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今さら聞けない競馬用語やシルポートの思い出など、ユーザーからの質問に答えます!

  • 2013年12月17日(火) 18時00分
小牧太


知っているようで意外と知らないのが競馬用語。でも、今さら人には聞けないし…という人も多いのでは? 今回は、ユーザーから質問として寄せられた競馬用語について、小牧騎手がわかりやすく解説するほか、先月引退したシルポートへの思いを語ります。
(取材・文/不破由妃子)



■賢い馬ほどゲートを出ない!?

──以前から競馬用語について度々質問がきていまして、今回はそのうちのいくつかを、小牧さんに解説していただきたいと思っています。まず『競馬用語はたくさんありますが、ジョッキー同士の会話ならではの“ジョッキー用語”はありますか?』というものです。たしかに、ジョッキーならではの独特の言い回しがありますよね。

小牧 そうやなぁ、「ゲートを出していく」とか「今日はゲートを出していった」とかかな。ゲートを出していくっていうのは、腰を入れて意識的にいいスタートを切らせることやね。そういう話はジョッキー同士でよくするね。あとは「踏み遅れた」とか。

──「踏み遅れた」とは?

小牧 仕掛けのタイミングが一完歩遅れたということやね。みんながバーッと仕掛けたときに、自分だけちょっとタイミングがズレてしまったときによく言うね。「今日はあそこで踏み遅れて…」とか。

──それは、レース後のコメントでも聞きなれない言葉ですね。続いて『“脚が上がる”というのは、具体的にどういう状態なのですか?』という質問もきています。

小牧 「脚が上がる」は、競馬用語といより、人間に対しても使うやろ? 運動会のときとか、「もう脚が上がってるやん」って。関西だけかな? 要するに、バテてる状態ですわ。脚がもう上がらなくて、前に進んでいかないっていうことやね。脚が上がらないことを「脚が上がる」っていうから、ややこしいのかもしれんけど、走ったりしたときに「息が上がる」って言うやろ? あれと同じような意味ですわ。

──続いては、『“アオる”という言葉をよく聞きますが、具体的にどういう状態になることをいうのでしょうか?』と。スタートにまつわる言葉では、もっともよく目にする言葉です。

小牧 なんていうのかな、ちょっと伸び上がってスタートしてしまうこと…っていう感じかな。基本は四肢が揃った状態でスタートしたほうが速く出られるんやけど、実際ゲートのなかでは、4本の脚でしっかり立っている馬のほうが少ないからね。どこかの脚に体重が掛かってしまったりすると、どうしてもちょっと伸び上がるような格好でスタートを切ることになって、それを“アオる”っていうんやけどね。人間もバランスが悪いとアオってしまうこともあるよ。

──出遅れのひとつのパターンですよね。伸び上がってスタートする馬もいれば、ゲートが開いてもジッとしている馬もいる。

小牧 いるいる、開いてもジッとしたまま出ていかない馬。昔はカンパイ(スタートのやり直し)とかあったんやけどね。何年か前、橋口厩舎にもいたな。いつも出遅れて、ケツから行く馬で。最初、安藤さんが乗っていて…なんていう馬やったかな、橋口厩舎ゆかりの血統馬で…。

──レジェンダロッサですね。ロゼカラーやロサード、ヴィータローザの下で。

小牧 そうそう、レジェンダロッサや。あの馬は、練習のときからホンマにゲートを出なかった。叩いてやっと出る癖をつけてね。賢い馬やったから、ゲートを出たら走らなアカンことをわかっていたんやろうね。

──開いても出ない?

小牧 出えへん。固まってしまって。能力はあったのに、走るのが嫌やったんやろうね。中山で僕が乗ったときも、5馬身くらい出遅れて(05年10月2日・中山10R・外房特別7着)。みんながもう走り始めてるなか、ようやく出てね。戻ってきたときに、いっぱいヤジられたもんなぁ。結局、あの馬は、馬場でも乗れなくなりましたもん。止まってしまうから、普通に走れなくなってね。まぁ、そういう馬はようけいるけど、だいたいそういう馬は走る馬が多いから、もったいないよね。賢すぎたんやろうね。

──最後に、先月引退したシルポートについて。今後はホワイトマズルの後継種牡馬として期待がかかりますが、ユーザーから『小牧さんとのコンビが印象的ですが、一番印象に残ったレースを教えてください』というリクエストがきています。

小牧 2年連続で勝ったマイラーズCは、どっちもすごく印象に残ってる。逃げ馬で、あのペース(11年の前半5Fが58秒0、12年は同57秒5)で行って、こんなに楽に勝てるものかと。本当に強かった。GIでも頑張ってくれたけどね、やっぱりちょっとしんどかったかなぁ。

小牧太

あのペースで行ってこんなに楽に勝てるものかと。本当に強かった。



──いろいろなジョッキーが騎乗していますが、10勝中4勝が小牧さん。手が合ったという感覚はありますか?

小牧 いや、いいときに乗せてもらいましたわ。ケガで休んだことをきっかけに、乗れなくなってしまってね。シルポートには、もう一度乗りたかったなぁ。

【次回の太論は?】
 次回は、小牧騎手のゴルフ仲間でもある笹田和秀調教師をゲストに迎えたスペシャル対談です。今年の競馬界を振り返っての競馬談義や、太論に寄せられたユーザーからの質問をテーマに熱いトークを展開します!
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太論 / 小牧太
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1967年9月7日、鹿児島県生まれ。1985年に公営・園田競馬でデビュー。名伯楽・曾和直榮調教師の元で腕を磨き、10度の兵庫リーディングと2度の全国リーディングを獲得。2004年にJRAに移籍。2008年には桜花賞をレジネッタで制し悲願のGI制覇を遂げた。その後もローズキングダムとのコンビで朝日杯FSを制するなど、今や大舞台には欠かせないジョッキーとして活躍中。

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