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ゲートに定評のある太がついに企業秘密を明かす!?/太論

  • 2014年04月15日(火) 18時00分
小牧太

移籍当初は、どれもこれも引っ掛かってたなぁ


ジョッキーを評するとき、必ず登場する“当たり”という言葉。今回は、「当たりが柔らかい、当たりがキツイとは、具体的にどういうことですか?」というユーザーからの質問をきっかけに、話は当たりとスタートの関係性に及び…。ゲートに定評のある小牧騎手が、ついに企業秘密を明かす!?
(取材・文/不破由妃子)


■移籍当初は、どれもこれも引っ掛かってたなぁ

──今回は「ジョッキーを評価するときに、よく“当たりが柔らかい”“当たりがキツイ”という表現を聞きますが、具体的にどういう違いがあるのでしょうか? レースを見ていればその違いがわかるものなのでしょうか?」という質問がきています。

小牧 よく引っ掛かっている人は、当たりがキツイんでしょう。引っ掛かって、馬の上で体が“くの字”になっているのを見たことがあるでしょう。しょっちゅうそうなっている人は、当たりが硬いということや。

──当たりの柔らさは、天性のものなのですか?

小牧 天性でしょうね。ユタカくん、秋山くん、池添くんとか、柔らかい人は本当に柔らかい。でも、ある程度は変われるんちゃうかな。僕自身、移籍してきたころは当たりがキツすぎて、どれもこれも引っ掛かっていたけど、やっぱり今はマシになったもんね。

──実際、小牧さんが引っ掛かっているシーンは、あまり見ませんからね。

小牧 そうやろ(笑)? (明らかに掛かったのは)この前の中山(中山牝馬S・ノーブルジュエリー5着)が、ホンマに久々やった。でも、移籍した当初は、本当によう引っ掛かってましたわ。この前、芝では自分が思っているポジションより、ひとつ後ろになってしまうっていう話をしたでしょう。それは、当たりが硬いからソロッと出そうとしていたからやねん。それで、結果的に後ろからになってしまうことがよくあった。でも、今年はそれを意識的に変えていきたいと思ってね。当たりの硬さも移籍してきたころよりだいぶマシになっているはずやし、掛かることを恐れずに乗っていこうと思って。

──たとえば、ダート馬の場合は、当たりがキツイほうがよかったり?

小牧 そうやね。ゲートを出して行きたい馬、前に行きたい馬はとくにね。そういえば僕、中央にきてからスタートが巧くなったんやわ。なんでかって言ったら、もともとの当たりのキツさに加えて、地方に比べて中央のゲートは狭いねん。

──へぇ〜、違うんですね。初めて知りました。

小牧 うん、たぶん違うと思う。僕ね、地方時代はスタートが下手くそやったんやけどね。ゲートが狭いと、それだけ馬が自由にできないから、あとは自分のタイミングで出すだけ。今は僕、巧いです(笑)。ゲートの出し方は、自分でも自信がある。

──『太論』にも「スタートのコツは?」という質問が度々きますし。ファンの間でも、小牧さん=ゲートが巧いというイメージがあるんだと思います。

小牧 まぁもちろん出遅れることもあるけどね。スタートのとき、この馬はここに乗ったほうがいいとか、馬によって乗る位置を変えたり、僕なりにけっこう考えてるからね。トモが緩い馬とかはとくに、乗る位置が重要やと思うわ。だから僕、あんまりゲートで躓いたりしないでしょ? こう見えて、考えてんねん(笑)。

小牧太

だから僕、あんまりゲートで躓いたりしないでしょ? こう見えて、考えてんねん(笑)



──これ以上は、企業秘密レベルですね。

小牧 企業秘密っていうわけじゃないけど、若手のなかにはそういうコツを知らん子もいるかもしれないね。でも教えへん(笑)。若手のなかでも、川須は何でもよう聞きにくるんですわ。かわいいけど、教えんとくわ(笑)。

──当たりの硬さを解消するために、なにか努力や工夫はされたんですか? それとも乗っていくなかで自然に?

小牧 努力はしてないね。努力するのは嫌いな人間やから(笑)。なんやろねぇ…気持ちもあるやろうし。何をどうすればっていうのは、僕にもわからんね。スポーツ選手はみんなそうやと思うけど、たとえばゴルフにしても、頭で理解しているからといって、必ずその通りに打てるかといったら打てへんし。騎乗に関しても、意識的に変えようと思って変えられることと、頑張っても変えられんことがあるからね。

──そうですよね。みなさん、体型や骨格も違いますし。続いての質問です。「いつも楽しく拝読しています。ご自身の今年の変化について精神面を挙げていらっしゃいましたが、長年にわたり、モチベーションを保ち続ける秘訣はありますか? たとえば、今も園田にいたら、高いモチベーションで競馬に乗れていると思いますか?」というものです。

小牧 今、園田にいたら、調教師になってるんちゃうかな。園田でジョッキーをやっている自分の姿は、まったく考えられへんね。モチベーションを保つ秘訣か…、ジョッキーは毎週毎週が勝負やからねぇ。いつも“今”が精一杯やから、そんなこと考えたこともないし、なんでも気持ちひとつなんやないかな。

【次回の太論は?】
1年半ぶりにオリービンを勝利に導いたほか、相変わらず順調に勝ち星を伸ばしている小牧騎手ですが、3月後半から4月にかけては、サトノルパンの乗り替わりやレッドオーラムの敗戦など、残念な出来事もありました。次回は直近のレースや出来事について、たっぷりと振り返ります。
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1967年9月7日、鹿児島県生まれ。1985年に公営・園田競馬でデビュー。名伯楽・曾和直榮調教師の元で腕を磨き、10度の兵庫リーディングと2度の全国リーディングを獲得。2004年にJRAに移籍。2008年には桜花賞をレジネッタで制し悲願のGI制覇を遂げた。その後もローズキングダムとのコンビで朝日杯FSを制するなど、今や大舞台には欠かせないジョッキーとして活躍中。

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