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オルフェーヴル、到着

  • 2013年12月25日(水) 19時30分


◆ラストランの興奮冷めやらぬ中、かなりの数の取材陣が押しかけていた

 12月25日午後1時40分。三日前に有馬記念を圧勝したばかりのオルフェーヴルが、来春より種牡馬生活を送るために社台スタリオンに到着した。当初、午前11時前後と予告されていたが、フェリーの便の関係で予定がずれて午後の到着となった。

馬運車から降りるオルフェーヴル

馬運車から降りるオルフェーヴル



 社台スタリオンには、かなりの数の取材陣が押しかけていた。未だラストランの興奮冷めやらぬ中での早々の移動で、きわめて注目度が高いのである。スポーツ各紙や一般紙に交じり、動画を撮る撮影チームも駆けつけてスタンバイしている。曇っていたものの気温は平年並みかやや高めで風もなく、コンディションとしてはまずまずであった。

 午後1時40分に馬運車が到着し、構内の道路上でゆっくりと後扉を開く。やがて、取材陣が見守る中を裸のオルフェーヴルがゆっくりとした足取りで一歩ずつ確認するように馬運車から降りてきた。一斉にカメラマンたちからシャッター音が鳴り響く。降りてくる場面だけでも連写で相当な枚数の写真を撮られていた。

 疲れているのと、新しい場所にやってきたことへの警戒心もあるのか、オルフェーヴルはひじょうに大人しい。嘶くことも、立ち上がったりすることもなく、淡々とスタッフに引かれて厩舎に向かう。馬房の中で一通りブラッシングされた後、再び取材陣の前に姿を現したが、予想していたよりもずっと物静かな印象である。

予想していたよりもずっと物静かな印象のオルフェーヴル

予想していたよりもずっと物静かな印象のオルフェーヴル



 スタリオン関係者と取材陣合わせて約50人が見守る中を、ゆっくりと周回する。右回りと左回りを繰り返し、立ち止まっては顔アップの注文にも応じていた。さすがに王者の風格が漂っており、決して大きくはないが独特の風格がある。

 同スタリオンの徳武英介氏によれば、すでに配合申し込みは満口になっており、生産者からの問い合わせがとても多かった由。種付け料がいくらになろうがとにかく付けたい、という希望が少なくなかったともいう。600万円は初年度としてはかなり高額な価格設定だが、実績や血統を考えれば無理もないところであろう。すでに150頭の申し込みで一応満口となっているが、シーズンが始まって交配が順調に進めば、プラスαの余勢交配も視野に入ってくることになるとか。

 ただ、そこまで行くのが大変で、新種牡馬の場合はまず、種付けそのものを難なくこなせるかどうか、あるいは射精した精液に十分な精子が含まれているかどうかもクリアしなければならない。どの種牡馬もそうだが、着実に一歩ずつ克服していかなければならない課題をあれこれ与えられるのだ。

 年が明け、2月になるといよいよ種牡馬展示会がここで開催される。ディープインパクトがお披露目された2007年もかなり大きな騒動になったが、来年の展示会もかなりの混雑が予想される。前回触れたロードカナロアとこのオルフェーヴル、エイシンフラッシュ。日本競馬の主役たちが揃って関係者の前に姿を現すのだ。おそらく相当な人出になるだろう。またそれくらいでなければ競馬人気の先行きも不安なものになる。

オルフェーヴル

種付け料がいくらになろうがとにかく付けたい、という希望が少なくなかったオルフェーヴル



 さて、年内の当コラムはこれで終わり、新年は1月8日より更新致します。今年も拙い当コラムをご高覧頂き、誠にありがとうございました。

岩手の怪物トウケイニセイの生産者。 「週刊Gallop」「日経新聞」などで 連載コラムを執筆中。1955年生まれ。

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