強い勝ち方をしたナムラビクターの話から新幹線で一緒になった…
3月15日には1日3勝を挙げるなど、相変わらず順調に勝ち星を積み重ねている小牧騎手。今回は、直近1か月のレースのなかから、小牧騎手自身がベストレース、ワーストレースを選出し、今一度、臨場感たっぷりにレース中の機微や攻防を振り返ります!
(取材・文/不破由妃子)
■ナムラビクターはホンマに強いッ!──今回は、2月22日〜3月16日のレースを振り返っていきたいのですが、期間中は連勝もありの計7勝。相変わらず順調ですね。
小牧 やっぱりね、次につながるレースをしているから、それが順調に勝ちに結びついてるんじゃないかな。
──たしかに前走2着からの1着という例が多かったですものね。
小牧 そうそう。そういう感じで流れが良くなってるね。
──さっそくベストレースをうかがっていきたいんですが。
小牧 ベストレースというか、サトノルパン(2月24日・東京6R・3歳500万)が最高に気持ちよかったねぇ。余裕でしたわ。うまいこと力のある馬の後ろにつけられて、4コーナーもスーッと周りを見ながら気持ちよく抜けてこられたもんね。ただやっぱり、スタートがねぇ、ちょっと出遅れて。位置取りが悪いなと思いながら乗ってたんやけど、それ以上に力が違ったね。
──500万クラスでは力の違いが歴然でしたね。以前、お話をうかがったとき、『東京の平場に1400mがあるから、そこがいいと思う』とおっしゃっていましたが、小牧さんの読み通り、舞台適性もバッチリでしたね。
小牧 そうやね。僕自身、東京で久しぶりに気持ちよく勝てたっていうかね。しかもあの日は、サトノルパン1頭だけやったから。そこで勝つのと負けるのでは、気持ち的に全然違う。帰りの新幹線のなかでは、ま〜酔っ払ったね(笑)。
──え〜、それはいつものことでは…。
小牧 そうやけど、あの日はとくに。そういえばね、新幹線の通路を挟んだ同じ列に、ビーチバレーの浅尾美和さんが乗ってはって。僕、けっこう好きなタイプなんで、すぐに気がついてん(笑)。ずっと話しかけたかったんやけど、なかなかできなくて。でもだんだん酔っ払ってきて、ついに話しかけてしまって…。今思うと、迷惑そうやったわ(苦笑)。
──浅尾さんは、小牧さんがジョッキーだっていうことをご存知だった?
小牧 いや、知らないでしょう。僕も言わなかったし。だから彼女からしてみれば、酔っぱらいに絡まれた感覚だったんちゃうかな。いや、実際、そうなんやけど(苦笑)。あとから考えて、申し訳ないことをしたと思って反省しましたわ。それにしてもあの日は、サトノルパンで勝って、帰りには浅尾美和さんに会えて。いい一日でしたわ。次のファルコンS(2着)でもいい競馬をしてくれると思うし、なんとかNHKマイルCにいきたいね。
──そういえば、サトノルパンでの勝利がちょうど700勝だったんですよね。改めまして、おめでとうございます。
小牧 ありがとうございます。関係者への感謝の気持ちは別として、自分としては区切りという感じもしないし、700という数字に関してはなんとも思わんね。1000勝となると、また違うんやろうけど。
──まぁ、通過点のひとつですものね。そのほかにも強烈な勝利がたくさんありましたが、とくに印象に残っているものは?
小牧 快勝ということでは、仁川Sのナムラビクターやね。あの馬は強い! これからがほんまに楽しみやね。ナイスミーチューと路線が被るから、本気で迷ってしまうくらい力のある馬やね。
──今後も騎乗されるんですね。
小牧 うん。次はアンタレスSを使う予定です。楽しみやわ、ほんまに。ナイスミーチューと同じで、この馬も締まった馬場はあんまりよくないみたいやけどね。
──では、ワーストレースというと、どのレースになりますか?
小牧 ワーストはあれや、この前の中山の…。
──中山牝馬Sのノーブルジュエリー(5着)ですね。
小牧 うん、あれは下手に乗ったわ。下手に乗ったというか、酒井学くん(フーラブライド1着)にうまいことやられたわ。僕の馬が引っ掛かるのを知っているからか、2コーナーの手前から真横にピッタリとつけられてね。そこでもう、僕の馬は天井を向いてしまって。あれだけ馬に天井を向かれたのは久々やったわ。結局、酒井学くんの馬が勝ったわけやから、彼の作戦勝ちやね。あとは4コーナーで馬場に脚を取られてしまって。先に行こうと思ってたんやけど、結局、行けなくてね。脚が長い馬やし、ちょっと失敗しましたわ。あれは下手に乗った。最後はきてたからね。脚を余してしまった。たらればやけど、スムーズやったら勝ってたと思うくらい。
下手に乗ってしまったのは本当に申し訳なかったし、僕自身、悔いの残る一戦やね
──ノーブルジュエリーにとっては、引退レースにして初めての1800mだったんですよね。
小牧 うん。実際は十分やれたんやけど、僕自身、1800mは絶対に長いと思ってたし、あの日は阪神でグレイスフルリープも頼まれてたから、当初は(中山に)行かないつもりやったんです。でも、珍しく社台さんから直々に「行ってほしい」って頼まれてね。馬にとっても大事な引退レースやし、頑張ってこようかと。それだけに、下手に乗ってしまったのは本当に申し訳なかったし、僕自身、悔いの残る一戦やね。
【次回の太論は?】
阪急杯のダノンシャーク(9着)の騎乗について、批判的なコラムを見つけたユーザーから「反論でもなんでもいいので、コラムに対してご意見を」とのリクエストが。このほか、2月いっぱいで引退した上村洋行元騎手について、小牧騎手が熱い思いを語ります。