スマートフォン版へ

プレイアンドリアルの父、デュランダル

  • 2014年01月24日(金) 12時00分


◆「筋書きのないドラマ」を生むには

 デュランダルがマイルCS2連覇など3つの短距離GIを勲章に、社台スタリオンステーションで供用を始めたのは2006年のこと。2009年に初年度産駒を競馬場に送り出すと、ジュエルオブナイルが早々と小倉2歳Sを勝つ好調な滑り出しを見せた。

 しかし、その後の種牡馬成績が伸びず、放出が決定。2011年から日高のブリーダーズスタリオンステーションに移動しての供用となった。皮肉にもエリンコートがオークスを勝ったのは、その5月のこと。だが、社台スタリオンステーションには、サンデー系の成功種牡馬があふれ返っている。

 古巣に復帰することなく供用を続けていたが、2年後の2013年7月7日、心臓麻痺で急死してしまった。突然、馬房内で興奮して倒れ、そのまま息を引き取ったという。14歳だった。

 先週の京成杯を勝ったプレイアンドリアルは、社台スタリオンステーション最後の種付けで生まれた産駒である。初年度250万円だった種付料も、シーズン6年目を迎えた2010年にはかなり落ちていた。

 産駒の値段も当然ながら安くなる。社台グループ以外の牧場の生産馬だと、さらに安い。プレイアンドリアルも2013年の北海道トレーニングセール2歳に出場し、735万円(税込)で取引された馬だった。

 地方馬といっても馬主は岡田繁幸氏。コスモバルクと同じ計算の匂いがするのは嫌だが、この馬を発掘した相馬眼と、外人騎手やランキング上位の騎手に頼らず、地味な柴田大知騎手を乗せた心意気には、素直に拍手を送りたい。

 昨春のNHKマイルCで、マイネルホウオウを勝利に導いた騎乗もみごとだった。しかし今年は、京成杯を勝ってやっと両目が開いた。こんな騎手がなぜ下位にくすぶっているのかと思う。

 馬主がせちがらくなり、調教師が威厳を失って“単なるマンションの管理人”になってしまったということか。これでは競馬や血統に、筋書きのないドラマが生まれてこない。

血統評論家。月刊誌、週刊誌の記者を経てフリーに。著書「競馬の血統学〜サラブレッドの進化と限界」で1998年JRA馬事文化賞を受賞。「最強の血統学」、「競馬の血統学2〜母のちから」、「サラブレッド血統事典」など著書多数。

バックナンバー

新着コラム

アクセスランキング

注目数ランキング