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太と笹田師が交わす男の約束とは…スペシャル対談の最終回!

  • 2014年01月21日(火) 18時00分
太論


笹田調教師をゲストに迎えたスペシャル対談もいよいよ最終回です。笹田師の調教師としてのポリシーに感銘した小牧騎手が、調教師転身にまさかの意欲を見せる!? さらに、「もう一度、GIを勝ちたい」と2014年の抱負を語った小牧騎手に、笹田師が放った男前なひと言とは?
(取材・文/不破由妃子)


■太は人が良すぎるから、調教師は勧めないよ

──小牧さんレベルでも、乗り鞍が減ってくる時代。勝負の世界ですから仕方のないこととはいえ、厳しい時代ですよね。今は乗り役を決める際、馬主さんの意見が反映されることが多いのですか?

笹田 8割、9割は、まず調教師がジョッキーを探します。それで、馬主さんに「この騎手が空いています」と打診をして、了承を得る。その8割、9割のなかでも、5割の馬主さんは何も言いません。

──そうなんですね。では、多くは調教師の先生に決定権があると。

笹田 僕は調教師として、負けても絶対にジョッキーのせいにはしません。なぜなら、選んだのは僕だから。負ければ、僕が馬主さんに「すみませんでした」と謝るだけです。たとえ、ダメな乗り方をして負けたとしても、そのジョッキーを選んだのは僕ですからね。

小牧 この時代、そういう調教師さんは、正直少ないですわ。僕だったら、ダメならダメで、ガーッと言ってもらったほうがいいですけどね。黙っていられるよりも。

笹田 今は黙ってチェンジやもんな(苦笑)。

小牧 そうです。そういうケースが多いですから。

笹田 僕は気持ちに余裕があるから、ここは絶対に勝たなアカンとか、なるべく思わないようにしてる。勝つときは勝つし、負けるときは負けるわけだからね。だから、負けても何も言わないし、乗り役もすぐに替えたりしない。絶対に2回は続けて乗せるからね。

──笹田先生は男気があるというか、スタンスがかっこいいですよね。

笹田 そんなことないですよ(苦笑)。まぁ、僕みたいな調教師は少ないだろうけど。

小牧 自分の信念を貫きながら、結果も出しているからすごいですよね。僕なんか、本当によくしてもらいすぎて。いいのかなっていうくらいですわ。

笹田 それは太がいいヤツだから。プライベートと仕事はわけて考えているけど、もともと園田では存在を知らない人はいないくらいのジョッキーだったわけだから、力があるのはわかってる。それに、こんな話は太としかできへんし。

小牧 そうですね。僕も調教師の先生と対談する機会なんてありませんし、もしそういう企画があってもお断りします(笑)。今回は、僕がご指名させていただいたんですけどね。

笹田 指名料、高いよ(笑)。

──普段は“先生”ではなく、“笹田さん”って呼んでらっしゃいますものね。

笹田 それでいい。僕ね、“先生”って言われるのが嫌やねん。なんで調教師が“先生”なんやって。

──長年、伊藤雄二師の右腕としてご活躍されていたわけですが、やはりいずれは調教師になろうという目標があったのですか?

笹田 いや、全然(笑)。調教師の娘と結婚したから、嫁のために調教師になろうと。だから、調教師になったのも52歳と遅かった。今はもう、30代で調教師になりますからね。

小牧 僕でも調教師になれるんかな。

笹田 勉強すればなれるよ(笑)。でも太には勧めない。太は人が良すぎる。

──小牧さん、本当に調教師の仕事には興味がありませんか?

小牧 まったくないこともないけど…。

──引退後は、吉本興業に入りたいとおっしゃってみたり(笑)。

笹田 それ、いいんちゃう? 僕はツッコミを担当するわ(笑)。

小牧 いやいや、僕の夢はグルメレポーターですから!

笹田 もし、本気で調教師になりたいんやったら、助手の力が大事やから、しっかりした助手を紹介するよ。

小牧 僕じゃ無理ですよ。なにしろ、勉強する気がないですからね(笑)。本気で勉強しようと思ったら、なにか方法を考えないと…。家庭教師をつけるとか。

笹田 俺がみっちり教えてやるよ。

小牧 ホンマですか? その際はお願いしようかな(笑)。

──では最後に、2014年の抱負を聞かせてください。

小牧 僕は2014年、やっぱりGIを勝ちたいです。最後の1勝になるかもしれないけど、チャンスのある馬にめぐり合って、もう一度勝ちたい。やっぱりね、年齢的にリミットがあるのはわかっているので。体の衰えを感じていない今のうちに、もう一度そういう馬にめぐり合いたい。

太論

「やっぱりGIを勝ちたいです。チャンスのある馬にめぐり合って、もう一度勝ちたい」



笹田 じゃあ、僕の2014年の目標は、小牧太にそういう馬を用意して、GIを勝たせること。

小牧 いいですね! 最高!

笹田 橋口先生にも恩返しせんとな。

小牧 そうですね。橋口先生にとって、とくにダービーは悲願ですからね。僕、ダービーを勝ったら、調教師を目指しますわ。

笹田 ホンマに!?

小牧 ……たぶん(笑)。とにかく2014年は、1からスタートするつもりで頑張ります。GIでチャンスのあるような馬にめぐり合うためには、また1から信頼を勝ち取っていかなければと思ってます。

笹田 大丈夫。太がGIを勝ちたいんだったら、俺がそういう馬を用意してやる。楽しい年にしような。

小牧 はい。よろしくお願いします!

太論

笹田「楽しい年にしような」、太「はい。よろしくお願いします!」



(次回の太論は?)
 通常の『太論』に戻る次回のテーマは、直近レースの回顧です。年明け早々、2日間の騎乗停止になったり、思わぬシーンで落馬をしたり…。少々出遅れた感のある小牧騎手ですが、はたしてその心中やいかに!? お楽しみに!
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1967年9月7日、鹿児島県生まれ。1985年に公営・園田競馬でデビュー。名伯楽・曾和直榮調教師の元で腕を磨き、10度の兵庫リーディングと2度の全国リーディングを獲得。2004年にJRAに移籍。2008年には桜花賞をレジネッタで制し悲願のGI制覇を遂げた。その後もローズキングダムとのコンビで朝日杯FSを制するなど、今や大舞台には欠かせないジョッキーとして活躍中。

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