スマートフォン版へ

騎手交流戦での対応

  • 2013年12月13日(金) 18時00分


◆地方競馬騎手交流戦の改善点

 12月12日に園田競馬場で行われた、通算2000勝以上の騎手による選抜戦、ゴールデンジョッキーカップは、全3戦の最終戦を制した戸崎圭太騎手が40ポイントで優勝。第2戦まででトップに立っていた岩田康誠騎手は惜しくも1ポイント差で2位となり、地方出身のJRA所属騎手のワンツー。3位は第1戦を制した高知の赤岡修次騎手だった。

 3戦とも1番人気馬が勝利し、馬連複はいずれも3桁配当と、騎手交流戦にしてはめずらしく堅い決着ばかりだったが、トップジョッキーばかりのレースはやはり見応えがあった。

 そんな中で残念だったのは、前日の浦和競馬で負傷した今野忠成騎手が参加できなかったことだが、これはアクシデントゆえ仕方ない。ちょっと違和感があったのは、その今野騎手が騎乗予定だった馬が3戦とも競走除外とされたことだ。馬はなんともないのに、それを除外としてしまうのは、あまりにも人本位のように思う。

 同じような騎手交流戦として、1月に川崎で行われている佐々木竹見カップ・ジョッキーズグランプリでは、以前、出場騎手が当日の負傷で騎乗できなくなったことがあり、そのときは地元南関東の騎手に乗り替わりとなり、騎手対抗戦としてのポイントは対象外としてレースが行われた。馬や厩舎関係者のことを考えれば、それがまあ普通の対応だろう。

 今回のゴールデンジョッキーカップでは、主催者内でも騎乗変更で対応してはという意見もあったそうだ。まして兵庫には、今回は選出されなかったが、ほかに2名の2000勝騎手(有馬澄男騎手、北野真弘騎手)がいる。乗替った騎手をポイントの対象にするかしないかは別として、そのほうがファンも喜んだに違いない。まして主催者の立場なら、1頭除外が出れば馬券の売上げが減ってしまう可能性も考えるだろう。

 しかしそれができなかったのは、ゴールデンジョッキーカップの実施要項の中の実施細目に、騎乗馬確定後に騎手が事故などで騎乗できなくなった場合は頭数を減らして(つまり除外して)実施するというような内容が明記され、関係各団体(農水省や他主催者など)に提出されているため、その決まりを変えることができなかったとのこと。

 めったにあることではないし、そういう決まりがあったのなら仕方ないが、馬が無事なのであれば、少なくとも出否は調教師(もしくは馬主)に判断させるようにすべきではないか。先の佐々木竹見カップの例ように、乗替りの騎手はポイント対象外にすれば、出場騎手のポイント争いには何の影響もない。次回以降の改善が望まれるところだ。

 さらに気になったことがひとつ。今回JRAから選ばれた騎手は、最初に挙げた2名に、内田博幸騎手と3名。あらためて書くまでもなく、いずれも地方出身だ。その中で、岩田騎手だけは地方時代の勝負服だったが、内田騎手、戸崎騎手は、通常JRAの騎手が着用する貸服だった。おそらく岩田騎手は出身が兵庫だからという対応なのだろう。ちなみに岩田騎手は、たとえば大井に交流レースで遠征したときなど、他のレースで地方所属馬に騎乗するときには兵庫時代の勝負服を着ている。

 このあたり、おそらく主催者による対応の違いなのだろう。せっかく今回はすべて地方出身の騎手となったのだから、それならば貸服でなく騎手服のほうがファンも喜んだに違いない。

 もちろん騎手のほうから貸服でという希望があったのなら仕方ないが、内田騎手も戸崎騎手も南関東で地方所属馬に乗るときは南関東時代の騎手服で騎乗しているから、まずそれは考えられない。

 このあたり、もう少し臨機応変という対応ができてもいいのではないか。

1964年生まれ。グリーンチャンネル『地・中・海ケイバモード』解説。NAR公式サイト『ウェブハロン』、『優駿』、『週刊競馬ブック』等で記事を執筆。ドバイ、ブリーダーズC、シンガポール、香港などの国際レースにも毎年足を運ぶ。

バックナンバー

新着コラム

アクセスランキング

注目数ランキング