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ちょっと濃い目(?)の質問に太の熱い思いが炸裂する!

  • 2014年04月08日(火) 18時00分
小牧太

“ダートの小牧”という評価は…


「戦略として、差し馬を逃げさせたりすることはありますか?」、「“ダートの小牧”という評価があるとしたら、それはうれしい? それとも不本意?」などなど、今回はちょっと濃い目(?)の質問がテーマ。小牧騎手の熱い思いが炸裂する!
(取材・文/不破由妃子)


■“ダートの小牧”という評価は不本意や!

──今回は、騎乗技術や戦略について質問がきています。まずは「小牧騎手といえば、先行・逃げ切りのイメージですが、最近はよりそのイメージが強くなったように思います。そんななかで、戦略として差し馬を先行、あるいは逃げ切りの形に持っていくことはありますか?」というものです。

小牧 それはあるよ。それ以前に、常に前で競馬をしたいとは思っているけど、でも行ったらダメな馬もいるし、慌てさせたらダメな馬もいる。なかでもトモの緩い馬とかは、経験上、あんまりスタートから出していかんほうがいいような気がするしね。

──ちょっと古い話ですが、追い込みタイプのダイタクバートラムを、京都大賞典(04年5着)でいきなり逃げさせたことがありましたよね。10頭と少頭数で、確かスタートが抜群に良くて。

小牧 ああ、あの馬は引っ掛かる馬だったからね。でも、レース後、先生に「行ったらダメだろ」って言われた覚えがある(笑)。橋口先生はハナに行く競馬が嫌いなんでね。掛かり癖のある馬は、スタートさえ良ければ行かせやすいよね。追っ付なくても自分から行くんで。だから、そういう馬の場合、とくに陣営の指示がなければ、僕の判断で行かせてみることもあるよ。

──続いては「芝からダートに路線を変更するときに、小牧さんに乗り替わる馬が多いように思います。もし、厩舎関係者のなかで“ダートなら小牧”という評価があったとしたら、うれしいですか? それとも不本意ですか?」という質問です。なかなか難しい質問ですね。

小牧 ん〜、なんともいえんねぇ(笑)。まぁダートのほうが得意といえば得意やけど。なんせ、中央に乗りにくるまではダートしか乗ったことがなかったんやからね。もし、そういう評価があったとしたら…どうなんやろうな。複雑やな(苦笑)。

──確かに最近、このユーザーさんがおっしゃる通り、芝→ダート替わりの初戦に、小牧さんを配して…という乗り替わりがいくつかありましたよね。

小牧 ああ、この前勝った中竹厩舎のローレルストームはそうやな。中竹厩舎に限らず、そう思っている陣営がいるんかなぁ。だとしたら、不本意や! っていうことにしておくわ(笑)。

──芝がどうではなく、ダートの小牧さんは確かにいつもいいポジションにいますし、直線も簡単には止まりませんからね。

小牧 芝もそれくらいいい位置で運びたいんやけどなぁ。それでも最近は(前に)行ってるけどね。でも難しいね、芝は。なんかね、芝の場合は勝てるポジションにいても、ペースを読み切らんと勝てんね。この前(3月15日・阪神5R)、阪神で2着だったメドウラーク(牡3・橋田厩舎)なんて、その日一番自信があった馬で、絶対に勝てると思ってた。レースでも最高の位置にいたんやけど、ペースを読み切れてないなと自分で思ったね。四位くんの馬(デビル)が逃げ切ったレースで、ものすごくペースが遅かったら、もっと早くプレッシャーをかけにいったりとか、そういうことをせんかったらダメやね。まぁダートも同じなんやけどね。

──ダートの馬と芝の馬は、そもそも勝負どころでの手応え自体が違うものですか?

小牧 芝で手応えが抜群の馬は、追う追わないとかあんまり関係ないもんね。弾ける馬は、文字通り弾ける。芝の走る馬は、ジョッキーからしたらホンマに楽やで。走る馬は全然違う。上位のジョッキーは、やっぱりみんな走る馬に乗ってるよ。

──小牧さんのラインナップも、今年は勝ち負けクラスがそろっていることが多いですよね。

小牧 最近はね。それでも僕の場合、けっこう追わせるタイプが多いと思う。ダートも芝もね。

──厩務員さんや助手さんのなかには、ピリッとしない馬に対して「一度小牧さんに乗ってもらって、ビッシリ追ってほしい」と思っている方もいますよ。

小牧 そうなの? あんまり叩いたりはしてないんやけど(苦笑)。僕ね、一度も叩きすぎて注意されたことないねん。

──叩く叩かないではなく、小牧さんが乗ったら、次は変わってくるんじゃないかっていう期待があるようです。

小牧 ああ、ダートはね、確かに一度乗ったら変わるわ。次は動きやすくなる馬が多いよ。

──馬を動かす技術は、誰もが認めるところです。

小牧 さすが地方のジョッキーやね(笑)。ただ、「ダートの小牧」って言われるのは嫌やなぁ。芝も乗れるよ、って書いといてや(笑)。

小牧太

「ダートの小牧」って言われるのは嫌やなぁ。芝も乗れるよ、って書いといてや(笑)



【次回の太論は?】
 ジョッキーを評するとき、必ず登場する“当たり”という言葉。次回は、「当たりが柔らかい、当たりがキツイとは、具体的にどういうことですか?」というユーザーからの質問をきっかけに、熱い太論を展開します。園田時代の意外な小牧騎手の姿も明らかに!?
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1967年9月7日、鹿児島県生まれ。1985年に公営・園田競馬でデビュー。名伯楽・曾和直榮調教師の元で腕を磨き、10度の兵庫リーディングと2度の全国リーディングを獲得。2004年にJRAに移籍。2008年には桜花賞をレジネッタで制し悲願のGI制覇を遂げた。その後もローズキングダムとのコンビで朝日杯FSを制するなど、今や大舞台には欠かせないジョッキーとして活躍中。

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