スマートフォン版へ

「先行馬に騎乗するときのポイント」などユーザーからの質問に答えます!

  • 2014年02月11日(火) 18時00分
太論


「ゲート入りを嫌がる馬に対してムチを使うのは、精神的な影響はないの?」「小牧騎手は逃げ・先行馬で勝つことが多いように思いますが、先行馬に騎乗するときのポイントは?」というユーザーからの質問に、ジョッキーならではの視点で真摯に答えます!
(取材・文/不破由妃子)


■最近の走る馬は、引っ掛かりながらも伸びてくるね

──今日はユーザーからの質問を2つ紹介したいと思います。まずは馬のゲート入りについて、「ゲート入りを嫌がる馬に対して、JRAの職員さんが長いムチで脚元をビシビシと叩いていることがありますが、そういった行為は走る前の馬の精神面に影響はないのでしょうか?」という質問がきています。

小牧 影響はあるよ、やっぱり。だから、精神面に影響が出てしまいそうな馬については、「もうちょっとで入るから叩かんといて」ってお願いします。やっぱり気にする馬は気にするからね。まぁゲート入りを嫌がる馬は、大概ズルい馬やけど。走りたくないんやろうね。かといって、入らんかったらしゃあない。叩いてもダメなら、今度は目隠しをしたり、ヒモで左右から押したりね。

──最終手段というのは?

小牧 目隠しと、あとはゲートの前の扉を開けたり。扉を開けたら入る馬が多いよ。入った瞬間、パッと閉める。

──ゲート入りに手こずった時点で、競走能力的にマイナスと見ていいんですか? まぁ、ファンはその時点で馬券を買ってしまっているので、だとしても手遅れなんですが。

小牧 ん〜、やっぱり走りたくないっていう意思表示やからねぇ。あとは、故障しそうな馬とか、入りが悪いときがあるよ。痛いところがあるから、走りたがらない。嫌な予感がするときはあるけど、かといって、予感だけで止めることはできない。そうじゃない場合もあるからね。とにかくスムーズに入ってもらわな、みんなに迷惑をかける。だから、どうにかして入れることは大事な仕事やと思う。さっきも言ったけど、「この馬は叩かんといて」ってひと言いえば止めてくれるし、なんでもかんでも叩くわけやないから。

──続いては、「小牧騎手のイメージとして、差し・追い込みよりも、逃げ・先行で勝利している印象が強いです。馬にもよるでしょうが、先行馬に騎乗するときのポイントは?」という質問です。

小牧 やっぱりスタートでしょう。スタートに尽きる。前にも言ったけど、逃げ馬は出遅れたらお終いやから、あんまり好きじゃないんだけどね(苦笑)。でも、今は僕に限らず、どの騎手も先行して勝つことが多いんじゃない? ダートはとくに、逃げて勝つことが多いと思うよ。今は前に行って勝つのが主流やね。
太論

先行馬に騎乗するときのポイントは「やっぱりスタート」

──ある程度、ゲートを出して行って、いい位置で折り合いをつけて…という競馬が主流ですよね。

小牧 そうそうそう。最近の競馬は、それでも残るから。

──あるジョッキーが、「折り合いにも2種類あって、馬の気に任せて折り合うのと、力で抑え込んで折り合いをつけるのでは違う」というお話をされていました。今は、力で抑え込むという技術が求められているような気がします。

小牧 最近の走る馬、力のある馬は、引っ掛かりながらも、ある程度抑えが利いていれば、追ってからも伸びるからね。逆に、それくらいのパワーがあるから走るわけで。走らん馬は、同じように引っ掛かったら終いはない。

──多少、引っ掛かるくらいパワーがある馬のほうが、ジョッキーとしても手応えがありますか?

小牧 そうやね。馬にもよるけど、手綱をプラーンとしたままきれいに折り合いがつく馬は少ないからね。

──最近は、“長手綱”をすっかり見かけなくなりましたものね。

小牧 そうやね。昔は縦長の競馬が多かったから。ユタカくんとか、長手綱で折り合ってきれいに乗っとったわ。今はそんな競馬はないもんね。どんどんタイトになってきてるから。

──競馬の流れとしては、すごく大きな変化ですよね。

小牧 大きいね。同時に馬も変わってきてるでしょう。外国のジョッキーはとくに力でガッと抑えて乗るけど、最近の馬はそれでも伸びてくるから。馬も昔以上にパワー型が多いからね。

──小牧さんがJRAに移籍してきたころは、まだ縦長の競馬も多かった?

小牧 いや、そんなことないよ。ワールドスーパージョッキーズシリーズが始まってから(第1回は1987年)、だんだんタイトな競馬になってきたんちゃうかなぁ。馬の変化もあるけど、やっぱり外国人ジョッキーと一緒に乗る機会が増えたことが大きいと思うよ。

──小牧さんとしては、今の競馬のほうがおもしろいですか?

小牧 ん〜、おもしろい面もあるけど、それ以上に力のある馬に乗らんかったらダメやからね。まずはそういう馬に乗せてもらえるジョッキーにならんとね。

【次回の太論は?】
禁煙して以降、「体重が重たなったなぁ…」と、ぼやくことが増えた小牧騎手。しかし、簡単にはあきらめないのが小牧騎手のスゴイところで、ここにきて新たなダイエット法について勉強を始めたそうです。次回は、週末に向けての厳しい体重調整についてなど、小牧騎手の最新プライベート情報をお届けします。
質問募集
太論 / 小牧太
このコラムでは、ユーザーからの質問を募集しております。あなたから
コラムニストへの「ぜひ聞きたい!」という質問をお待ちしております。
質問フォームへ

このコラムをお気に入り登録する

このコラムをお気に入り登録する

お気に入り登録済み

1967年9月7日、鹿児島県生まれ。1985年に公営・園田競馬でデビュー。名伯楽・曾和直榮調教師の元で腕を磨き、10度の兵庫リーディングと2度の全国リーディングを獲得。2004年にJRAに移籍。2008年には桜花賞をレジネッタで制し悲願のGI制覇を遂げた。その後もローズキングダムとのコンビで朝日杯FSを制するなど、今や大舞台には欠かせないジョッキーとして活躍中。

バックナンバー

新着コラム

アクセスランキング

注目数ランキング