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期待の3歳馬2頭の話と10年近く乗ってきて、やっとわかったこととは…

  • 2014年03月04日(火) 18時00分
小牧太

期待の3歳馬2頭を中心に、春へ向けての手応えを…


きさらぎ賞では6着に終わったサトノルパンですが、満を持して東上した2月24日の東京6Rを完勝。念願の2勝目をマークしました。エルフィンS5着のレッドオーラムについても、まだまだ伸びしろは十分です。今回は期待の3歳馬2頭を中心に、春へ向けての手応えをうかがいました!
(取材・文/不破由妃子)


■10年近く乗ってきて、やっとわかったことが…

──先月お話をうかがった注目の3歳馬が、2月は続々と出走しましたね。

小牧 みんないいレースをしてくれているけどね。サトノルパンのきさらぎ賞は、スタートがもうひとつでね。いつも通りにボコッと出てしまって。重賞であの位置からでは、さすがに勝ち切れないねぇ。それでも上がりは2番目の時計(34秒9)やったでしょう。でもまぁ、上位の馬はやっぱり強いわ。

──距離はいかがでしたか? 1800mは初めてでしたが。

小牧 折り合いはついたよ。次、どうするんかな。(取材した2月20日時点で)共同通信杯とこぶし賞と迷ってるみたいなんやけど、あの馬は東京がいいと思うわ。東京を使うとなれば、たとえサトノ1頭でも行こうと思ってる。東京の平場で芝1400mがあるって聞いてるんでね。あくまでも僕の意見やけど、そこが一番いいんちゃうかなぁと思って(編集部注・2月24日の東京6R・3歳500万を快勝!)。

──まずは2勝目を挙げないことには、次に進めませんものね。ただ、きさらぎ賞を見る限り、重賞でも十分やれる力はあるなと。

小牧 そうやね。この前はレース後の息遣いが悪かったです。牧場から帰ってきて10日間くらいで使ったから、そういうのも影響したんちゃうかな。でも、いくらか乗りやすくなって帰ってきたよ。

──エルフィンSに出走したレッドオーラムは5着。最後までジワジワと伸びているように見えましたが…。

小牧 やっぱり距離やね。前から言っているように、距離はもうちょっとあったほうがいいわ、あの馬は。あの緩いペース(前半1000m通過62秒9)で折り合いがついていたのは、レッドオーラムくらいだったんちゃうかな。みんな引っ掛かってたからね。だから、もうちょっと距離があれば違うと思うねんけど。
※編集部注・3月8日の阪神11Rチューリップ賞(芝1600m)と、翌日の阪神9R・アルメリア賞(芝1800m)に登録しています。

──重馬場でしたが、その影響というのは?

小牧 馬場の影響もあるでしょうけど、それはほかの馬も一緒やからね。ただ、レッドオーラムは走るよ。僕自身、エルフィンS5着でも、まったく悲観はしてないです。むしろ、あの競馬でよう5着にきてくれたなって。とにかくあの馬は乗りやすいねん。全然引っ掛からない。だから、2000mくらいやったらもう少しいい位置で競馬ができると思うわ。一応、スタッフには僕の意見を言いましたけどね。

──小牧さんがそこまでおっしゃるからには、なんとかオークスの権利を取ってほしいですね。フローラSあたりで、ぜひ競馬を見てみたい。

小牧 そうそう、そうやねんな。距離が延びれば、絶対にもっとやれるはずやから。

──新馬ではロザリウムが、京都の1600mでデビューしましたね。注目度の高い1頭でしたが、結果は残念ながら9着でした。

小牧 1番人気やったねぇ。橋口先生も意外だったみたいで、レースのあと「おい、1番人気やったな」って言ってたわ。あれ(9着)はもう、仕方がないね。

──レース前は、先生も決して強気とはいえないコメントを出されていましたし、小牧さんも「もうひとつやなぁ。まだ硬いところがある」とおっしゃっていましたが、やはり血統的にどうしても注目されますからね。

小牧 そういえば僕、もうひとつネットのコラムをやってるでしょう。そっちにね、「走る前からそんなことを言ってはダメだ」っていうような批判が、何通かきとったらしいわ。

──そうなんですね。ただ実際は、鞍上がもうひとつだと思っていても、走ってしまうケースも多々ありますからね。その逆も然りで。

小牧 そうやね。どう言えばいいのか…難しいわ。それにしても、競馬では進んでいかんかったねぇ。二度、三度使って、どう変わってくるかやな。

──そういえば、2月はずっと馬場が悪かったですね。開催があるのか中止なのか、ジョッキーにとっても落ち着かない1か月だったのでは?

小牧 ホンマやね。でも、収穫もあったわ。芝のレースは馬場が悪くなったら、絶対に前に行っておかな無理やなって。10年近く乗ってきて、やっとわかったわ(笑)。それに、あそこまで馬場が悪くなると、馬が引っ掛からない。

小牧太

芝のレースは馬場が悪くなったら、絶対に前に行っておかな無理やなって。10年近く乗ってきて、やっとわかったわ(笑)



──走りづらいから、いい意味で意識が散漫になるのかもしれませんね。

小牧 うん、そうだと思う。そのあたりもやっとわかったよ。それもポンポンと勝てた要因かもしれん(笑)。もちろんね、もともと道悪がダメな馬は走らんけど、そういう馬場を苦にしない馬で、なおかつ普段は引っ掛かるタイプやったら、むしろ道悪はいいのかもしれんね。

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1967年9月7日、鹿児島県生まれ。1985年に公営・園田競馬でデビュー。名伯楽・曾和直榮調教師の元で腕を磨き、10度の兵庫リーディングと2度の全国リーディングを獲得。2004年にJRAに移籍。2008年には桜花賞をレジネッタで制し悲願のGI制覇を遂げた。その後もローズキングダムとのコンビで朝日杯FSを制するなど、今や大舞台には欠かせないジョッキーとして活躍中。

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