりはないだろう。

 対するホウライアキコは新馬戦、小倉2歳S、デイリー杯2歳Sを3連勝して、ここに臨む。新馬戦、デイリー杯2歳Sともにレコード勝ち。2戦目の小倉2歳Sは重馬場だった。道悪にもスピード競馬にも対応できる万能性を持っている。

 ただ心配なのは、ヨハネスブルグ産駒がこのところ頭打ちで、夏から初秋にかけての勢いがトーンダウンしている点。それに母の父はサンデーサイレンスだが、母系の血統レベル自体は高くない。

 母系に魅力を感じるのは、むしろゼンノロブロイ、ステイゴールド、ネオユニヴァースの産駒たちだ。レーヴデトワールは半姉にレーヴディソール(阪神JF)がいて、母はフランスの中距離GIの勝っている。父のゼンノロブロイは近年やや精彩を欠くが、サンテミリオン(オークス)、アニメイトバイオ(阪神JF2着)を出している。過去の実績に加えて、この母系なら侮れない。

 ステイゴールド産駒のレッドリヴェールは長距離向きの配合。忙しい競馬に不安を残すが、阪神のマイルはスピードだけでなくスタミナも要する。消耗戦になれば面白い。と言っても、みんなキャリアの浅い2歳馬たち。何が起こるかわからない。馬券はささやかに楽しむことにする。

血統評論家。月刊誌、週刊誌の記者を経てフリーに。著書「競馬の血統学〜サラブレッドの進化と限界」で1998年JRA馬事文化賞を受賞。「最強の血統学」、「競馬の血統学2〜母のちから」、「サラブレッド血統事典」など著書多数。

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