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直近1か月のベストレース、ワーストレースや酔っぱらった新幹線での出来事を太が語ります

  • 2014年03月25日(火) 18時00分
小牧太

強い勝ち方をしたナムラビクターの話から新幹線で一緒になった…


3月15日には1日3勝を挙げるなど、相変わらず順調に勝ち星を積み重ねている小牧騎手。今回は、直近1か月のレースのなかから、小牧騎手自身がベストレース、ワーストレースを選出し、今一度、臨場感たっぷりにレース中の機微や攻防を振り返ります!
(取材・文/不破由妃子)


■ナムラビクターはホンマに強いッ!

──今回は、2月22日〜3月16日のレースを振り返っていきたいのですが、期間中は連勝もありの計7勝。相変わらず順調ですね。

小牧 やっぱりね、次につながるレースをしているから、それが順調に勝ちに結びついてるんじゃないかな。

──たしかに前走2着からの1着という例が多かったですものね。

小牧 そうそう。そういう感じで流れが良くなってるね。

──さっそくベストレースをうかがっていきたいんですが。

小牧 ベストレースというか、サトノルパン(2月24日・東京6R・3歳500万)が最高に気持ちよかったねぇ。余裕でしたわ。うまいこと力のある馬の後ろにつけられて、4コーナーもスーッと周りを見ながら気持ちよく抜けてこられたもんね。ただやっぱり、スタートがねぇ、ちょっと出遅れて。位置取りが悪いなと思いながら乗ってたんやけど、それ以上に力が違ったね。

──500万クラスでは力の違いが歴然でしたね。以前、お話をうかがったとき、『東京の平場に1400mがあるから、そこがいいと思う』とおっしゃっていましたが、小牧さんの読み通り、舞台適性もバッチリでしたね。

小牧 そうやね。僕自身、東京で久しぶりに気持ちよく勝てたっていうかね。しかもあの日は、サトノルパン1頭だけやったから。そこで勝つのと負けるのでは、気持ち的に全然違う。帰りの新幹線のなかでは、ま〜酔っ払ったね(笑)。

──え〜、それはいつものことでは…。

小牧 そうやけど、あの日はとくに。そういえばね、新幹線の通路を挟んだ同じ列に、ビーチバレーの浅尾美和さんが乗ってはって。僕、けっこう好きなタイプなんで、すぐに気がついてん(笑)。ずっと話しかけたかったんやけど、なかなかできなくて。でもだんだん酔っ払ってきて、ついに話しかけてしまって…。今思うと、迷惑そうやったわ(苦笑)。

──浅尾さんは、小牧さんがジョッキーだっていうことをご存知だった?

小牧 いや、知らないでしょう。僕も言わなかったし。だから彼女からしてみれば、酔っぱらいに絡まれた感覚だったんちゃうかな。いや、実際、そうなんやけど(苦笑)。あとから考えて、申し訳ないことをしたと思って反省しましたわ。それにしてもあの日は、サトノルパンで勝って、帰りには浅尾美和さんに会えて。いい一日でしたわ。次のファルコンS(2着)でもいい競馬をしてくれると思うし、なんとかNHKマイルCにいきたいね。

──そういえば、サトノルパンでの勝利がちょうど700勝だったんですよね。改めまして、おめでとうございます。

小牧 ありがとうございます。関係者への感謝の気持ちは別として、自分としては区切りという感じもしないし、700という数字に関してはなんとも思わんね。1000勝となると、また違うんやろうけど。

──まぁ、通過点のひとつですものね。そのほかにも強烈な勝利がたくさんありましたが、とくに印象に残っているものは?

小牧 快勝ということでは、仁川Sのナムラビクターやね。あの馬は強い! これからがほんまに楽しみやね。ナイスミーチューと路線が被るから、本気で迷ってしまうくらい力のある馬やね。

──今後も騎乗されるんですね。

小牧 うん。次はアンタレスSを使う予定です。楽しみやわ、ほんまに。ナイスミーチューと同じで、この馬も締まった馬場はあんまりよくないみたいやけどね。

──では、ワーストレースというと、どのレースになりますか?

小牧 ワーストはあれや、この前の中山の…。

──中山牝馬Sのノーブルジュエリー(5着)ですね。

小牧 うん、あれは下手に乗ったわ。下手に乗ったというか、酒井学くん(フーラブライド1着)にうまいことやられたわ。僕の馬が引っ掛かるのを知っているからか、2コーナーの手前から真横にピッタリとつけられてね。そこでもう、僕の馬は天井を向いてしまって。あれだけ馬に天井を向かれたのは久々やったわ。結局、酒井学くんの馬が勝ったわけやから、彼の作戦勝ちやね。あとは4コーナーで馬場に脚を取られてしまって。先に行こうと思ってたんやけど、結局、行けなくてね。脚が長い馬やし、ちょっと失敗しましたわ。あれは下手に乗った。最後はきてたからね。脚を余してしまった。たらればやけど、スムーズやったら勝ってたと思うくらい。
小牧太

下手に乗ってしまったのは本当に申し訳なかったし、僕自身、悔いの残る一戦やね


──ノーブルジュエリーにとっては、引退レースにして初めての1800mだったんですよね。

小牧 うん。実際は十分やれたんやけど、僕自身、1800mは絶対に長いと思ってたし、あの日は阪神でグレイスフルリープも頼まれてたから、当初は(中山に)行かないつもりやったんです。でも、珍しく社台さんから直々に「行ってほしい」って頼まれてね。馬にとっても大事な引退レースやし、頑張ってこようかと。それだけに、下手に乗ってしまったのは本当に申し訳なかったし、僕自身、悔いの残る一戦やね。

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阪急杯のダノンシャーク(9着)の騎乗について、批判的なコラムを見つけたユーザーから「反論でもなんでもいいので、コラムに対してご意見を」とのリクエストが。このほか、2月いっぱいで引退した上村洋行元騎手について、小牧騎手が熱い思いを語ります。
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1967年9月7日、鹿児島県生まれ。1985年に公営・園田競馬でデビュー。名伯楽・曾和直榮調教師の元で腕を磨き、10度の兵庫リーディングと2度の全国リーディングを獲得。2004年にJRAに移籍。2008年には桜花賞をレジネッタで制し悲願のGI制覇を遂げた。その後もローズキングダムとのコンビで朝日杯FSを制するなど、今や大舞台には欠かせないジョッキーとして活躍中。

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