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競輪場に馬券発売所

  • 2014年02月28日(金) 18時00分


◆公営競技が共存共栄する道

『競輪場と競馬が日本初のコラボ!!』というリリースががあった。

 京王閣競輪場内に、大井競馬の場外発売所「オフト京王閣」を3月30日に開設するとのこと。

 これまで場外発売専用の施設では、他種競技と同居という施設はいくつもできていたが、今回は競輪場の本場に馬券売場ができるという点で画期的だ。誰でもが利用できるようなら、なおよかったと思うのだが、入会金1000円の会員制としたのは、利用者の身元を管理しなければならない何らかの申し合わせがあったのだろう。開設にあたっては入会金無料キャンペーンが実施されている。

 発売日数は年間約270日というから、南関東のほぼすべての開催日で馬券の発売が行われるのだろう。競輪を見に来たファンも、会員にさえなっておけば、そこで南関東の馬券も買うことができるというわけだ。

 ファンにとって公営競技同士の親和性が高いことは言うまでもない。

 僕の住んでいる埼玉県には、公営4競技ともがあり、しかもそれぞれがわりと近い位置関係にある。かつてネットや電話投票がほとんどなかった頃のことだが、浦和競馬場に向かう無料送迎バスの中などでベテランのファン同士が、「今日、誰それはオート(とか、ボートとか、競輪)に行ってるから競馬場には来ないよ」というような会話が聞こえてくることがあった。日毎に4競技を巡っていたギャンブルおやじたちは少なからずいるのだ。

 地方競馬の中ですら広域の場外発売が行われていなかった時代で、異なる競技同士が仲良く同じ施設で投票券を発売するなどということは、当時とすれば思いもよらないことだった。

 販路の拡大ということを考えれば当然のこととも思えるが、かつては他場や他競技にファンのお金が流れてしまうという縄張り意識があまりにも強く、それが相互発売がなかなか進まなかった原因のひとつと考えられる。おそらく、開催経費のかからない場外発売の手数料収入で儲けるという考え方には至らなかったのだろう。

 ここ1年半近く、地方競馬ではJRAのIPATでの馬券発売によって売上げを伸ばしたが、他競技との連携が進んでいけば、さらなる販路の拡大も期待できそうだ。

 たとえば、いい悪いは別にして、駅前の商店街がシャッター街と化して、郊外の大型ショッピング施設に利用者が流れてしまったのは、そこに行けば食事からショッピングからさまざまなことを楽しめるという利便性からだろう。同じように公営4競技が共存共栄できるような複合施設化は、実験的な段階からでも進めていくべきと思う。

1964年生まれ。グリーンチャンネル『地・中・海ケイバモード』解説。NAR公式サイト『ウェブハロン』、『優駿』、『週刊競馬ブック』等で記事を執筆。ドバイ、ブリーダーズC、シンガポール、香港などの国際レースにも毎年足を運ぶ。

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