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進化を続ける54歳

  • 2014年01月10日(金) 18時00分


◆昨年の活躍が目立った調教師・騎手

 昨年末のこのコラムは、全日本2歳優駿を制して地方所属馬としては昨年唯一のGI/JpnI勝ち馬となったハッピースプリントについて2週続けて取り上げたが、昨年地方競馬でもっとも活躍が目立った調教師が、同馬を管理していた田中淳司調教師といっていいだろう。ほかにも、カクシアジがグランダム・ジャパン2歳シーズンで最終戦を待たずして優勝を決めた。栄冠賞を制したノットオーソリティ、川崎に遠征してローレル賞を制したクライリングらは、すでに南関東に移籍しているが、今年の南関東3歳牝馬戦線では中心的な存在となりそう。またホッカイドウ競馬の締めくくりとなる道営記念も3歳のレオニダスで制した。

 一方、騎手でもっとも印象的な活躍をしたのは、昨年54歳になった兵庫の川原正一騎手だろう。昨年は地方競馬で267勝を挙げ、2位の御神本訓史騎手(大井)を14勝差で振り切って初の全国リーディングとなった。

 兵庫ではほかに、田中学騎手が228勝、木村健騎手が225勝を挙げ、全国でそれぞれ3、4位。兵庫では高いレベルでのリーディング争いとなった。地方競馬では、ひとりのトップジョッキーに有力馬が集中すると、突出して高い数字を残すということがしばしばあるが、同じ地区の3人に勝ち星が分散したなかでの全国リーディングは価値がある。さらに勝率でも川原騎手の23.6%は、田中騎手18.1%、木村騎手21.7%を上回ったということでも驚かされる。

 そして昨年の川原騎手といえば、スーパージョッキーズトライアルでの優勝を経て、ワールドスーパージョッキーズシリーズに、じつに16年ぶり2度目の出場を果たしたことでも注目された。

◆騎手生活39年目、川原騎手の進化

 50代のジョッキーというと、大井の的場文男騎手が昨年も149勝(地方のみ、ほかに韓国で1勝)を挙げ、29年連続30度目の年間100勝超えという驚異的な記録を残している。昨年の川原騎手の年間267勝は、その的場騎手が2006年に挙げた地方競馬における50代での年間最多勝タイとなる記録。ただし、的場騎手はその2006年が満50歳を迎えた年で、誕生日(9月7日)の前日までは49歳だった。つまり、純粋に50代で挙げた年間勝利数の記録ということでは、川原騎手の記録がトップとなる。

 ちなみに“鉄人”と呼ばれ60歳まで現役を続け、通算7151勝(ほかに中央2勝)を挙げた佐々木竹見さんでも、50歳を超えてからの100勝超えはたった1度(1992年、110勝)しかなかった。

 川原騎手の年間200勝超えは、2008年201勝(ほかに中央1勝)、2011年216勝と、過去に2度あるだけ。つまり、54歳にして自身最多の勝利数を記録したのだ。今年で騎手生活39年目を迎える川原騎手は1月9日現在、すでに13勝を挙げ、2位に3勝差をつけて早くも全国のトップに立っている。

 昨年のワールドスーパージョッキーズシリーズにはお孫さんも応援に来ていたというおじいちゃんジョッキーは、今なお進化を続けている。

1964年生まれ。グリーンチャンネル『地・中・海ケイバモード』解説。NAR公式サイト『ウェブハロン』、『優駿』、『週刊競馬ブック』等で記事を執筆。ドバイ、ブリーダーズC、シンガポール、香港などの国際レースにも毎年足を運ぶ。

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